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疑問

初投稿です。短編を目指していたのを断念し、途切れ途切れの話の連載になっています。ご笑納ください。

なぜだろう。

私には求婚者が一人も現れない。

年頃になると二人の姉には求婚者が列をなして家の玄関におしかけて来ていた。

対応に追われた執事が思わずいらいらした表情を顔に出すほどだった。

うちは貴族の家系にしてはめずらしく、母が恋愛至上主義で娘たちは自分で結婚相手を選んでいいことになっている。

無理に結婚しなくても大丈夫、好きな人ができなかったらこのまま家に居たらいいのよ、とも言われている。

今の私と同じ歳のとき、すでに姉たちには婚約者がいた。

もちろん自分で選んだ´愛する人´とだ。


十代のうちに二人とも結婚して現在上の姉は二人目の、下の姉は初めての子供を妊娠している。

妊娠がわかった時二人の夫は各々姉を大切に大切に包み込むようにしてさっさと自分の領地に連れて帰っていった。

もし二人が同時に産気づいたら母と手分けして私もどちらかの姉の出産に立ち会わないといけないかもしれない。

まあ、行ったところで未婚の私が役に立つとは思えないが。


その姉たちに対して私だって容姿は負けず劣らずだと自負している。

ただ私には夫となる人へ条件がある。


男子たる者強くあるべき。


そうなったのは父が原因かもしれない。

私の父は爵位こそないが国で将軍職を賜っている。


だが私はそこまで高望みはしていない。

条件は自分より剣の腕がたつ人。

それだけだ。

夫になる人がへなちょこでは困る。


昔は父の遠征に兄と一緒について行った。

国境にだって何ヶ所も行ったし何度も行った。

兄といっても私とは双子で小さい時からいつも一緒にいていつも同じことをしていたので剣も同じ先生に習っていた。

父が兄に負けない私の立ち合いを見て剣の筋が良い、女にしておくのがもったいない、とよく嘆いていたものだ。

そのせいだろうか父の遠征時、私が女だからという理由はつけられず必ず兄と共に連れて行ってもらえた。

ただ12歳になって兄が寄宿舎のある学校に行ったときは女であることを理由に私は家に残った。

学校は男子のみの全寮制だった。

しかし家に残されたからといって私はすねることなく機嫌よく暮らしている。

父が家にいるときは剣の練習の相手をしてくれるし、父の権限で騎士団の練習にだってしょっちゅう通えているから。


そういうわけで多少男勝りと言われても仕方ないところはある。

だが騎士団の練習に通っているから知っているけど女性騎士は案外モテる。

男性の騎士から恋愛相談を時々受けるが、身近な存在がいい、とか気心が知れる、などとのろけられる。

私も相談する。

「私は女としてどう?」

聞くと必ず大笑いされて終わる。


思い当たるところもある。

強すぎるから。

男というものは過ぎたるものを苦手とするらしい。

美しすぎる、しゃべりすぎる、身分が違いすぎる、いろいろ敬遠される理由になるらしいが私の場合は剣の腕。

騎士団の同じ年頃の人と試合をして負けたことは一度も無い。

最初は女に負けるなんてと笑っていた男性騎士にだって互角に立ちあえる。

将軍の娘という立場を除外しても多少は認めてもらえているはずだ。

もちろん私は騎士になれるものならなりたかったが母が大反対をした。

練習も母から、怪我をするくらいなら練習場には行かさない、と釘を刺されている。

ちょっとした打ち身ですら痕になるといけないと言って大騒ぎになる。

そこで私が怪我をするのは良しとされない旨が将軍である父から騎士たちに通達されていた。

父は私に甘かったがそれ以上に母に甘く、母の望みは自分の望みだと公言していた。

私はたとえ死んでも怪我だけはしないようにしなくちゃならないのよ、と仲の良い騎士たちに伝えていた。




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