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ICY SONIC BOOM  作者: 津辻真咲
8/11

粒子リフト型エレベーター

上空整備基地。そこへ淡い紫色の明かりが入って来る。もうすぐ夜明け。帆夏と航はきれいな紫色をしたしののめを見ていた。夜勤明けの終業時間まで残り10分。階下には雲海が広がっている。強い光が差し込む。もう夜明け。日光がまぶしかった。すると、終業時間を知らせるチャイムが鳴った。帆夏は航に別れを告げる。

「それじゃ、帰るね」

「うん」

航は小さく手を振る。帆夏も手を振り返した。帆夏は上空管制塔によって行くことにした。

「おはようございます」

「どうしましたか?」

稲津誠が振り返る。彼は今から、仕事である。

「今日は夜勤明けなので」

「そうでしたね。お疲れ様でした」

「お疲れ様でした」

彼女はそう挨拶をすると、自宅へと向かった。

上空管制塔から地上へは、粒子リフト型エレベーターを使う。上空管制塔は粒子リフターの原理で浮いている。しかし、エレベーターと言っても、ワイヤーで繋がっているわけではなかった。

帆夏は地上の駅へたどり着く。駅を出て、少し空を見上げた。すると、彼女は目を疑った。あのリフト型エレベーターが爆発したのだった。

――何で!?

帆夏はあまりの出来事に言葉が出なかった。

――これは事故なの!?

周りの皆が逃げ惑っているのが見えた。上空からは破片が大量に落ちて来ていた。

――避難しなければ!!

――けが人も誘導しなければ!!


一方、上空出入国ターミナル。爆発音はそこにも届いていた。

――一体何が!?

結城は一面窓から階下を見た。そこには爆発の後に燃え盛る炎に包まれたエレベーターがあった。警報が鳴り始めた。そして、緊急アナウンス。

「火災が発生しました。ご利用のお客様は急いで避難を開始してください」

そのアナウンスは結城の耳にも届いた。それにより、彼は利用客の避難誘導を始めた。

「ご利用のお客様はこちらへ!!」

結城は利用客をエレベーターへ誘導した。しかし。

「error」

エレベーターはエラーを示していた。

――なぜ!?

「白井、聞こえるか?」

稲津誠から無線で連絡が入って来た。

「はい。何でしょうか?」

結城は無線に応答する。

「今回の爆発は粒子リフト型エレベーターで発生した。それにより、隣のエレベーターも使えないことが分かった。だから、航空機や小型機での避難を行ってくれ。いいか?」

「了解」

結城は無線にそう答えた。そして、利用客を搭乗口へ誘導し始めた。しかし、タイムリミットが迫っていた。爆発の影響で、上空管制塔の粒子リフターが破損し、上空管制塔全体が傾き始めていた。

――上空管制塔が傾いている!!

帆夏は地上から上空を見上げる。地上からでも傾いているのが分かる。

――一体どうすれば!!

帆夏は立ち尽くした。



上空出入国ターミナル。もう既に避難は完了していた。残るはスタッフ数人。その中に結城もいた。

――急がなければ。

駆け足で戦闘機へ向かう。エンジンをかけ、脱出の出口を開く。

機体に乗っても傾いているのが分かる。もうすぐそこまでタイムリミットが近づいていた。

ゴォォォ。彼は地上へ向け、戦闘機を飛ばした。



一方、地上では、修理班が編成されていた。このまま、放っておけば、地上に破片以上の被害が出る。それを阻止するためであった。

――大丈夫かな。

帆夏は上空を見上げる。修理班が次々と上空へ飛び立つ。

――崩れてこなければいいが。

帆夏は修理班が上空管制塔を修理している光景を地上からずっと見ていた。

「帆夏!!」

背後から声がした。振り向くと、航と結城がいた。

「大丈夫だったか?」

「うん。私は」

「そっか。安心した」

航は安堵の表情を浮かべた。

「まだ、見てる?」

「うん」

三人はそのまま、青空のもと佇んでいた。


翌朝の新聞の一面は昨日の上空管制塔の記事だった。見出しの下に写真も載っていた。けが人の人数も掲載されていた。そして、今は修復が完了し、安全なことも。


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