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米国

開けて1899年(明治32年)俺は晴れて小学4年生へとなっていた

え?小2じゃないのかって、もちろん飛び級である、いろいろと苦労した、一番効いたのは、目隠し女神の夢枕攻撃であろう、校長が日に日にやつれていった、人の上に立つ人は苦労が絶えないのであろうか

ほかにも、担任教師を難詰したり、圧倒的身体能力を誇示したりして、ことあるごとに、飛び級をお願いした甲斐があるというものだ


現在では教育委員会で問題になりそうだが、この時代ではどうであろうか?

適当にごまかしてくれたと信じておこう

もちろん、教育委員会があるわけではないので、校長一人が決めれば、何も問題はないのであろう

飛び級を決定してくれたお礼に、イノシシ一頭と松茸を送っておいた

松茸の下には、なんと10円札が!

これ以上はやめておこう、犯罪だと勘違いされても困る

俺の場合は、小2では収まらないだけなのである


身長だけは、4年生の中でも頭一つ抜けていた

すでに中学生級である、まあ、残念なことにこの時代の日本人は皆、背が低いのだがな・・・


長岡部隊は着々と人数を増やし、200人ほどになった、さすがに基地には収容できなくなったので、別の基地を用意せねばならなくなった

そこに各一人、国語、算数、英語、ロシア語教員が配属されている

隊員たちは放課後、戦闘訓練、勉強に明け暮れるのである

終われば、みな腹いっぱい飯を食う、残念ながら、いちいち、俺が作るわけにはいかないので、材料はすべて賄いの近所おばさんに託し、作ってもらっている状況となってしまった

これは大変な、不評になってしまったが、俺にもやるべきことはいろいろあるのだし、勘弁してくれ


俺と山口参謀、郷田隊長、岩倉副長は、隊員たちの飯を確保するため、猟を行っている

実地の狩猟経験はのちに大変有効であろうと考えたからだ、優秀なスナイパーはほとんど猟師出身であることを考えれば、すべての隊員に今後狩猟実習を積ませる予定である


郷田、岩倉、山口は一回りも二回りもごつく大きくなっていた

しかも、役職が人を変えたのか、非常に熱心に勉強し、学業で目覚ましい進歩を遂げた

まあ、非常に下位からの発進なので、急速に発達したように見えただけかもしれないが・・・・


・・・・・

そんな時、初めて俺宛に、山口先生から手紙が届いた、今やっと、米大陸についたとのことである

ハワイでは、英語の習得に時間をあて、中国人労働者のふりをしていろんなところで働いたりしていたようだ、英語が少し話せるようになったので、大陸に向かい、現在サンフランシスコに到着し、手紙を書いたらしい


さすが、先生だ俺の無茶ぶりによく答えてくれている


しかし、まだ無茶ぶりは続くのである

〈先生、お元気で何よりです、先生の弟君にはいつも助けられています、ところで、サンフランシスコにおられるというので、工場見学などは後回しで、ユタ州オグデンにいる〇〇〇〇さんに会いに行ってください、そして、何とか家族ごと日本旅行するように、仕向けてください、お金も入れておきます


追伸、やっと小学4年生になりました(笑)〉

書き終えて、用意した米ドルと一緒に包む

手紙は、安全のため、目隠しさんにお願いしておこう


神社の本殿に預けておけば、目隠し女神が山口に届けてくれるという夢のような、配送システムが完成されたのである

目隠し女神の宅配便!


・・・・・

山口兄の視点


ハワイで日本人移民や原住民から英語を教えてもらった、自分は中国人苦力であると身分をごまかしていた

治安が大変悪化していたので非常に物騒だったが、クマほど危険というわけではなかったので、倒すことができた

ハワイはアメリカに併合されてまだ時間がたっておらずいろいろと問題を抱えていたのである

何とか言葉を覚え、何人かの原住民と日系移民、米国人とも知り合いになったが、次の目的地に向かって出発しなければならない、次の目標地は米本土である、やはりサンフランシスコ行が主流のようであるので、そこを目指すことにした


サンフランシスコは1850年ごろから、ゴールドラッシュが始まり、いろいろな人間が金(GOLD)のためにできたような街ということだ、だが、すでにビルなどもいくつもあり、驚かされた


すでに、出発から幾星霜、とりあえず家族あてと九十九あての手紙を書こう

この旅行はきっと俺を成長させてくれているに違いない


早速、怪しいやつらが現れた、サンフランシスコも治安が悪いのだろうか


「おい貴様、カバンと財布を置いて消えな」白人であるが、米国人なのだろうか?

何を言っているか、言葉はわからなくても、意味は分かる、強盗は世界共通だ

拳銃を握っている

しかし、こいつら俺が日本刀を差しているが見えないのだろうか?


周りには、幸いこいつら2人組しかしない、もちろん人目が少ないこの場所だから、彼らは声をかけてきたのだろう

「おいチャイニーズ、聞いてるのか」

一人がガンを向けてくるがその間合いは、近い、居合抜きを知らないのだろうか?


もちろん男達が知るわけがなかった


男がリボルバーの撃鉄に親指をかける

「りゃー!」

鬼神丸国重が男の手首を跳ね飛ばす

「ぎゃ!」

俺はその時には、手首なしの男の影に隠れ、もう一人の銃の死角に入り込む

もう一人が銃を撃とうとして、相棒であることを確認してギョットしたところ、相棒の腹から白刃が突き出て、自分の腹もえぐられることになる

「ぐえ」

「ふん」うつむいた男の首を打ち落とす、ぴゅーぴゅーと血があたりに飛び散る


出血が終わるのを待って死体を隅に隠す、使えそうな物を探っていただいていくことにする、拳銃、ホルスター、財布から金などいただいていく

拳銃の使い方はオアフ島で習得済みである

ガンベルトに鬼神丸国重を差すことにする、テンガロンハットをかぶれば、洋風侍の完成だ


・・・

手紙を送り1月ほどが過ぎた、着いただろうか?

毎日、サンフランシスコの町の見物、金山の様子などを見て回っている

とにかく、アメリカはでかい、どこまでも広がっている感がすごい


そして、やはり治安が悪かった

しかも、黄色人種は差別されている、もちろん黒人も差別の対象である

使用人か奴隷かの違いくらいであろうか


しかし、案外、刀が有用になるとは考えてもみなかった、一度銃を使ってみたが、轟音だからすぐに人が集まってくる、街中ではこれは使えない、しかし、刀はほぼ無音である


それと、こちらの人間は銃には反応するが、刀を見たことがないのだろうか、あまり反応しないで簡単に近寄ってくるのだ、悪人には容赦なく一剣をお見舞いし、死体をわかりにくいところに隠している


そんなときである、夢枕に何かとても神々しいものがたった、そして手紙を置いていくと宣言した、朝起きると、驚くことに風呂敷包みが置かれていた

さらに、驚いたことに、そこには、九十九から手紙とドルの束が入っていた

一体何が起こったのか?九十九は一体何者なのか?

手紙の内容はもっと驚くべきことが書かれていた

「ユタ州のオグデンで人探しをしろ!」

「馬鹿野郎、ここがどれくらい広いかわかってんのか?」

ところでユタ州ってどこだ?

俺は背中に冷たい汗が流れるのを止められなかった

人使い荒っ!


・・・・・


大陸横断鉄道とやらにのってユタ州にたどり着いた

金は、強盗どもからいただいていたので十分あった、拳銃も何丁も必要ないので売った、

その金で、ライフル銃と弾を買った

服装はジーンズでできた上下を着、靴は皮のブーツとウェスタン風である

オグデンはどこかと列車を降りればそこがオグデンだった、交通の要衝じゃないか

さて、人探しを始めると、すぐに見つかった、なんでも町で有名なガンスミスのようだ

ガンスミスってなんだ?

鍛冶やのことらしい


目的の店にみつけて入る

「どうしました?」と親切な白人があいさつをくれる

ここの白人は、黄色人種を差別しないのだろうか?

「いや、実は私、銃に興味がありまして、ここで、働かせてもらえればと思いまして」

大体、アジア人種は、働き手としてこの国に来ているのだ、至極普通だ

そして、もちろんばっちり重労働をさせられるのである


「残念だが、うちは今人間を募集していない、別の店を当たるんだね」

「いえ、技術の習得をお願いしたいんですよ、給料はいりません」

「だが、それじゃ悪いだろ、ただ働きだ」

「いえ、こちらが頼んでいることなので、ノープロブレムです」

「わかった、じゃあ、ジョンの手伝いでもしてやってくれ」

「サンキュー」俺は大男に抱き着いた、この地では大げさにふるまうのが流儀らしい


しかし、この国で初めて、親切な白人にお目にかかったな



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[一言] ・マネーロンダリングとは違うのかいな? ・ユタ州といえばケント ギルバートか?
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