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プロローグ

 プロローグ


 『魔力』という御伽噺の中でしか存在しえなかった、いわば非科学的なものの存在を世界が認めてから十数年が経過していた。有体に言うと「気」「オーラ」などと呼ばれていたものである。


 存在の確認は本当に単純なことがきっかけだった。


 一人の武術家が「滝行の際に水が体を避けた!私は魔力を手に入れたのだ!」と言い出したのである。


 何を馬鹿なことを、と人々は嘲笑で以って否とした。

 科学者は誰も聞いていない無駄にそれっぽい論理の展開を以って否とした。


 そして誰もが口をそろえて「やってみせろ」と実演を求めた。百聞は一見に如かず、である。昔の教えは何年経っても変わっていない。


 そんな世間の声を代表として某テレビ局がその武術家へ出演依頼を出した。それに対して彼は快く、絶対の自信を持って承諾した。


 結果は言うまでもないだろう。


 その日放送された映像は数多の動画サイトにアップロードされ多くの再生回数を記録した。もちろん映像を見た人間の中には「やらせだ」と信じない人間も多数存在した。

 中でも○○学者と自身に称号を冠する者は己の持つ知識を総動員させてその現象を説明しようとしたがそのことごとくが失敗に終わった。そうして徐々に、そして不思議なほど自然に、魔力の存在は世界へと溶け込んみ誰もがその存在を認知するに至った。


 しかし、今まで誰も知りえなかった魔力を、知識として知るのと実際に知覚するのとではその難易度は驚くほどかけ離れていた。


 魔力は確かに存在する。存在しない、と否定する人間が小数で、異端であるとされるほどに浸透したのであるが誰も扱うことができなかった。


「純粋無垢にその存在を信じ続けること」


 そんな簡単なことが魔力を扱うために絶対的に必要なファクターの一つであるということがなんとなくわかり始めたのはつい最近の出来事である。そのため当時の人間たちはこぞって人生を棒に振ってしまっている。


 魔力に魅せられた世代、彼らはそう呼ばれ自分たちの子供たちに夢を引き継ぐことに決めた。生まれたときから魔力の存在を親に教え込まれ、その存在を疑うことをしなかった子供たち。そうして魔力を操るに至った一握りの子供たち。その第一世代とも呼ぶべき子供たちが大人へと成長し、形成した社会が現代なのである。

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