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【第9話 マゾ仕様】


 二人で魔物狩りを続け、ともに10030レベルほどになった。略して30レベルでいいな、これ。リンゴもようやく攻撃魔法を覚えたが、目をつぶって撃ってくるから怖い。

 そのスリルのせいというわけでもなく、天真爛漫てんしんらんまんを地でいくリンゴとのプレイが不覚にも楽しくなってきていた。


 しかし、二人〈?〉でのレベリングには限界があり、イベントやストーリーのボスを倒せなくなってきてしまった。なんせ器用貧乏な魔法戦士と聖職者のペアである。


 ここで、僕のキャラクターについて改めて説明しておこう。見た目は銀髪の美少女で、基本的にリンゴと同じ姿だ。職業は魔法戦士で、打撃武器を装備している。何度も話したように、基本的に中途半端なジョブである。

 鈍器で魔物を殴り倒せるが、当然、戦士系の本職には敵わない。白黒両系統の魔法を使えるが、これまた本職には敵わない。範囲攻撃はひとつもなく、唯一、補助魔法での身体強化と自己回復で壁役になれるのが強みだ。


 なぜそんなマゾいキャラメイクをしたのか? 適当に作ったというのが妥当な線ではあるが、個人的に装備したい武器があったのだ。その名もモーニーグスター。名前もいいが、その極悪な形状に惹かれる。

 の先に、鎖で星状の鉄球がぶらさがった例の武器である。本来の釘バット的な形状とは異なるが、こちらの方がイメージに近い。小器用に魔法を使い、身体強化をしながら破壊の鉄球を振り回すのは楽しかった。


 振り回す度に地獄の叫び声を上げる呪いのモーニングスターもどこかにあるという。必ず手に入れてやる。と、趣味に走ってしまったが、別にSM願望があるわけじゃないぞ。念のため。


 しかし、魔物狩りをするにもイベントやストーリーを進めるにも、そろそろ……


「マルチプレイをお勧めします」


と、妖精ソデの助言だ。


「そうなんだよなぁ。リンゴとのプレイをソロプレイと言うかどうかは別として、そろそろマルチプレイをやってかないと」


「はい。テストプレイヤーとしてもリンゴにマルチプレイを経験させ、また他のプレイヤーとも交流を深めていただきたく思います」


「ああ、他にも紛れてるって言ってたな。僕以外全員NPCという線もあるわけ?」


「お答えしかねます。プレイを通して、御自身でお確かめください」


「へいへい。ま、ゲームを楽しむためにも、チーム狩り、レイド参加、ギルド加入なんかも考えてみるよ」


 というわけで、魔物狩りのチームメンバー募集をかけてみたが、いつまで待っても応募はなかった。そりゃ、そうだよね。不毛なキャラクター二人と組んでくれる奇特な人はいない。火力が圧倒的に低いのだ。また、安価なアイテムで代用できるため、補助魔法や回復魔法もメリットにならない。ポーション代わりにすらしてもらえないというわけ。リンゴは聖属性の単体攻撃スキルと範囲攻撃スキルを覚えたが、これも使い勝手は悪くて……


 と、マップ内のどこかから救援要請が響いてきていた。他のプレイヤーが魔物に襲われて全滅しかけているらしい。僕はリンゴと顔を見合わせて頷くと、その場へ向かうこととした。


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