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だいたいプロポーズに一生のお願い、なんて言われても困る。
一生のお願い、というのは掃除当番を替わってほしい、とか、恐いからトイレについて来てほしい、というときに使うべき言葉で本当に一生がかかわる真剣な場合に使う人はいない、ハズだ。
少なくともレテイが今まで聞いたことがある一生のお願い、というのはすぐに「いいよ」と返事ができるものだった。
上司でなければふざけてる、と速攻、腹にグーパン(拳でパンチ)しても文句は言えまい。
暴力行為と思われがちだが少なくとも第二騎士隊の男性たちはグーパンを挨拶代わりに使っている。
「ういぃっす!!」と言いながら急に相手のお腹にグーパン → 「おっ、今のは効いた」 → 「だろ?」 → 二人だけで大笑い、・・・そういう挨拶の仕方がある。
普段から腹筋を鍛えているので大丈夫なのか、ただのやせ我慢なのかはちょっとわからないが毎日どこかで見かけるといっていい。
レテイは挨拶として使ったことがないが、やってみたいという願望はあった。
するなら今だ、とも思うが上司なのでやっぱりやらない。
つまり、このプロポーズは挨拶代わりの冗談である、というのがレテイの認識だ。
そこでしばらくは放っておいたがだんだん言い方に変化が出てきた。
「レテイ、一生お前だけを愛すると誓う。どうか結婚してほしい」
同じ「一生」でも使い方が変わるとなんとなく雰囲気が甘くなる。
最初はこれ見よがしな大声で叫ばれていたものの珍しく空気を読んだのか今ではちゃんと周りに人がいないときを見計らってこの甘い方を言ってくる。
これは一体どうしたものか。
地元がいくら田舎でもここまでオラオラしゃべる人はレテイの周りにはいなかった。
役職が隊長とはいえ厳格な父親に紹介しにくいほどにはオラオラだ。
だけど断る理由がオラオラ言うから、と隊長に言いにくい。
オラオラが隊長の全てだから。
性格が悪いわけでない。
思ったことを正直に言いすぎるだけで。
優しいところもある。
怪我をした隊員には大丈夫か、とか、医務室へ行け、と声を掛けていく。
男性騎士からはとかく慕われているようだ。
男気だ!あの男気といったら半端ねえ!俺たちゃ一生ついて行きます!!といったタイプの男性騎士にとくに好かれていて、他の男性騎士も、まあ、そうだな、うん、ついて行きます、となっている。
あと、ケチでない、というのが大きな慕われポイントだ。
乞われると仕事を切り上げ、明日が非番の男性騎士たちを大勢従えて飲みに連れて行く。
飲んで食べて無礼講、愚痴や悩みを聞いた上に酔って大騒ぎになっても自分は溜めた仕事を明日しないといけないとわかっているからかあまり飲まずにいて、さらには潰れた部下を介抱するらしい。
支払いは全て隊長持ち。
しかも女性騎士には代わりにこれを、と言って高級そうなお菓子をくれる。
が、女性からの受けはいいとはいえない。
お菓子はちゃんともらうけど、なんかコワイ。
お礼を言いつつ、みんな笑顔が引きつっている。
変にからかわれて迷惑していることを差っ引けば、余分に仕事をしているレテイをちゃんと気遣って他の女性騎士と同じ時間に帰らせてくれている。
ただし、レテイの他に隊長の仕事をフォローしそうな女性騎士は今のところいない。
せめて隊長をコワくないという女性騎士が現れてほしい。
顔をまじまじと見る勇気が必要だが体が大きくて無駄にコワいけど顔立ちは整っている。
最近歳を知ったが思っていたより若い二十六歳で未婚で騎士隊隊長。
結婚相手として悪くないはずだ。
ただしゃべり方で損をしている。
毎日プロポーズを受けているうちにレテイは自分以外、女性の理解者がほかに誰もいないからだ、と思い至った。
だからあんな必死なんだと。
本当は良い人なのに。




