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10-3. お家でお絵かき・土肥玲花&宮廻あやめ


今回は古代のゲームの話が出てきます。

世代じゃない人はもし興味がなければその部分だけ読み飛ばしてもらえると嬉しいです。すみません。




「二人ともどうぞ」

「ありがとう、いただきます」

「いただきます」


 髪型を弄った後とりあえず真ん中のテーブルを囲んで座った俺達は、土肥に薦められて土肥のお母さんが持ってきてくれた飲み物に口をつける。

 結局、宮廻はあの後に髪型を戻してしまった。お嬢様ぽくっていいと思ったんだけどな。

 おなじみのツインテールは恥ずかしがったのかサッサと結んだせいで、なんとなく左右で歪な感じになっている。

 土肥の方は「あやめちゃんとお揃いだから」と二つに分かれた髪をふるふるして解かず、宮廻が結んだおさげのままでいる。


 土肥のお母さんが用意してくれた飲み物はあっさりめの乳酸菌飲料で、お菓子は個装のチョコレートパイと、これまた個装の塩辛いスナックだった。

 甘い×甘いとかだと食う時に色々困るけど、バランスの良い取り合わせで嬉しいところである。

 やるな、土肥母……。

 大学の時に紅茶と一緒に何だったか取り合わせの悪い物を出して教授に怒られた俺とは大違いである。


「じゃあ、何をしようか」


 ちょこちょこ腹を満たして土肥母が同じく用意してくれたおしぼりで手を拭きながら、俺は土肥に話しかけた。

 宮廻や樫崎みたいな男みたいな遊びをする女子としか遊んだことがあんまり記憶にない……おそらく無いので、女の子の家での遊び方がわからない。

 多分土肥ってゲームとか持ってなさそうだからな。持ってたらそれ一択みたいなところがあるんだけども。

 そう、この時代の小学生が家で友達とやる遊びといえば、四人対戦が出来る花札会社の家庭用ハードだったんだよ。

 もう一つのハードは友達と遊ばない日に対戦ではなくRPGとかをやる用って感じだった気がする。名作RPGとかはあっちに多かったからね。

 この認識と物言いででハード議論が好きな人に怒られないかな……。どっちとも好きですよ、俺……。怒らないでね……。


 まあとにかく、俺達は四人対戦の叩き落とし型格闘ゲームとか、スパイ映画FPSとかキャラ物レースゲームで一日中戦っていた。

 んで、小学校で一番強いやつが尊敬されてたんだよな。小学校で尊敬されるのは運動が得意なのも大きなファクターだけど、何よりゲームが上手いのが大事だった気がする。


 ちなみに自分で言うのもなんだけど、俺は挙げたうち前二つのゲーム両方で学年トップレベルに強かった。

 叩き落とし型は宮廻の方が上だったけど、スパイ映画FPSは俺が本当に学年一位だったと思う。キャラ物レースゲームは暁斗が一番上手かった。あいつ、バグとかショートカットとかの成功率が異様に高かったんだよなあ……。

 ただ、大学に入ってから叩き落とし型各号ゲームで腕自慢どもと対戦したら、ソコソコって感じになってしまい割とショックだった。まあわざわざ大学になって小学校の時のハードで対戦したがるような奴って、皆腕自慢だからある程度は仕方ないのかなと今になっては思う。

 しかし逆行してから外遊びばかりでほぼゲームなんてやってないから、またやりてえなあ。


 ちなみに高校生くらいになると携帯型ゲームハードで、休憩時間に集まってモンスターをハントしてた。俺はデカい剣でぶっ叩き切るのが好きだったな。

 あとは家にさっさと帰って、2Dネトゲ世界で一緒に狩りとかもやってたね。延々と同じ狩場に何時間も居ながらチャットをしてたんだよな。

 どのみち狩りばっかの高校生活だった。

 しかし、この先に出てくるゲームの知識があるのってちょっとずるい気がするな、俺。

 ゲーセンの格ゲーとかやり込んでたけど、稼働初期から研究済みのコンボとか出せちゃうだわけだし。うーん。


「えと、何で遊ぼっか?」


 土肥が自分の部屋を色々と家探しし始める。今日俺達が暇になったから誘ったわけで、何も考えてなかったんだろうな。仕方がない。

 一通り部屋を見回った後、土肥は膝立ちから前傾みたいな格好になってクローゼットへと頭を突っ込んでいった。そして、ぽいぽいと土肥は色々な物を取り出していく。

 おもちゃのドレッサーとか、色々シールが入っているケースとか、謎のキラキラした棒……多分、日曜の朝にやっている魔女っ子アニメの変身ステッキだな。

 そんな感じに土肥の遊んできた遍歴が一通り取り出されたタイミングで、ようやく土肥がこっちを向いて、ちょっと不安そうに縦長のケースを見せてきた。


「えと、ジェンガとかどうかな?」

「おお」

「いいよ、やろっか」


 土肥の顔がぱあっと明るくなる。

 ただ、土肥の部屋はラグマットが引かれている部分が多いので、一旦移動さえなければならないだろう。

 宮廻と俺がテーブルを吊ってる間に、ラグを土肥が丸めてスペースを作ってから俺達はジェンガを始めることにした。


「どこから削ろうかな?」


 じゃんけんで勝った宮廻が、積み上げた木の塊をちょいちょいと全体を突きながら押す場所を探している。

 一回目とか絶対倒れないんだから、さっさとやればいいのにな。なんでこんな異様に時間をかけるんだ……ああっ、こいつ速攻を狙ってやがる!

 よく見ると宮廻は押す場所を探すふりをして、全体を傾けていたんだよ。

 宮廻がちょんと触れる度に高くそびえる木の塊は徐々に徐々に(かし)いでいって、俺が気付いた時にはピサの斜塔並に斜めになっていた。


「お、おい!宮廻ずるくね?」

「え?何が?」

「お前、ちょっとずつ押して傾けてるだろ」

「あ、ほんとだ!」

「ええ、気のせいでしょ……じゃあ始めるからね」


 宮廻は露骨にすっとぼけながら、傾いている側の木を一本抜く。傾きが更に増す。

 その上抜いた木を傾いている方に乗せるから、全体がグラついた。いや、これ一本抜いた段階の危なさじゃないだろ!

 次の宮廻まで回らなくねえか、狙いすぎだろ!


「あぶなっ。ほれ、じゃあ次は寄木ね」


 宮廻はニヤっと笑って俺の背中を小突いてくる。


「ほら、倒れるよ。そこ抜いて良いの?大丈夫?……わっ」

「うるせー!ずるしやがって!」


 煽るだけではなく、いきなり大声で驚かしてきたので俺もちょっと怒ってしまった。

 言われた宮廻は変わらずニヤニヤと見つめてくる。くそ、こいつ……。遊びになると色々箍が外れるんだよな、宮廻のやつ……。

 俺が注意して静かになったものの、いやらしい笑顔を崩さない宮廻を目に入れないようにしつつ、俺は傾きに対して垂直なところの真ん中を慎重に抜いていく。

 そーっと、そーっと押して、なんとか七割くらい押し出したところで一旦休憩する。


「うんうん。ここからが大変だよね?」

「寄木くん、頑張って!」

「おう」


 一度深呼吸をして、木をすっと引き抜いた!グラっと全体が揺れるけど、なんとかすぐに収まる。あぶねえ!

 そして抜いた木をバランスを崩さないように、そっとゆっくりと乗せる。


「なんとかなったな……」

「やるじゃん、寄木」

「おう」

「じゃあ次は玲花ね。うーん、今にも崩れそうだね」


 宮廻が言った通り、最序盤だというのにグラついていてマジで触ったら危なそうだ。

 あれだな、最序盤で上の方に削れてない塊があってウェイトがあるからこそ、下を抜いた影響がでかいのかもしれない。


「土肥、絶対に宮廻に回すぞ」

「うん」

「いけるかなあ?」


 宮廻がニヤっと笑う。ザ・悪いヤツといった笑みである。

 俺が宮廻に「お前は悪役か!」と突っ込もうとした瞬間だった。土肥がすっと手を動かすと、いつの間にか木が抜き取られていた。


「「え?」」


 いつの間に抜いたんだ?!


「じゃあ乗せるね?」


 そう言いながら土肥は何でもないように木を乗せていく。

 震えも臆しもない様子からは、普段の土肥とはぜんぜん違う印象を受ける。


「できたっ!」

「おお、すげえ!」


 乗せた後の揺れが収まったのを確認して、土肥が小さくガッツポーズをする。最近、暁斗に定規バトルで勝った時にするようになったやつだ。顔もめっちゃくちゃ嬉しそう。意外に負けず嫌いなのかな。

 しかもどうやら土肥が瞬時に抜いたのは傾いている側の木だったらしく、傾斜はもはや立っているのが不思議なくらいの角度になっていた。

 風が吹いただけで倒れそう、とはこういうことか。


「次はあやめちゃんだね?」


 土肥が邪気のない満面の笑みで宮廻を見つめる。うっとした顔になった宮廻は、いつになくスローモーな動きで積まれた木へと向かっていく。


「ほら、倒れるぞ。そこ抜いて良いのか?」

「もーっ!」


 俺がお返しに茶々を入れると宮廻が怒りの声を上げた。ほら、自分がやられて嫌なことはやっちゃだめだぞ?

 慎重に慎重にといった感じで、宮廻は俺がさっき抜いたところのちょっと上の木を押していく。

 俺の三倍くらいの時間をかけて、さっきの俺同様に七割を出したところで一旦手を止めた。

 よほど集中していたのか額にかいた汗をハンカチで拭い、宮廻はそのまま一気に抜きにかかる。

 すっと擦過音がして、そして積み木が抜き取られた。おお、微動だに……少しは揺れてるけどほぼ揺れてねえ。すげえ!


「よっしゃ!」


 自分の出来栄えに、宮廻が派手にガッツポーズをした瞬間だった。

 小刻みだった揺れがいきなり大きくなり、マンションの爆破解体に似た感じですっと重力に引っ張られて塔が崩れ落ちた。

 地面に落ちた塔は、ガシャという音を立てながら派手に木を撒き散らしていく。


「あーっ!」


 人を呪わば穴二つ……いや、この場合は策士策に溺れるか。宮廻は崩れ落ちた木の塊を眺めながら、とても悔しそうに叫んだ。

 ほーら、ズルするからこうなるんだぞ。

 俺と土肥は残骸を見つめて悲しそうにしている宮廻を見ながら、ふふっと笑った。




いつもお読みいただき、有難うございます。


懐かしいゲームの話でした。分からない世代の人が居たらごめんなさい!許してほしいな!

コメント欄でゲームとかについて盛り上がったら作者としては嬉しいです。


おそらく次回か次次回で土肥の家に初襲撃の話は終わりです。



次回はまた明日か明後日に投稿します。

ただ、新型コロナの影響で少し職域が変わる可能性があり、これから一月ほど投稿が不安定になる可能性があります。ご了承ください。

いつも応援してくださっているのに、申し訳ないです。



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― 新着の感想 ―
[良い点] RPGとかで有名な方にもなんとか電鉄とかいう友情崩壊ゲームが…
[一言] スマブラとマリカとゴールデンアイかな・・・?当時は友達とめっちゃやってたなぁ・・・マリカ64辺りはショートカットとか探しまくってたし、スマブラ64はカービィが強キャラだったんよなぁ・・・
[一言] ハードはゲームキューブとプレステかな? あと、スマブラとマリオカートは想像がつくけど、スパイ映画FPSがちょっと分からないですね。
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