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エンジン

「先生!」

「おお、君は、」

「ディーゼルです」

「そうだ、ディーゼル君久しぶりだな」

彼は、元大学教授で教授時代にディーゼルに教えていたリンデ博士、リンデ製氷会社を作った学者で今は会社を息子にまかせて悠々自適な生活を送っているのである


「初めまして」俺達が英語であいさつする

「ディーゼル君彼らは」

「少し難しいのですが、あのアメリカ人はブラウニングさんといって、ガンスミスです、そして、日本人の少年2人は商人でしょうか?映画を作っているとか、玩具の販売などをしているらしいです、先生のところから、冷凍装置を買いたいとのことですので、連れてきました」

「そうか、仕事は息子たちに任せて私は、もうやっていないが、息子たちに伝えるよ」


「じゃあ、とりあえず、温泉で話をしようじゃないか」とブラウニング氏

「サナトリウムか?」とリンデ氏

「まあ、ゆっくりサナトリウムで話をしましょう」と俺


・・・・・

温泉プールの片隅で

「すごいじゃないか!ついに君の発明が大いに脚光を浴びることになる」とリンデ博士

「はい、でもまだ決めかねています」とルドルフ氏

「何を迷うことがある、君は日本に行くべきだよ、全額出資してくれて、会社を作り、研究し放題じゃないか、研究者冥利に尽きる」

「私の研究はすごいのでしょうか」

「博士、博士のエンジンつまりディーゼルエンジンですが、すごい発明ですよ」と俺

「君の名前のついたエンジン!素晴らしいぞ」とリンデ博士

「ですが、それほどまだ普及していませんし」

「博士、これからそれを行いますし、小型化、大型化、いろいろな付属装置を研究する必要があります、それができてゆけば、ものすごいことになりますよ、世界を変革するエンジンの一つなんですからね」と俺

「君は、私のエンジンのことがわかるのか?」

「いえ、しかし、博士のエンジンは、ガソリンエンジンにはない、よさがいくつもあるので、そこを伸ばせばいいのですよ、例えば、熱交換比率がガソリンエンジンよりも優れているとか」

「?!」ディーゼルの顔がショックを受けている、今までそのようなことを言ってくる人間はいなかったのは間違いない

「君の理解者ができたようで何よりだ」とリンデ博士


「そうだ、そんなに不安なら、私がついていってやろう、私は今悠々自適な暮らしだ、何より暇だ」リンデ博士はまだまだ元気なようだ

「それは、いいですね、ついでにリンデ博士の冷蔵装置の会社も日本に作りましょう、出資させていただきます」と俺

「資本関係は、考えさせてくれんかね」出資の意味をよく知っているリンデ博士である

さすがに、商売をやってきた人間である、そう簡単には、乗ってこない

「では、必要があれば言ってください」

「私はお願いしてもいいのですか?」おずおずとディーゼルがいう

「私が、出してもいいよ」とブラウニング氏

「ぜひとも、私が」と俺


出資者がだれであれ、日本にくることには了解を得られたようである

「よし、私も、日本旅行だ、準備に少し時間をくれ」

「では、私も、身辺整理に時間をいただきたい」

「じゃあ、俺たちは、ここでゆっくり待っているから」とブラウニング氏


こうして、ディーゼル氏のお誘いとおまけに彼の師であるリンデ博士が日本に来ることになった


史実のディーゼル氏はこの後に、イギリス行きの船で失踪し、後に水死体として発見された、自殺か他殺かは不明、しかし、夫婦仲はあまり良くなかったようである


此処で、また一つ歴史の歯車を大きくかえることができたに違いない


1911年(明治44年)

ディーゼル株式会社が発足する、宮城県仙台市に会社兼研究所が開設される、社員として、東北大学生を活用するためと、工業の分散を目的とするためあえて、東京を外したのである、社員は今のところ、すべて、高野技術学校の卒業生で固めている

ディーゼル氏自身も、彼のドイツ人の知り合いを雇用したいとのことだったので、すべて可能である旨回答した

彼の悩みの一つ、夫婦関係については、解消された

独身になって、裸一貫から事業を起こす気になったようである

早速、新しい日本人嫁の候補を秘書として、何人か用意してあてがうことにする

末永く日本のために頑張ってもらうためである


また、俺は中尉に進級した

俺が軍令部に顔を出すと、なぜか佐藤兄弟が出迎えてくれた

「おい、さぼってばかりで、何をしていたんだ」と東郷部長

「ドイツへ行っていました」

「土産の一つもないのか」

「ああ、そうですね、ソーセージとビールぐらいですかね」

「じゃあ、早速」

「帰ってからのほうが」

「構わん」

そうして、彼らは軍令部長室で宴会をはじめてしまった

お前らは、ぺー〇ーか!


「総長!」そこに、突然桜井君が、走りこんできた

「桜井君!どうした、ここは軍令部だぞ!」

「総長、映画のことですが、」

「おお、そうだった、できたか?」

「それが、まだなんですよ!」

「そうか?シナリオに問題でもあったか?」

「違いますよ、忍者を圧倒する、侍大将役は、総長以外にないと考えたんです」

「なに?」

「できますよね?いや、聞きましたよ、総長は普通じゃないそうですね」

「いたって、普通です」

「さ、早くいきますよ、今回は、日本らしくない場所で撮りますけど、本当はアメリカロケしたかったんですが、時間かかりますから、鳥取砂丘で撮りましょう」

「いや、いま帰ってきたところなんですけど、ドイツから」

「何言ってるんですか、もう役者そろえてきたんですから、いまからお願いします」

「え?」

「おう、またさぼりか、まあいいわ、あの映画の続きは気になることだしな」と部長

「では、総長行ってらっしゃいませ」と佐藤兄弟が敬礼している、君ら軍人じゃないだろ


そうして、俺は鳥取砂丘へと拉致されていくのであった

俺は、自由人だったのか?と自問しつつ


撮影場所に、何日もかけてやってきた、この時代すぐに目的地にはつかないのである

鉄道で、行かなくてはならず、しかも新幹線でもないのでとにかく時間がかかるのである


早速、侍大将の鎧を着こむ

「いいですか。山口さんが本物の日本刀で攻撃しますので、総長はそれを適当に受け流し続けてくださいね」

「おい、本物かよ」

「それと、こう雰囲気が欲しいので、恐怖のオーラのようなものがでればなおいいです」

そんなもんでるか!といいながら、<オーラを放射しますか?>出るんかい


「はい、スタート!」

ニンジャ装束の山口先生が、走り寄ってきて抜刀、切りつける

俺は、完全武装の武者人形みたいな恰好でそれを迎え撃つ

ガキン、ガキンと何度も打ち込みをさばく

山口の剣筋は鋭いが、すべて読める


「どりゃ!」突かれた刀を避けて、突き出された手首を固めて投げを打つ、山口が倒れる


「カット!」

「あ、すまん、攻撃してしまった」

「いえ、あれで結構です、完璧な剣劇でした、お疲れさまでした」

「え?もう終わり」

「はい、これで編集に入ります」

「せっかく、ここまできたのに?」

「総長、映画はそういったものですよ、贅沢にやれって、総長がいったんでしょう」

「いや、俺の出番は?」

「ああ、侍大将はやられますけど、それは、式神だったっていう設定なんで、次の映画でいよいよ、米国で決戦しますね」

「そうなの?」

「はい、次回作では、総長の侍大将がいよいよ、米大陸でガンマンを切り殺しまくりますよ」

「いや、なんで、侍大将が銃もった人間をきりころせるの?」

「できますよね」

「できるけど」

「じゃあ、大丈夫ですね」

「そうだね」

「そういうことですよ」


そうして、なぜか次回作の話で撮影が終了した

聞いた話だと映画のシナリオはかなり変わっていて、忍者が国内から出国するまでのストーリーらしい、強敵があらわれて、米国で大暴れするはずだったんだが


まあ、なんでもいいか


土産に梨を買おうとしたがあれは20世紀なしだから、今はなさそうだったので、ラッキョを買うことにした、梨くいたいな


・・・・・

宮城県仙台市


「まずは、重機の心臓部のディーゼルエンジンの開発をお願いします」

「重機とは?」とルドルフ氏

「まずはブルドーザーから作りたいと思います」

俺は、自分で書いた稚拙な絵をみせて、説明した

「ディーゼルエンジンの良さは、そのパワーにありますので、建設重機械と相性がいいのです」

「だから、なんで、君が知っているんだね」とルドルフ氏

「先生、私は、占いが得意でしてね、占うとわかるんですよ」

「オカルトなのかね、そういえば、テスラ博士もオカルト好きだったとか」

近ごろ、ディーゼルさんが少し明るくなった、良い傾向である

「自動車系は4サイクルエンジンでお願いします」

「うん、とするとほかにも」

「船のエンジンは回転数が低くてもよいので、2サイクルにします」

「そうなのか?」

「占いではそう出ていますよ」

「ほかには」

「そうですね、燃料を圧縮して、微粉末にして燃焼室に送り込めば、さらに効率が上がります」

「ほう」

「君の占いはすごいね」

「まあ、そういわれますね」

「ほかにはないのかね」

「ああ、ターボ過給機ですね」

「なんで過給機のことを知っているのかね」

「排気ガスでタービンを回して、吸気を促進させるんですよ、これでさらにエネルギー効率が上がります」

「そうなのだが・・・」

「ええ、しかし、排気は高温なのでそれに耐える金属が必要になります」

「そうなのかね」

「そこで、東北帝大です、こちらには、金属研究の凄腕、本田先生がおりますので、研究をお願いしましょう、なのでこちらに会社を作ったのですからね」

「そこまでわかっていれば、君が作れそうな気がするが」

「私は、知っているだけで、具体的なことはさっぱりです、占いとはそういうものですからね」

「そうなのかね」

「そうなのです」


こうして、東北帝大に金属研究の命題が一つ追加され、ディーゼル社から資金と金属が提供される、その物質はニッケルである


いつも読んでくださりありがとうございます。

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