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夜景
帆夏と航は上空整備基地で夜景を見下ろしていた。今日は夜勤である。
「綺麗だね」
帆夏が階下の夜景を見て、呟く。
「うん」
その隣で航が頷いた。
「この美しい街並みを守っていかなきゃね」
帆夏が感嘆のため息をつく。
「うん」
航は隣で微笑んだ。
「ここは宇宙からの最後の砦だからね」
「そうだね」
「守るものがあると弱くなるって、嘘だよね」
帆夏が本音をぽつりとこぼす。
「そうなの?」
航はきょとんと振り向く。
「守るものがあると、自身の弱さが表に現れてくるだけ。元々、弱いんだよね」
「なるほど」
航は納得した。そして、しばらく夜景を見ていた。そして。
「これからもここにいていい?」
航は積年の思いを打ち明ける。彼女の隣で。すると、帆夏は微笑んで答える。
「もちろん」




