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出発

ロシアからの金銭の賠償が当然あると考えていた国民が騒動を起こし、日比谷焼き討ち事件が発生する


しかし、我々は、それどころではなかった

1905年(明治38年)

俺はかねてから考えていた海軍兵学校に入学することになる

山口参謀も必死に勉強したかいあって、無事合格を果たし、第36期生として無事入学を果たすことができた、海軍兵学校はいわゆるエリート校であるので、生半可の勉強では合格することはできない、そういう意味で、山口参謀は非常に頑張ったのである

俺の場合は、女神の力で?合格できた

いやいや、俺様!は優秀だから裏口なんか必要ない


ところで、兄五十六は腔発事故もなく無事で日露戦争から帰ってきたようだ


BFAブローニング・ファイヤーアームズには、陸軍から拳銃の正式採用通知が来て、フル操業状態になった、細々と作って備蓄するつもりだったのだが、急激に利益を出す会社になってしまった

工作機械の新規購入と工員の増員を順調に行っているようだ

技術の蓄積を行い、自動小銃、重機関銃の製作の段取りも行うように依頼しておく

基本的に俺は言うだけの人なのだ


岩倉㈱はひそかに、樺太北部のサハ油田での利権の一部を認められた

案外、麻生、住吉は力を持っていたのかもしれない

もちろん、拳銃の採用の絡みを使って、賄賂も使い、取り入ったおかげでもあろう

そういう意味で、岩倉の実力は大したものである


サハ油田に高野石油㈱が設立され、油田開発の技術を蓄積させるように指示をだし、とれる原油からガソリンを抽出する技術開発を行うため、新潟港に高野石油化学㈱が設立される

最終目標は、ハイオクタンガソリンの開発と備蓄である


「岩倉」

「は」

「俺は、兵学校に行かねばならん、あとは任せる、それでだが、俺の代わりに満鉄株を買ってもうけておいてほしい」常にすべてを放りだしていく俺だった

「お任せを、え?満鉄株って」

「それからな、しばらくは景気が上向かんぞ、在庫管理には気をつけろ、景気が悪くなったら、安く船を作ってくれ」

「それと、ブラウニングさんの接待頼んだぞ、できるだけ日本に移住させるように誘導してくれ」


「あとそれからな、満州でもBFAの工場を頼む」

「あとそれからな、・・・・・」

「あとそれからな・・・・・」


次々と後のことを頼んでいく

岩倉は、「はい」「はい」とうなづくばかりである


「藤」

「はい」

「稲と小麦の、耐寒品種を研究している人間が東北にいるはずだから、その人に資金援助して、成功させろよ、蔵を一杯にするんだぞ」


「そのことですが、儲けがないので」と神妙な顔つきの藤

「藤、お前には悪いが農業は儲からん、そんなことは初めからわかっていたことだ」

「え?」

「岩倉に大きな備蓄倉庫を作ってもらえ、それにいっぱいの食料を詰め込むのがお前の仕事だ、それからな、北海道で大規模農業を行う用意をしておけ、日本の食料事情を変えるくらい作らねばならん、満州でもな、金は岩倉に何とかしてもらえ」


「総長、指示は手紙でもいただけるので、大丈夫ですよ、こちらも季報ぐらいの頻度で報告書出しますから」

「うん、そうだ、郷田はどうしているのか、う~ん百瀬組は」

「総長、汽車の時間ですよ」

新潟駅のプラットフォームには、蒸気機関車が煙を噴出して待機している

「おお、そうだな、参謀、行くぞ」と隣の山口君に声をかける


プラットフォームは俺たちを見送る、部隊員たちであふれている

「高野総長バンザ~イ、山口参謀バンザ~イ!」全員が万歳で見送ってくれる


俺は窓を開けて「行ってくるぞ!みんな~」と涙を流しながら絶叫していた

ゆっくりと、汽車が動き出していく


駅が遠ざかり、車内に平和が戻る

「総長、これからもよろしくお願いします」

「そうだな、参謀、こちらこそだ」

「でも、総長は16歳になってましたか?」

「うん?」

「いや受験資格は16歳に達していることのはずですが、私より2歳下のはずですよね」

「ああ、そのことか、適当に16歳と書いておいたぞ、合格したんだからいいだろう」

「え?」


飛び級したせいで、年齢が足りなかったが気合で何とかした


本当にいいのか?は不明であるが・・・

細かいことをきにしても仕方がない!

とにかく合格通知は届いたのである


電車を乗り継ぎ乗り継ぎ、江田島へ俺たちは向かうのだった


明治38年の春のころである


いつも読んでくださりありがとうございます。

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[一言] 陸士・海兵・東京と京都の帝大がエリート校。
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