安住の地
「ロリヨージョさん、この村はどうだった?」
村から出ると、ドワーフとエルフが待機していた。なんで俺じゃなくてロリヨージョさんに聞く?
「この村はダメなのです♪人の性質が悪いのです♪」
「ふむ、なるほど。チイトの安住の地とはなれそうもないな。」
「それなら次は私のオススメスポットに行くにゃん!」
「お前ら、俺を差し置いて話を進めるな!行き先は俺が決めるんだよ!」
ドワーフの目がこちらに向く。これは…嫌な尊敬の眼差しだ。
「なんだよその目は!」
「貴様の言うことを聞くバカはここにはいない。黙ってついてこい、キセイチュー人間が!」
キセイチュー…ああ、あの寄生虫みたいな魔物か。
「てめぇ、誰がキセイチューだこの野郎!!」
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「にゃあ。ここはエーって国にゃ。世界で一番栄えてる国にゃ。」
ふーん、ここが次の安住スペースか。なかなか立派な城があるじゃないか。よし、あれが拠点だな。
「おい、ここの連中は俺の事を知ってんのか?」
「知ってるけど…傍若無人って噂で有名にゃ。大丈夫にゃん!」
クソ、なんで俺が傍若無人呼ばわりされねぇといかんのだ…まぁいい、お恵み乞食は寄ってこないだろうからな。
「では早速、調査するのです♪エルフとドワーフはここで待機するのです♪」
「おっけーにゃん!ロジョちゃん死んだらダメにゃよ?」
「了解だ。ロリヨージョさん…死ぬなよ。チイト!お前が止めろクズが!」
「ドワーフてめぇこのまま暴言吐き続けてたらどうなるか分かってんだろうなオラ」
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この王はなんで俺にごますりするのか?
「英雄殿!ワシの国へようこそおいでくださったなぁ!ささ、早速この国の良さを味わっていただこうではございませんか!」
「別に知りたくねぇし、いいからその玉座をよこせ!」
「んー?何を言っておるのです、この玉座はワシのモノだからあげられませんぞ?」
「この国がどうなっても知らんぞ…そこをどけ。」
このジジイ…全然譲る気ねぇじゃん。困るんだがなぁそういうのは…
後が面倒だから荒事を起こしたくない。どかないなら別の場所に行くだけだ。
「うーん、さすが英雄殿じゃ。ワシも若い頃はそのようなギラついた目をしていたものだ。いいでしょう!ではワシの玉座を進呈しようではないですか!しかし、条件がありますが。」
いっちょ前に交渉しようとしやがって、なんだコイツ。
「なんだ、言え。」
「実はだね、お隣のビーと近々戦争をすることになったのだ。その戦争にわが国の兵士として参戦してもらいたい!見事勝利を収めたなら、手に入れたビー国の玉座はあなたに譲りましょうぞ。いかがかな!?」
「……じゃあな。もう会うこともねぇが。」
コイツも俺の能力を体よく使うつもりか。クソしかいねぇのかよこの世界には…!
世界の危機なんか救ってこの能力を見せびらかすんじゃなかった。それだけが今ある後悔だ。
「気にしないのです♪また別の場所を探すのです♪」
「なぁロリヨージョさん。…俺は能力だけの人間なのか?」
まずい、こんなこと言うつもりはなかったのに…
しかし、すぐに訂正することも出来なかった。…なんだこの質問は、バカか俺は。
「…そんなわけないのです♪能力が無くたって、我はセカイさんの側に居るのです♪」
…そうだよ!ロリヨージョさんが能力目当てで俺の側にいるなんて、そんなわけ無いだろーが!
「…へへ。」
「さぁ、次はドワーフのオススメスポットなのです♪期待するです♪」
そういえば、エルフとドワーフは俺の能力目当てかもしれない。
…いや、仮にも今一緒に行動してる連中を疑うべきじゃないか。