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自責

「ところで結婚式に来たんじゃないならなんで隊長はここに来たんですか」


ジェーンとグラントがいなくなっても二人が去って行った方向を見つめたまま呆然としているトレントにアレクが尋ねると横に居たユアンがニヤニヤしだした。


「そうだ、てめえ、さっき家に行ったときなんで出て来なかった!?」

思い出したトレントがユアンにすごんだ。


「傷が痛くて寝てたんだ」

ユアンのニヤニヤは引っ込んで途端に泣きそうな顔をした。


「俺にも見せてみろ」

「いやだよ。さっき見せたじゃないか。その顔は絶対触るつもりだろうけど駄目だから。本当は動くのも嫌で痛いんだ」

「さっきのやつとここまで来る元気はあるじゃねえか」

トレントが不服を言うと

「それはグラントさんが僕を殴ったあとに、来ないと後悔させてやるって脅したんだ」


なぜ知り合いなのかはわからないが第二騎士隊隊長のトレントとユアンという青年がもめだしたのでアレクは仲裁に入った。

「あのー、言い合いはそれくらいにして、君の顔さっきより腫れてきてるけど大丈夫なのかな」

伯爵は少し、とか言っていたけど少しでこんなに腫れるものかとアレクは気の毒に思った。


「グラントさんの従者はイカレてる、って言ったら急に殴ってきて・・・顔がどのくらい腫れてるか見たいんですけど鏡のあるところ、知りませんか」


アレクがジェーンの家の侍女を呼んできてやり、ユアンの顔を見た侍女は手当をするため屋敷の中に連れて入ると、マシューも心配そうな顔をしてあとをついて行った。


「さっきのユアンって青年、オーウェルっていう苗字でしたけど王都では隊長がレテイ・オーウェルにフラれたって噂になっていましたね」

うっかり面白がって王都での噂話を口にしてしまってから、あ、本人の前で言ってしまった、とアレクは後悔したがトレントは

「クソッたれが!」

と毒づいただけだった。


トレントはアレクに毒づきながら、どうやら自分も悪かったが、そもそもレテイも悪いのだ、と思った。



一方、レテイは―――

なんで誰も止めてくれなかったの?と恨むがそもそも自分が悪いのだ、と思った。


あの時、父の不安そうな顔をなんとか解消させたいと強がって見せた。


16歳のとき、王都で騎士になりたいから試験を受けに行きたい、と言った際には、そうか、と言っただけで行かせてくれた父が、あの時はひどく驚いていて、大丈夫か、と心配そうに私に聞いたのに


「ええ、大丈夫」


私は確かにそう言ったのだ。



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