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岩倉

さすがに、一年も訓練すると、人間は見違えるものである

「男子三日会わざれば」という格言があるくらいだ

不良少年が少年兵に代わり、目つきの鋭さにも知性が宿るようになる

かつては、獣のように相手を威嚇するだけのものであったのが、相手を隙なく観察し力を図るようになっていくのである


このうちの何人かは、陸士や海軍士官学校へ入学させることができるかも知れない

しかし、まだまだ、若いし弱い、もっと適切な指導者がやはり必要だ


今では、できの良い生徒は、狩りのチームに入れて野外活動経験をさせている

さらに、言うともうこの長岡には刈り取れる不良はもうほとんどいない

始めはヤクザ狩りも行うつもりだったが、やはり子供のほうが、洗脳が容易であることから、ヤクザはやめにしたのだ


だが、武力であれば、もちろん地元のヤクザを圧倒できるであろう

それほど、彼らは強くなったのである


「岩倉副長」

「は」すでに自分の天職のように、岩倉は返事をする

「君は、来年どうするつもりだ」

「は、どうしたらよいでしょうか?」岩倉は、来年の3月に中学校を卒業する

郷田も同じである

「郷田はどうだ」

「俺は、もっと勉強したい」なんとあの狂犬郷田が勉強だと!本当に狂ったのか?

岩倉も驚ている

「勉強するのはいいことだな」

「あなたのおかげだ、俺は勉強の大切さを思い知った」と郷田

「岩倉、お前には商売をしてもらいたいがどうか?考えておいてくれ」

「はい、私は特にこだわりはありません、商売ですか?」

「ああ、儲けまくる商売をしよう、経済戦争だ」

「隊長はなんでも戦争にしますね」と岩倉

「郷田は、そうだな、勉強という意味で、外国に行ってこんか?」

「外国!」

「今、参謀の兄が米国にいる、本当はヨーロッパ方面にも行ってもらいたいが、まあ、だいぶ先になるだろうから、代わりにお前がヨーロッパの先駆けとなってもらいたい」

「考えさせてくれないか?」と郷田

「もちろんだ、貴様らの人生だから、強制はせん」

「それと、次の隊長、副長候補も決めていろいろ教えてやっておいてくれ」

「は」「わかった」


こうして、この年も終わりに向かっていく

春になれば、出会いと別れがあるだろう


1900年(明治33年)

何度も言うが、越後の冬は雪が深い

その雪が解けると春である、遅い春がこの地にも訪れる


覚悟を決めた郷田武蔵が海外に旅立つ日を迎える

まずは、船でウラジオストクにわたり、鉄道にてヨーロッパ方面へと向かうことになる

新潟はウラジオストクと海路が結ばれているので立地がとても良い

俺たち、250名全員が新潟の岸壁から郷田に手を振る

郷田もこの光景に感極まって涙を流しながら、「行ってきま~す」と叫んでいた

郷田よ!うまくやってくれ、我々の戦いは始まったばかりだぞ

とりあえずお雇い外国人の関係者のロシア人のところに行くことになっている

来年になれば、第2期生を2,3名送ることになっている


〈株式会社岩倉〉が発足した

本店は新潟市である

「しかし、私の名前でいいんですか?まあ、100%株主が隊長ですけど」

社長は岩倉の父の勝次郎である

「儲けたら。配当を一杯出してくれ」

「わかりました、でも何を商売にしますか?」

「そうだな、あてはあるから心配するな、それにどうやっても儲かる時期があるからな、それをうまく使う」

「隊長、それって?」

「岩倉、まあもう少し時間をくれ、時が来れば話すことできると思う」

「隊長、まあ誰が見ても、隊長は普通じゃないのははっきりしてますよ、きっと何かがある、だから俺たちもついてこれたんだと思います」

「岩倉」

「隊長」

「男どうしちょっとまずいな」

「俺は構いませんよ」見つめあう二人


「近寄るな!」

「ひどいじゃないですか」


「社員はとりあえず、長岡部隊のものから、出すとして、こちらでも根拠地を作り、新潟部隊を形成していくか」

「そうですね、そちらはまかしていただいて結構です、商材のほうをお願いします」

「それだがな、これはどうだ」

「イノシシじゃだめですよ」

「クマなら」

「だめです」

「八百屋じゃないんですから」

「シカは?」

「肉屋じゃないですか」

「おお、それもいいかもしれないな」

「隊長今日は、いつになく遊んでますね」

そういって、俺は禁断の白い小さな木材を取り出した

「囲碁ですか」

「違うなよく見ろ」それは片面が白く裏面が黒い

「なんですか?」

「これはリバーシというおもちゃだ」マス目を書いた板を取り出し、やり方を解説する

「うわー、なんかやっちゃってますね」

「この時代、娯楽が極端に少ないからな」

「隊長なんか、いまひどく違和感のある言い方でしたよ」

「気にするな、これでとりあえず、一儲けしよう」

「では、まず、商標登録ですね」

「頼んだぞ、岩倉」


そうして、明治33年〈リバーシ〉が販売されることになる

木の板にマス目、駒はやはり木の板を丸く切り、白黒に色を塗っただけの簡単なものであった


そんなころ、やっと、山口先生から次の手紙が届いた、ブラウニングさん家でお世話になっているが、同氏は日本旅行は、渋っているらしい


そこで、普通の手紙に、氏にどうしても見せたい銃があるので是非お願いしたい旨をしたたためた、出所不明だが、とにかくすごい銃のようなので、先生に鑑定していただきたいというようなことを英語で書いておいた


リバーシは始めのころはあまり売れなかったが、賞金付き大会を開催する新聞広告を打ったら、爆発的に認知度が上昇し、在庫が一掃できるほど売れるようになる、増産に次ぐ増産の開始である


しかし、そもそも、著作権の意識が薄い当時のことである


「もうすでに、偽商品が売り出されていますね」株式会社岩倉の一室である

「相手は?」

「どうも、ヤクザがらみのようです」

「そうか、この際だからな、一掃するか?」

「はい、これで我々の実力を示して、今後ヤクザからみかじめをせしめましょう、いっそ、契約させますか?」

「そうだな、これからも邪魔になりそうだ、とりあえずヤッテおくか」

どこまでも、思考はブラックな二人が黒い笑みを浮かべあう

もちろん、俺と岩倉である、解決の基本は武力制圧であった


新潟市内某所 ヤクザ〈百瀬組〉本部

俺、岩倉、社員5名が日本家屋の門前にいた

このころの俺は150cmですでに日本人の平均身長くらいはあったので、まさか小学生とは思われまい、しかも、岩倉、社員たちも、肉食を推進したせいか、高身長である


「なんだお前ら、子供が遊ぶ場所じゃねえぞ、早くいね」

身長は高くても、顔は中学生を卒業したてのものばかりである、みな幼いのはご愛敬である

「岩倉のものです、偽リバーシを売って利益をあげているそうですね」

「おいコラ」

「いやいや、怒っているわけでではありませんよ、別にいいんです」

「なんだと、じゃあ帰れ」

ヤクザの目つきが緩んだ

「しかし、怒ってはいないのですが、利益はすべていただきたいので寄せてもらいもらいました、今ある資産とめぼしいものはすべて接収しますので、ご了解ください」と俺

「なんだと」

「グホッ」すでに男は気を失っていた

門の中に入れて、門を閉める

「こいつの名前をこれに書かせて血判を押させておけ」

「は」岩倉の社員には、本当の隊長について説明してあるので、みな俺の命令に忠実である


「こんにちは、失礼します」玄関から勝手に上がり込んでいく

「お前なんだ」廊下でヤクザ2号と遭遇、鎮圧

3号出現、鎮圧、団体で出現、鎮圧・・・・

出現と鎮圧すること十数回、やっと、組長らしき人間を発見した

小太りのいかにもという表情の男だった

「お前らこんなことしてただで済むとおもっているのか?」凄むヤクザ組長

「ああ、すんでいますよ、今のところは」

組長が床の間の刀をつかむ

「武器を使うと、こちらも使いますよ、きっと死にます、やめといたほうが良いですよ」

そこに社員の一人がやってくる

「隊長、全員の署名と血判完了しました」

「ご苦労、あとはこいつだけだ」

「私がやりましょうか」


「そうか?じゃあお願いするよ」

「わかりました」うちの社員は働き者だ

「警告する、けがをしないうちにこれに署名と血判を押せ、命の保証だけはする」

社員がこう警告する


うちの社員は狩猟を通して、獲物を殺すことを覚えているので、非情さを持ち合わせているのか?


まるで、人間扱いされていない組長がそれを悟ったのか、刀を手放す

「よし、ではこれに名前をかけ、それから血判を押せ、言っておくが、逆らえば容赦しないし、お前の部下は完全に制圧されているので、助けは来ないぞ」


百瀬組長は屈した、隠し金庫の場所を吐かせ、中のものを押収する

金、拳銃、土地の権利証などが存在した、すべて接収する

「言っておくが、契約書の中には、我々に歯向かった場合、死ぬよりひどい痛みが襲うと書かれているので、試してみたかったら、今襲い掛かってくるといい」と社員

隊員は須らく毎年誰かの犠牲を実際に見ているので、トラウマになっているものが多い


「では、これから、百瀬組は長岡部隊のフロント企業ということで、普通にやってくれればいいぞ、月に一回収益の報告をするように、収益の3割は、岩倉に納入するように、あと、傘下の組がある場合は、契約書に署名血判するよう指示を行うこと」と俺


「では、失礼する、ぜひ一度謀反を起こすことを期待する、一度はあれを見ておかないとどうしてもゆうことをきかないやつがでてくるからな」


その時になって、初めて百瀬が頭にきたのか?

「己ら!」おめいて刀を取ろうとする


「ぐえええー」「うおおおお」

胸を押さえて、四つん這いになり、絶叫し始める、

「うあああ」


発作のような症状は、それから10分続いた、組員が恐れて近づけないほどの迫真の演技であった

「さすが組長!」

「ということになるので、注意するように、ちゃんと報告にこないと、こちらから、今のようにすることも可能だからね」と俺



「あと、君ら戦闘訓練が足りないので、長岡部隊で研修を受けるように」


こうして、ヤクザ「百瀬組」はたった半時間で制圧を完了した



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― 新着の感想 ―
なんでや!男同士でもいいじゃないかw まだ、明治やし田舎なら江戸時代以来の男色文化も廃れてないやろうしw
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