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グラントと将軍の娘

3/12分がダブっています。中は同じです。すみません。

結局将軍に誰と試合をするのかと聞いても答えてくれなかった。

だが将軍もしくは跡取りの息子がいるはずなのでそのどちらかと試合をするのだろうと見当をつけていた。


将軍に言われた通り次の日彼女が働いている食堂に食事をしに行くことにする。

従者はつけずに一人で行ったが今回は彼女が注文を聞きに来た。

挨拶をしようと注文をとりに来る彼女に対し席を立って待ったが挨拶をする前に、ご注文は?と聞いてきた。

私に座るよう手ぶりで促し、小さな声だが聞こえるように、ジェーンよ、と言った。

座ったまま私も名前を名乗った。

「堅苦しいのは禁止よ」

彼女は笑っていた。


次の日もその次の日も私は彼女に会いに食堂に通った。

ジェーンが注文をとりに来る、挨拶をし、食事をして、帰る、それだけだ。

言われるがまま一週間通ったが最初から気持ちは固まっていたので将軍には改めて彼女に紹介していただきたいとすでに申し出ていた。


数日後、王都の近郊にある将軍の屋敷に招かれたが案内された屋敷の裏庭にジェーンが騎士の制服に似た格好で現れたときは驚いた。

王都には女性の騎士がそう多くはないがいて何度か見かけたことはあるがこんな間近でズボンを履いた女性を見たのは初めてだ。

惚れた弱みというかよく似合っている。


横で将軍が耳打ちをしてきた。

「侮ってくれるな、あれでなかなか強いのだ。本当に結婚をしたければ容赦をせず打ちのめすといい」


彼女は確かに強かった。


稽古であれば男性相手でもいいところまで戦えるだろう。

ただ私は前線で戦った経験が何度もあったし、力ということであれば男である私の方が勝っている。

将軍がとめるまで何度もかかって来たがさすがに打ちのめすわけにはいかず私としては彼女の剣をはらうだけだ。


そのうちの何度かははらった力が強すぎたのか剣だけが横に飛んで行った。

彼女は剣を拾ってからまたかかって来る。

さらに二度ほど勢い余って身体がすっ飛んで行ったりした。

剣は刃のない練習用だが何度かは体に当たったはずだ。

今晩にも打たれたところが青くあざになるだろう。

いくら将軍に言われたからとはいえ彼女をこんなにボコボコにしてしまっている。

いや、彼女が勝手に体力を消耗しているだけなのだが私に比べて華奢である分仕方ない。


そして私はこのジェーンへの気持ちが成就することはない、と諦めていた。


将軍のひとことでやっと試合が終わり、破れかぶれになりながら足腰の立たなくなった彼女の前にひざまずきプロポーズをした。

するとひどく驚いた顔の彼女は私の顔を見て次に自分の父親の顔を見、将軍がうなずくとうれしそうな顔をした。

そして私にすばらしい笑顔を向け

「はいっ!」

と返事をしてきた。


「私の領地は国の西端の辺境にあります。代々我がウエストコートランド家が国境を守る義務にあり本来私は領地を簡単に離れられません。特に冬場は街道沿いでも雪深い場所があるため簡単に王都に帰れない場所にあります」

簡単に領地の説明をしたが

「かまいません」

とジェーンは答えた。

「社交シーズンも私は一緒に行けない年があるでしょうし、行けたとしても領地の状況によっては早めに切り上げることになるかもしれません」

と言ってもにこやかに

「ええ、王都に行かないから大丈夫です」

と答えた。


できるだけ早く結婚を決めたいと思って王都に来たが一年ほどはかかると思っていた。

これまで領地で管理人と念密に打ち合わせをして細かく指示を出してきたのもそのためだ。

こんなに早く妻になる人を見つけることができるとは思っていなかった。

彼女は会って早々こんな簡単に私に決めていいのだろうか、と心配になるほどだ。

このまますぐに婚約を発表してもいいのかと将軍と話し合いになった。


婚約期間が短いと世間から変に勘ぐられる。

身に覚えがあってもなくてもだ。

とくに覚えのない女性の側は避けて通りたいことである。

しかし将軍は急いだほうがいい、と言ってきた。

詳しくは言わないが横槍が入るに違いない、と。

詳しく言って欲しかったが話は結婚特別許可証のことになった。

婚約は発表せず、結婚特別許可証を手に入れてきて欲しいとの申し出だ。

私に異存はないがなぜ将軍が急ぐのかを知りたかった。

説明はもう少し先にさせて欲しい、ジェーンに醜聞があるわけではないので安心してくれ、ただ兄である宰相と相談してどういう風にするのが一番いいか決めてから追って連絡をする、そこまで言われてはおとなしく引き下がるしかなかった。


翌日の昼過ぎ、将軍の屋敷に来た。

今日からしばらく食堂を休むというジェーンに会いに来たのだが客間に通されるとすぐに彼女は挨拶に来たものの用があると言って引っ込んでしまった。

聞けばジェーンの母親の陣頭指揮のもと裁縫に覚えのある侍女をはじめ、近くに住んでいるという乳母やさらには従妹にあたる宰相の娘が泊まり込みで来てウエディングドレスを作っているという。

ジェーン自身も自分が仮縫いをされながら縫えるところは縫っているらしく今日はこれ以上会えないようだった。


領地は田舎とはいえ仕立て屋くらいはいる。

王都では貴族でも自分たちで結婚衣装を作るのかと感心した。


とはいえジェーンと二人で会える時間が全くないのには参った。




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