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        4.

レテイは観念した。

最初は冗談だと思っていたプロポーズもどうやら本気のようだと気がつくと、これはもう自分の手に余る。

「わかりました。私の父がいいと言ったら結婚します」

断る理由を父に委ねた。


父がいいと言うわけがない。


どこかで残念がる自分がいる。

彼は私じゃないとダメなんじゃないの?



ハワード隊長は二週間の休暇願を出すときっかり二週間で王都に戻り、ちゃんとレテイの父から結婚の承諾をもらっていた。

ついでに持参金やなんやらの結婚の取り決めも決めてきたという徹底ぶりだ。


「本当ですか?」

「おう、ほんっと。いやー良かったぜ。お前の父ちゃん、ちょっと恐かったけどすぐに承諾してくれたしお前の弟と仲良くなって王都に来いって言ったら来るってよ」

「そんな簡単に?」

「おう、ほんとだって。お前に会いに来るって言ってたから嘘だと思うなら聞いてみな。すぐにでも結婚したいって言っといたから」


そういうとレテイをガバッと引き寄せてキスをした。

ムードもなにもなく周りに人がいないのがせめてもの救いだった。

私のファーストキッス!!、と文句を言いたかったが

「ほんっと、良かった」

うれしそうに笑う隊長にレテイは「ま、いっか」と諦めたのだった。


二日後、慌てた様子でレテイの父親と長兄が馬で王都にやって来た。


父親はひどく驚いていて、大丈夫か、とレテイを心配した。

「ええ、大丈夫。ああ見えて良い人なの」

この二日で覚悟が決まったレテイは心からそう言ったがそれでも心配そうな顔をしている。


「仕事だってちゃんとできるのよ。将軍や宰相からも信頼されてるんだから」

思わず笑ってしまった。

どこの輩かと驚くほどすごんでしゃべるものの当時二十一歳の若さで隊長になるくらいなのだから国からの信頼も厚いのだろうし、将軍や宰相に対してもオラオラ系のしゃべり方でしゃべって、それが良いか悪いかは別として、本当に裏表のない人だと思う。


いや、そういうことじゃなく・・・と父親が言い募るのでレテイは許可したのは自分じゃないの?と突っ込みそうになった。

父親は言葉を飲み込むと諦めたように大きなため息を一つつき、大変だろうが頑張るんだよ、と言うとそれきり黙ってしまったし、横の兄は厳しい顔をしていた。


十六歳で家を出てからは一度長兄の結婚式に戻っただけでゆっくり家に帰ったことがなく、しかも結婚相手を王都で見つけてしまう一人娘なんて両親に対して申し訳なかった。

地元に戻って嫁ぐのだと家族の誰もが思っていただろうし王都で結婚をするという選択はレテイ自身も想像してなかった。


この機会に見ておいてくれと隊長が言うものだからこっそり仕事を抜け出してレテイが父と兄の三人で見に行ったのは隊長が住んでいる宿舎で、それはレテイにあてがわれている狭いワンルームの宿舎などではなく使用人用の部屋までついている特別待遇の建物で二階に大きな寝室と来客用の部屋が二つもあった。


トレントの二週間の休みのせいで今日のレテイはいつになく忙しく、父親たちと宿舎を見には来たものの仕事がまだ残っていた。

だけどここの来客用の部屋を使わせてくれるなら急いで仕事を片づけた後に父たちと夕食を一緒に食べられる。

そう思いついたレテイは父にそう言ったが、残念だがこれからすぐにハワード隊長の両親のところに挨拶に行くと約束をしていて晩餐に招かれているし、そのまま泊まることにもなっているのだ、と言われた。


それならばと王都を案内したかったレテイは、間近に迫った期日の仕事を四つも持っていたが明日の午後からなら何とか時間を作るというと、明日は王都に来たらしようと思っていた用事を済ますつもりでいるし終わり次第帰らないと判事の仕事の予定に間に合わない、と断られひどくがっかりした。

そして次の日レテイが仕事に追われている中、父と兄は地元に帰って行った。


「どこが気に入って結婚の許可を出したのかを聞きたかったのに」

結婚を許可した決め手はなんだったんだろう、と考える。

まさか脅しに屈した、などということはないだろうと思ったが心配だった。

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