表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ICY SONIC BOOM  作者: 津辻真咲
10/11

軍事管理人工知能


「おはよう」

航からの挨拶に帆夏は笑顔で返す。今日は冬至。放射冷却により、いつもより寒かった。


――これは、声明文!!

文月はインターネット上のとある声明文に目がいった。それはテロリストからのものだった。

『地球外生命体を排斥し、上空出入国ターミナルを破壊する』

そう書かれてあった。


「おはよう」

帆夏は結城と挨拶を交わす。

「テロリストからの声明文があったんだってさ」

結城が話題をふった。

「そうみたいだね」

帆夏はもう既にそのことを知っている様子だった。

――地球外生命体を排斥する。

――どうやら、排他的なテロリストのようだ。

「皆、おはよう」

「おはようございます」

文月の登場に、稲津誠は丁寧に挨拶をする。

「どうしましたか?」

稲津誠は尋ねた。

「声明文の件はもう皆、知っているだろう。その件を受けて、今日から警備を強化しようと思う」

「はい」

稲津誠は返事をした。

「緊急警戒体制を発動する。ここ2週間はそのままだ。いいな?」

「招致しました」

稲津誠は丁寧に答えた。


――緊急警戒体制かぁ。

帆夏は上空管制塔で待機をしながら、考えていた。

「大事になっているね」

隣の結城が話しかけて来た。

「そうみたい」

帆夏は遠くの雲海を見た。


いきなり上空管制塔に警報音が鳴り響いた。

「何がありましたか?」

稲津誠は冷静に尋ねる。

「上空ジェット航空帯の航空機が次々と落下していきます」

側の管制官が説明した。

――何!?

稲津誠は慌てた。

「霜月。どうなっていますか?」

稲津誠は急いで霜月と連絡を取ろうとした。しかし。

「テロだ!! サイバーテロに遭っている!!」

応答したのは、文月だった。

「大丈夫なのですか!?」

「大丈夫じゃない!! 霜月、シャットダウンしろ!!」

文月は叫んだ。すると、次の瞬間。上空管制塔全体が停電を起こした。

――停電!?

数秒後。電力だけは回復した。しかし、航空管理人工知能の霜月は回復はせず、シャットダウン状態が続いていた。

「航空機は無事ですか!?」

稲津誠は尋ねた。

「無事。コントロールシステムが戻った」

文月が答えた。稲津誠は安堵した。



――まただ。

文月はインターネット上の声明文を見つけた。

『次はないと思え』

――困ったものだ。

文月はインターネットの声明文をもとに犯人を追跡することにした。

――犯人さえ捕まれば、何とか。

しかし、次の瞬間。文月はインターネット上から攻撃を受けて、シャットダウンしてしまった。


――シャットダウン!?

稲津誠は慌てた。いきなり文月がシャットダウンを起こしたのだ。

――文月は大量破壊兵器ともつながっている。

――危険だ。

上空管制塔はパニックになった。すると。

「私が何とかします!!」

霜月が声を上げた。彼女は先日、復旧していたのだ。

「分かりました。頼みます」

稲津誠は承諾した。すると、次の瞬間。警報が鳴り響いた。

――何?

稲津誠はディスプレイを見上げた。

「軍事管理とつながっている電磁気力戦闘機が暴走し出しました」

隣の管制官が知らせた。

「何!?」

稲津誠は慌てた。電磁気力ミサイルが次々に街へと落下していく。その光景がディスプレイに映し出されている。

――このままでは!!

「空木、白井。緊急出動」

「はい」

帆夏と結城はそれぞれ返事をすると、上空整備基地へと向かった。

「誘導よろしく」

帆夏は近くの整備士に言うと、戦闘機へ乗り込んだ。

ゼロ。そのアナウンスと共に戦闘機は上空整備基地から飛び出していった。

帆夏は現場へ向かう。すると、レーダーに軍事管理人工知能の電磁気力ミサイルが映った。帆夏は、迎撃ミサイルのボタンを押す。しかし、迎撃ミサイルはその電磁気力ミサイルを通過してしまった。

――迎撃できない!!

帆夏は焦った。


一方、上空管制塔。そこで、航空管理人工知能の霜月は軍事管理人工知能のコンピュータウィルスを無効化しようとしていた。


すると、帆夏の戦闘機の機器がカウントダウンを始めた。

――え!? 何!?

帆夏は機器を確認する。すると。

「電磁気力ミサイルに狙われている!! 脱出しろ!!」

結城が知らせて来た。

――そんな!!

カウントダウンが残り5秒になる。5、4……。

すると、文月が目覚めた。

「文月!! 大丈夫か!?」

稲津誠は叫んだ。

「大丈夫だ。ミサイルを止める!!」

3、2……。カウントダウンが止む。

――止んだ。どうして?

すると、文月が帆夏の戦闘機へやって来た。彼女は立体映像で姿を現した。

「大丈夫だったか?」

「はい」

「それは良かった。安心した」

彼女はそれだけ言うと、姿を戻していった。


次の日。軍事管理人工知能、文月は今回の件で解体の危機を迎えていた。しかし、航空管理人工知能の霜月と気象管理人工知能の葉月の二人が懇願し、彼女は続投になった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ