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軍令部

それから、滔々と俺の話が続き、昼食をはさみ、延々と続き夕食の時間となった。

東郷軍令部長が肩をほぐしながら、つぶやく。


「それで、貴様は何をするつもりだ」

「はい、あらゆることやってみたいと思います。当時というか、未来では、日米の国力は1対25ほどということでありますので、今から、全力で戦争準備を行いたいと思います」

「戦争回避が正解ではないのか」

「はい、回避も視野にも入れますが、相手あってのことでありますからわかりません」


「では、儂は何をすればいい?」

「とりあえず私の後ろ盾をお願いします」

「それで、具体的に何をすべきなのだ」


軍政改革、社会改革、農政改革、あらゆるものを改革する必要がある。

「まずは、身内の改革から初めて参りましょう。年功序列を廃止し、戦時には特例的に適任者の配置や昇格ができるようにすること、これは米国が上手くやります、海兵隊の創設も必用です、太平洋は島が多いので、海から一気に上陸し戦う必要があります、陸軍の協力も必用でしょう、航空隊の整備、これはまだ、早いかと思われますが必要です」

それからも、ドンドン話をくりだすそうとするが、軍令部長は、「もうよい、とにかくまずいくつか物になるものから片付けていこう、儂の名前が必要なら使え、重要なことだけ相談せい」と投げてしまった。

「ありがとうございます」


・・・・・

三宅坂、陸軍参謀本部の一室に俺はいた

陸軍参議官兼学習院長乃木大将、有栖川宮熾仁親王陸軍大将(父宮)、奥保鞏陸軍大将参総謀長、乃木勝典中尉、乃木保典中尉、高野少尉候補生という、非常にバランスの悪いメンツになっている


一番困った表情をしているのは奥参謀長であろう

なぜ、海軍の少尉候補生が混じっているのか?しかも乃木親子、さらに宮様?

私は何か陰謀に巻き込まれている!感が半端ない


「今日集まってもらったのは、ほかでもない」乃木大将

いや、ほかでもないとか、全然他である

「海軍から非常に重要な提案が来ているので、参謀長に聞いてもらいたいとのことなので、私が仲介した次第である、少し説明させてもらうと、私の長男・次男がそこにいる、高野君に203高地攻略戦で助けてもらった縁があってな、知り合いなのだ、有栖川宮の長男が、海軍にいることは、奥さんは知っているかもしれないが、宮様の息子が彼と同期なのだ」

「参謀長、実は私の息子もこの高野君に命を助けてもらったのだ」と宮様


「ということは、みなさんが関係者ということですか」と奥


「うむ、そう考えてもらってもよいが、少し違う、私たちは彼の協力者だ、彼には、人には言えん使命を帯びているのだが、非常に重要なのだ、そのために、奥さんにもぜひ協力をお願いしたい」と乃木


「困りましたな、急にそんなことを言われても」さすがに、参謀長である、簡単に人の言うこと鵜呑みにする訳にはいかない


「そうであろうな、では、あれをしてはどうか、一番説得力がある」と乃木大将


「わかりました、ではあれを行いましょう」と俺


「あれ?」



奥参謀長はあふれる涙を抑えることができなかった、頭の中の映像は、非常に美しく鮮明で残酷だった、人々がごみのように、撃たれ、焼かれ、吹き飛ばされていった、そして、裁判で死刑を言い渡される、軍人たち、負けた者たちが勝った者たちから一方的に断罪された


「勝てば官軍」奥はつぶやいた

「参謀長殿、まさにその通りであります」と俺


「で、私は何を協力すれば良いのだ」

「協力していただけるのですか」

「もちろん、中身がうなずけることならだが」奥の目が光る


「まず、総力戦について説明させてください」

それから10分後、「われわれ、陸海軍は国民・国を守る陛下の軍でありますが、実に仲が悪い」

「しかも、陛下は大元帥ではありますが、戦争目標については、関与しませんというかできません」

「何が言いたい、そも、君はどのような立場でここいる」

「は、これは、東郷軍令部長の意見書であります、私は、海軍軍令部の意見を言付かっている立場ということにしておいてください」

「軍令部長の意見なのだな」


「話を戻しますが、このような場合、陸海が別の意図を持ち、別の攻撃目標を考えることになりかねません、国力のない我が国がこのようなことをしていては、列強に勝つことはできると思いますか」


「できん」


「つまり、右の手はA、左の手はBを殴りにいくのです、AもBもそれを防いで、同時に我々を殴ることができます」

「さらには、右手がAを殴るために、左手の動きを邪魔したりするわけです」


「うまいことを言うな、右手と左手が陸海軍ということだな」

「そうです、本来ならば、頭が考えて、AならA、BならBと決めるのですが、頭ではなく、腕が決めてしまうのです」

「頭を作る必要があると」

「腕を制御できる頭です、映像には編集されていませんが、関東軍という陸軍が暴走して支那事変を起こします、政府は仕方なく追認してしまいますが、明らかに制御できていない腕です」


「関東軍!」

「満州に赴任する軍です」


「両軍からと陛下、それに政治家等が参加した、国家目標に沿った作戦目標を決める部署が必要になります」

「君の言うことは最もなことだと思う、陸軍はここにいる者たちで抑えよう」

「では、海軍は私の方で何とかします」

「陛下への奏上は乃木大将におねがいできますか?」

「無論です」

「では、名称は”統合本部”でよろしいですか」

「まあ、それでよかろう」

「ありがとうございます」

俺は、手を差し出すと奥が握り返してくれた

「こちらこそ、これから頼む」


統合本部には、天皇、陸海軍大臣、参謀総長、軍令部長、内閣総理大臣、元老数名、その他必要とされるもので構成されることになった、これからは、重要軍事政策はこの統合本部で決定されることになり、天皇自らも、作戦立案に関与できることとなった

第一回の会議で、協議された事項は、海兵団の創設と陸海軍人の人事交流となった

その結果海兵団創設が決定し、人事交流もはじまることとなる

まずは、陸海の融和が必要になる

海兵団はまずは旅団規模の部隊編成を行い、島嶼上陸、その他必要な訓練を行うこととなった

なお、兵員は陸海両軍から抽出される


・・・・・


時の内閣総理大臣桂太郎は、困っていた

近ごろやたらと陛下経由で、元老、田中太郎兵衛の意見書とやらがやってくるのだ

「そもそも、田中元老とやらなど聞いたこともない名だ」

元老とは、公職ではないものの、伊藤博文など、歴史に名を遺す活躍をした人材に賜る名誉職のようなものである、聞いたこともない人物が元老などに慣れるはずがないのである

いままで元老と呼ばれる人間は何人かいるが、ほとんどは薩長の出身者か公家であり、歴史的にも偉業を達成した人物がほとんどである


しかし、宮内省に問い合わせると「確かに、陛下自らが、田中様に政務を輔弼するようにとの沙汰がでている」とのことである「しかも、田中の言うことは朕の意見と同じであると思え」と大変覚えめでたいらしい


「陛下が何者かに、たぶらかされているのではないか」桂は不安に駆られた

しかもである、この前唐突に始まった、統合本部では、本部員の元老に田中の名前があるではないか!実際には、田中はきてはいなかったが、書状で、海兵団なるものはぜひとも作るべしと送ってきていた

「田中!」


近ごろの書状で、鉄道を標準軌にせよという提言は、陛下の後押しもあり、やむなく実施が決定した、本当は、距離延長を先に行いたかったのだが・・・・

「田中め!」心の中で毒づくこと数たびである


しかし今度の書状はもっと面倒だった、帝国工業規格を整備せよである

「一体何をもくろんでいるのか、しかし、誰に丸投げしたらよいだろうか」桂はため息をついた


農商務大臣だな!

「誰か!誰かある」桂は、丸投げできる人物をおもいついて声を上げた


いつも読んでくださりありがとうございます。

皆様の応援のおかげでランキングも上がってきました。

これからもよろしくお願いします。


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