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ICY SONIC BOOM  作者: 津辻真咲
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エア・レース


梅雨明けの初夏。快晴が続いていた。

もうすぐ、夏のエア・レースが開催される頃だ。


早朝、帆夏は航、結城と共に上空整備基地へ集合していた。帆夏は朝食を食べている。もぐもぐ。

航は戦闘機の最終チェックをしている。帆夏は航の後ろ姿を見ていた。もぐもぐと。

「最終チェック、終わったよ」

最後のおにぎりと共に、最終チェックも終わった。

「ありがとう」

帆夏は航にお礼を言った。

「行こう」

結城は帆夏へ言う。

「うん」

帆夏は席を立つ。そして、戦闘機へと乗り込んだ。航が誘導する。そして、戦闘機は飛び立って行った。航はそれを見送る。

――今日も、空は青い。


帆夏と結城の二人は現場へ到着した。今回の現場は、今日、開催される夏のエア・レースの会場だ。このエア・レースは、一般の航空機も参加できる大きな大会だった。


帆夏と結城は会場のスタッフ・エリアへ向かう。そこでミーティングがあるのだ。

今日の警備計画の確認だ。

「ようこそ」

エリアへ入ると、地上警備の主任、東寺歩唯とうじふ ゆいが姿を現した。立体映像のその彼は、帆夏たちを出迎えた。

「あなたたち、上空管制塔からの警備班は上層警備を行ってもらいます」

――上層警備?

「上層警備は上空。中層警備はレース周辺。下層警備は地上。その三つに分かれてもらいます」

東寺歩唯は説明する。

「それから、今回の総指揮はわたくし、地上警備担当の東寺歩唯が行います」

彼は頭を下げた。そして、帆夏たち、彼らの携帯端末が鳴った。

「詳しくは携帯端末へ転送しました。では」

彼はそう言うと、姿を消していった。


打ち合わせ後、帆夏、結城はエレベーターで戦闘機ごと上空へ向かった。そして、その後、その基地で待機となった。

通常、ピットは粒子リフターで浮遊している。上層警備基地もそれと同じものが使われている。それは、粒子の反作用で宙に浮くという原理のものである。それにより、音も風もなく、宙に浮いていられるのであった。


「……」

帆夏は黙ってレースを見ていた。一方、結城は携帯端末で、警備計画の確認をしていた。すると、レース中盤。天候が悪化してきた。

「空木、応答せよ」

気象管理人工知能の葉月だった。

「葉月。何でしょう?」

帆夏は尋ねた。

「会場の気象状況なんだが、スーパーセルが発生し、竜巻が起こる可能性が高まった。だから、今すぐ、出動しろ」

「はい」

帆夏は無線を切った。


帆夏と結城は急いで戦闘機へと乗り込んだ。そして、戦闘機で緊急出動していった。帆夏たちは上空へと向かう。

戦闘機には、水分を吸収する粉末がセットされている。それを積乱雲の上空から撒けば、積乱雲の中の水分を吸収して、海へ落ちるというものだ。それにより、積乱雲の発達を防ぎ、スーパーセルになるのを阻止するのであった。

上空10km。戦闘機は積乱雲の上空へ到達する。

「葉月、上空に達しました」

帆夏が報告する。

「分かった。粉末を撒くんだ」

「了解」

帆夏は指示を受けると、粉末を撒き始めた。結城も同様に。すると、その粉末は積乱雲の水分を吸収し、ゼリー状となり、海へと落ちて行った。

――完璧。

帆夏は口角を上げた。

二人はこうして、スーパーセルの発生を阻止した。二人は再び、上空警備基地へ戻るために降下し始めた。

――これで、レースは続行だね。

帆夏は階下のレース模様を見た。もちろん、レースは続行されていた。帆夏は誰も見ていないと分かっていても、親指を立てて、口角を上げた。


――あ。スーパーセルが消えた。

一方、上空整備基地の航はレースの模様を望遠鏡で見ていた。

――今日も晴れ。

今日も空は平和だった。


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