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拳銃

「藤よ、状況を確認しておこう」

藤は当初からいた郷田の配下の子供であった

「はい、近ごろ総長は非常にお忙しいので、長岡部隊にあまり来られないので当然であるとおもいます、今後は隊の運営状況について、わたくしが報告書を提出しますのでよろしくお願いします」

「うんわかった」

「長岡の隊員は500人もいるのか?」

「はい、食料自給がついていかないため、隊員の募集はやめております」

「その食料自給というのは?」

「はい、総長の理念、腹いっぱい食べて大きくなれを実現するために、夕食はみな腹いっぱいに食べるため、食費がかさみます、足らず分を株式会社岩倉で購入していただいております」

「岩倉からそのようなことは聞いていないが」

「総長はお忙しい方ですから、そのような些末なことを報告する必要はないといわれております、まさにそうなのでありますが、今後総長が懸念される事態が発生した時のために、隊員はまだまだ必要であるとわたくしは考えております」

懸念される事態とは何か?首をかしげる俺

「それで、田んぼか?」

「残念ながら、田が無くては、コメは作れません」

「しかし、できるのか?」

「はい、今後学校を卒業するものの中からさせれば問題ないかと思われます、口減らしにどうしても、働きに都会へとでなければならない者たちが多くおります」

「隊員たちの就職口ということか」

「それもあります」

「士官学校などに進んでほしいとも思うのだが」

「残念ながら、一部の者しか行けないでしょう、士官学校は狭き門です

優秀な者もいますが、どちらかというと、百瀬組のようなところのほうが向いている者のほうが多いと思います」岩倉も似たようなことを言うが、藤も同じ意見らしい

「ヤクザはいらんな」

「そうですか、しかし、近ごろ新潟では、百瀬組が縄張りを拡充し、組員を大幅に増やしております」


???また危険な発言を聞いたような気がする

「部隊から応援を送り支援しています、この越後の裏社会全般を制圧する作戦を実行していますので」世に言う<越後屋作戦>である、嘘です

??????さらに、危険な発言が飛び出した

そんなことを頼んだ覚えはないが・・・?


「そこで、あの高野学校設立以来、参謀本部が頭のいい子供も隊員として入隊させ幹部候補として育てる計画が、立案されましたが、食料の問題が持ち上がりました」

「そんなことが・・・・」

この人たちは勝手に一体どこへ向かっているのだろうか?とさらに首をかしげる俺

「ならば、藤に頼みたいことがある」

「何なりと」

「酪農なり養豚なりやってくれんか」

「実は、お前たちに肉を食わせているのはまさに、お前たちを大きく育て、良い兵士にすることが目的だったが、私が猟でどんなに頑張っても、たかがしれている

牛を飼って牛乳を、豚を飼って豚肉を、鶏を飼って卵を生産すれば、食生活がより豊かになるはずだ、隊員以外の日本人も食べることができるようになる

それと、これからは、米以外の食料も重要になるのだ、コメは非常にうまいがな、長持ちはしない、特に調理するとすぐに腐ってしまうのだ

しかし小麦の焼いたものなら非常に長持ちするのだ、ぜひとも、小麦栽培を活性化させ有事に備えねばならない、どうだ」


「私には、まだよくわかりませんが、小麦や酪農が重要なことはわかりました」

「そうか、では、できることからしよう、使えそうな場所を岩倉に探してもらおう、金は私が手配するから心配はない」

「私も頑張って勉強します」

「頼むぞ」

「は」

こうして、後に農業の藤と呼ばれる男がひっそりと第一歩を歩き始めることになる


・・・・・


「ということで、岩倉よ、農業と酪農を大々的にやりたいので、土地の手配を頼む」

「不動産会社でも、始めますか」

「そうだな、地上げ屋の類はもう十分あるからな」

「地上げ屋?」

「冗談だ、郊外の耕地と山林などできるだけ頼む」

「総長、では不動産部門を立ち上げ今後対応していきます」

「金は大丈夫か、藤には、私が出すといったのだが」

「総長、岩倉で大丈夫ですよ、第2弾〈トランプ〉もヒットしていますし、〈リバーシ〉もまだ持ってます、今後アメリカ展開さえうまくやればまだ行けそうですから」

「何から、何まですまんな」仮想敵国のアメリカから資金をいただけるのはありがたいことである

「やりがいがあって面白いですから問題ありません、あまり大きな声では言えませんが、百瀬組からもかなりの金額が入るようになってます」

「早く、お前を補佐できる人材が育つといいな」

「は、ありがとうございます」

「こちらこそありがとう」



1904年(明治37年)

ついに、日露戦争が勃発する

歴史通りに行ってくれることを信じている

藤農業株式会社が今年から稲作と小麦作を開始する

新造船「信濃丸」が竣工した

俺は今年中学を卒業する

そして、兄五十六は海軍兵学校を卒業し任官する、早速戦争のさなかに赴くことになる

運がいいのか、悪いのか?ただし腔発には、十分注意するように手紙を送っておく

史実?の五十六兄は、腔発(大砲の暴発)で指を欠損し、大やけどを負っているのだ


そんな時、BFAブローニングファイアアームズに陸軍から初の客が訪れる

その頃、BFAではようやく、工員の習熟が進み、AK47を日本人用に改良した5.56mm口径弾を使用する突撃銃、M1902(1902年設計)自動ライフルの製造が開始されている、それに合うように5.56ライフル弾もブラウニング氏が開発してくれ、それも製造段階にやっとのことでこぎつけることができた


秘匿兵器であるため売るつもりはなかったがね

工場は拳銃メインで作っていこうと考えていた

ライフルは、備蓄用として細々と作り始めていたところである

ブラウニング氏は、「新しい発想が固まったら、また遊びに来るよ」といって、アメリカに帰ってしまった、すっかり遊びに来るつもりのようだ


「陸軍の兵器局の麻生です」

「同じく住吉です」


「社長の岩倉です」BFAの社長は岩倉がやっていることになっている

「同じく高野です」

「いや総長、違いますよ」

応接室で俺たち2人が対応することになったのだ

「社長付き秘書の高野です」


二人の軍人はあきれ顔である

「ずいぶんお若いですな」


「まったく、その通りです」と岩倉

「ええそうですね、俺なんかまだ中学3年生ですよ」と俺


「貴様らは小官らを愚弄するつもりか!」麻生が怒鳴った

昔の帝国軍人はよく怒鳴るらしい、そしてすぐに鉄拳制裁なのだという


ぎろりと俺と岩倉の目が光る


その殺気によって麻生は言葉を飲み込んだ


「商売の話でしたね、どのようなことですか」と岩倉

喧嘩というか、その手の場面だけは嫌というほどこなしてきた凄みであろうか

俺も岩倉もオーラがすごいのだ


機先を制された麻生が蒼くなりながら

「うむ、実は銃を売ってほしいのだ」

「拳銃ですか?26年式が正式採用されているはずですが?」陸軍では26年式拳銃が採用されている


「あまり公に言えないが、ヤクザが使っている銃が恐ろしく優れているとうわさがあってな、自動拳銃というのか?作りてがここだと聞いてきたのだ」


「ヤクザですと!」と俺


「大声でいうな」と麻生


百瀬組に流していたのか!M1903(1903年設計のこと)がヤクザに流れていたのか!

しかしM1903(自動拳銃)にM1902(突撃ライフル)とかわかりずらいな

「ヤクザの使っていた銃はうちが作っていたものなのだったのですな」と岩倉


「そうだ、本体が軍に持ち込まれて、分析されている」と住吉


「まあ、当然うちは銃器の本場から天才を招いて作っていますからね」と俺


「在庫はどれだけあるのか、あるだけ買おう、値段にもよるが」


「残念ですが、1000丁ほどですよ、値段はそうですね30円というところですか、弾は100発5円」


「高すぎないか?」


「まあ、ちょっと撃ってみましょうか」


射撃場へ移動して、拳銃を取り出す、リボルバーではなくオートマチック形式の銃である、その点だけでも、26年式よりも優れている


射手は俺だった

狙いもつけず、バンバンバンと発射する


「これのいいところは32口径を採用しているところです、日本人はとにかく体が小さいので、弾も銃専用弾で威力も十分です、まあ詳しい話はよく分からないですが、リボルバーより命中精度は上だったでしょう」

32口径で、弾倉には9発が入る

海外販売用に38口径も細々と作っている(外国人用)


「そうなのだ」あきれ気味の軍人たち

丸い円の中心に弾が確実に集まっていた


「あと、これ以上口径を小さくすると、殺傷能力が落ちます、まあ、うちでは作りませんけど」と岩倉


「わかった、では契約させてもらおう」


そういって、応接室へと戻る

「契約書は、こちらで用意しますので」

「ああ、明日また来る」

そういって、二人は帰っていった



「岩倉!百瀬に銃を流したのか」

「総長、銃なんか在庫があっても仕方ないでしょう」


「しかし、道義的な何かがしっくりこんぞ」

「総長、また作ればいいんですから、それに、料金は取ってますから」


そういうことを言っているのではないぞ

「岩倉!恐ろしい奴!」

いつの間にか商売を本業にしている岩倉が黒い笑顔を浮かべていた


こうして、世界はゆっくりと回っていくのである


日刊ランキングから陥落した模様、残念

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