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エフ

「愚かな貴様にこの言葉を贈ろう。死ね!」


「言葉遣いが悪いのです♪ドワーフ♪」


塔から戻り、すぐに“何か”を探していることを教えたのだが、ドワーフには教えないで良かったのかもしれない。


「それが分かっていれば!もっと良いオススメスポットを!早く見つけられたぞ!クズが!!」


「見つけられるかどうかは分かんねーだろ!?」


「いーや、見つけられたぞ!というかもう見つけた!」


「どこだそこは!?俺の求めるものが分かるのかよ!」


「ああ、分かる!貴様の求めるものは…その……いや、貴様がクズだから忘れてしまったな。」


「出任せを人のせいにしてんじゃねーよ!!」


俺に罵詈雑言浴びせるコイツの方が悪性人格なんじゃないか?


「セカイさん、我に少し考えがあるです♪」


「おお、さすがロリヨージョさん!言ってみてくれ!」


頼りになるなぁロリヨージョさんは。ドワーフとは比べものにならないくらい有能だ。もしこの人が強かったら、冗談抜きでドワーフの良いところが無くなるぞ。


「はい♪セカイさんは今まで“何か”を長く探し続けたけれど見つけられなかった…それはつまり、我々がオススメする場所に“何か”は存在しなかったということになるのです♪なので、試しに次は我々がオススメしない場所に行ってみるのです♪いかがなのです?」


なるほどな。今まではエルフとドワーフに調査を任せてきたわけだが、同じヤツに調査をさせたら、どうしてもオススメに偏りがでてきてしまう。

その偏りの中に俺の求めるものがないなら、あえて二人がオススメしないような場所に行くってわけか。


「ロリヨージョさん…悲観的になる必要はねぇよ、あんたは有能だ。」


「…ごめんなさいセカイさん♪これは癖だから、治らないのです♪」


「ロリヨージョさん…すまない、チイトがクズなせいで…」


「だから俺のせいにすんな!!」


コイツが仲間じゃなかったら今頃その辺に捨ててきてるな。

しかしオススメしたくない場所ねぇ…なんか不安になってきた。できれば治安悪い場所にはあんまり行きたくないんだがなぁ。

正当防衛すると力加減を間違えて殺しちまうかもしれないし。


「そうにゃ!そういえば私にワーストオススメスポットがあるにゃん!」


「では早速行ってみるのです♪セカイさん、良いです?」


「ああ。行ってみねぇと分かんねー。」


あまり気乗りしないが“何か”のためだ。

こういうのはチャレンジすることが大事!ああそうだ。その通りだ。


~~~~~~~~~~


鉄のような物質でできた塀。それに囲まれた、巨大な廃墟のような街。ここはエフという国で、この世界で最も治安が悪い国。人口は少なく、住人のほとんどは犯罪者だ。王も含める。

ここでは犯罪を犯した経歴がそのまま地位に直結しているので、平気で犯罪行為を行う連中しかいない。結果、この国にいるだけで容赦なく犯罪に巻き込まれてしまい、自分の身が守れない人間は普通に死ぬ。


「その、困るのにゃ。こういう所でそういう事をされると…そんなこんなで…」


調査に入って早速絡まれるとは。治安悪いにも程があるだろワースト。


「コマル、ナンデ?オマエ、カワイイ、オソウ、アタリマエ!」


こいつら…おかしな喋り方をする。シャベル、ナンデ?オマエ、イラツク、ダマル、アタリマエ!


「もし、お兄さん方。その娘は俺のツレなんだ。汚い手を離してもらおうか?」


「なんやオマエぶっ飛ばすぞ!」


いきなり普通に喋んなよ。


「お前らみんなアホー!」


とりあえず煽る。


「うぉあー!ブッコロース!!」


あ、興奮するとカタコトっぽくなるのか。なんか面白いけど、とにかく軽く捻ってやるか。


「あ、あれはセカイの生み出した武術・アイキドウの構えにゃ!愛と軌道でできた武術で、哀で起動することからアイキドウというらしいにゃん…!」


エルフが俺の構えに対し大袈裟な反応をする。

そう、この武術・アイキドウは…前世から名前だけパクってきた武術だ。俺はかじった程度しかやったことがない。だが、この程度のチンピラならばすぐに倒せる。


「エルフ、適当なことを言ってはいけないのです♪」


「おいエルフ、今の嘘なのか?素人にしてはなかなか凄い嘘だな…私は騙されてしまったぞ。」


「にゃあ、ドワちゃん騙されちゃったのにゃー?まだまだにゃね★」


あれ、戦いを実況解説してくれるのかと思ったら雑談始めてやがる。


「お前ら、少しは俺の心配をしねぇのか…」


戦闘に対する興味0か。


「そんなこと言って既に勝ってるにゃ。一方的な試合ほどつまらないものはないにゃ。」


「その程度の連中に負けたらさすがに引く。」


…ま、まぁ捉えようによりゃ信用されてるってことなのか?

そうか、なんだかんだ仲間だ。やっぱりコイツらと居て良かった…多分。


「それにしても…ダメだな、ここは。」


「“何か”の気配がしないのです?でも、まだ分からないのです♪」


まぁ確かに来たばっかだし、正直言ってまだ何も分からないけど…


「貴様の思考はお見通しだ。別の場所に行きたいんだろう?クズだな。」


…クズって言うな。


「にゃんにゃん。私のオススメ嫌だったにゃん…?」


なっ、眼を潤ませて上目遣いしてきやがった!卑怯な…


「ぐっ‥お前ら…」


全員、的確に俺の痛いところ・弱いところを突いてくる。

本当にコイツらは俺の味方なのか不安だ。少なくともドワーフは味方のふりをした敵な気がする。


「ではみなさん、調査再開なのです♪」


ロリヨージョさんに半ば強制されながら、俺はエフの街を進むのだった。

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