002_愛の力ですね!
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「私はZXS-57エーデルワイス。
前世にて、
ご主人様の愛機だった者です!」
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……ん?
……んん!?
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「エーデルワイス!?
お前本当に
あのエーデルワイスなのか!?」
「はい、ご主人様!
正真正銘、
あなたのエーデルワイスです!」
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まさか、本当にそんなことが
あり得るのか?
だが、そのことを知っているのは
俺以外にいない。
それにあのエーデルワイスの姿には
既視感を覚えずにはいられない。
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「何をごちゃごちゃと!
ケルベロス、さっさと潰してやれ!」
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ケルベロスが距離を取る。
大技を繰り出すつもりだ。
……今なら一旦退ける。
この隙に……。
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「大丈夫」
「……エーデルワイス?」
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「大丈夫です、ご主人様。
私はもう二度と、
誰にも、負けません!」
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エーデルワイスが腰の剣に手をかける。
その瞬間。
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ドドドオオォォン!!
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「……は?
ケ、ケルベロス……?」
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ピグルの背後には
気絶したケルベロスが伸びていた。
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エーデルワイスのあまりの早業に、
何が起こったか、
俺も一瞬理解できなかった。
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・ケルベロス、攻撃。
・エーデルワイス、抜刀。
・ケルベロスのそれぞれの頭に
一度ずつ攻撃し、吹き飛ばす。
・ケルベロス、壁に激突して気絶。
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……速すぎんだろ、強すぎんだろ。
これがあのエーデルワイスなのか?
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俺の知っているエーデルワイスが
何なのかを簡潔に説明するとだな。
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・俺ニクスの前世はいわゆるSF世界
・その時の愛機の名前がエーデルワイス
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だったというわけだ。
ちなみに俺はエースパイロットだった。
自分で言うのも何だが。
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「終わりました、ご主人様!
お怪我はありませんか?」
「あ、ああ。おかげさまでな。
……ところでしつこいようだが、
本当にお前エーデルワイスなんだな?」
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「まだ信じてくれてないんですか!?
本物のエーデルワイスですよ!」
「そんなすぐ信じられるか!?
だってお前……お前!」
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「女の子じゃん!?」
「? はい、そうですね」
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「エーデルワイスって割とがっしりした
感じのフォルムだったし、
絶対男だと思うだろ!?」
「可愛いだなんて……照れます」
「そこまでは言ってねーよ!」
「でもほら、どこからどう見ても
あなたのエーデルワイスですよ?」
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釈然としないが、
確かにその通りではある。
白を基調とした服に金と銀の装飾。
さながら白騎士と例えられていた
俺の愛機エーデルワイスそのものだ。
だが、気になることはまだある。
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「で、どうやって俺のところに?
使い魔は召喚主を選べないはずだろ」
「神様が送ってくれました。
愛する者のところに行きたければ
選ばせてやるって。
可愛いから特別だよって言ってました」
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すげーな、神様。
ただのスケベオヤジじゃないか。
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「というかそもそもお前
機械だったはずだろ。
転生ってどういうことだよ?」
「ご主人様と一緒にいるうちに
魂が宿ったみたいなんです。
付喪神って言うんですって」
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たしかに大事にはしてたけど、
乗ってたの七年くらいだよな。
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「付喪神って100年とか200年とか
経たないとならないんじゃないのか?」
「愛の力ですね!
紛れもなく!」
「……」
「愛じゃないんですか!?
愛機なのに!?」
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エーデルワイスに
愛着があったのは確かなんだが、
本人に言われるとなんだかな……。
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「随分と楽しそうだね、ニクス。
それが噂の使い魔かい?」
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嫌味な笑みを浮かべながら
金髪のイケメンが近づいてきた。
今度はこいつか……面倒くさいな。
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「あ、あわわ……!
キース、どうしてここに……!」
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ピグルがやたら動揺している。
そういやこいつ
キースの腰巾着だったな。
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「これはどういうことかな、ピグル。
説明してもらえるね」
「これは、その、違うんだ、キース!」
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ボグオォッ!
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キースがピグルを蹴り飛ばした。
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「げっ……がはっ!?」
「僕は説明しろと言ったんだ。
それとも代わりに僕の口から
説明してほしいのか?
ケルベロスまで持ち出したくせに、
手も足も出ず無様に
敗北しましたってさ」
「す、すみません……ごほ、あっ!?」
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もう一度蹴りを入れた。
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「わからない奴だな。
何度言わせれば気が済む?
早く説明しなよ」
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まああの下衆野郎がどうなろうが
知ったことじゃないが、
目の前でやられるのは
あまり気分のいいものじゃないな。
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「おい」
「……何かな。
ああ、みっともないところを見せたね。
このゴミはすぐに片付けるから……
おや?」
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いつの間にかキースの足元から
ピグルがいなくなっていた。
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「いい加減にしてください!
この人があなたに何をしたんですか!」
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まさに早業。
エーデルワイスが回収していたらしい。
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「エーデルワイス」
「すみません、ご主人様。
勝手な事を」
「いや、問題ない。
俺もそうしようと思ったところだ」
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「何って、おかしなことを聞くね。
自分の物をどう扱おうが、
僕の勝手だろう?」
「ああ、そうだな。
だが気に食わない」
「なら次からは目につかないところで
躾けるとしよう。
……おっと済まない。
ニクス、君に伝えることがある」
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この嫌味野郎がわざわざ俺に伝言?
どうせろくでもない話だろ
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「明日の卒業試合の組み合わせが
決まった。
君の相手は主席卒業者であるこの僕、
キース・ファインダーだ」
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おなしゃす。