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死立屋さんは、死を望む  作者: 暁雪
《白寂の山茶花》
18/18

〚花蕾−Ⅴ〛

紅条のメモによる会話は、(ーーー)で書かせて頂きます。


「ーーー樹怪上空に到達。いつでも突入出来ます。」

樹怪が侵食し始めてから、約3時間。

南区はほぼ呑まれ、眼下には深い緑が茂っている。

「おー、」

「····僕達、今からあそこに飛び降りるんだよね。」

隊員の反応は様々で、呑気に樹怪を見下ろす者も居れば、緊張に喉を鳴らす者もいる。

冬間はというと、唯黙々と突入する為の身仕度みじたくを整えており、隊員から1歩距離を置いている。

····任務中に其れが無いといいのだが。

「····紫暮を偵察に行かせたのち、各自パラシュートを使用し突入。全員揃うまで待機だ···以上」

隊員の身仕度が終わるのを待ってから、此れからの指示を出す。

紫暮を偵察に行かせるのは、落下地点の安全を確保し、隊員の生存率を上げる為。

もし落下地点が蟲の巣だったりしたら、隊の全滅も有り得る。 

故に、偵察は大事だ。

紫暮ならば、例え何かあってもそう簡単に死にはしないだろう。

····多分。

「·····では、お先に。」

「あぁ、頼む。」 

別に自分が言ってもいいのだが、其れを紫暮が許さない。

アイツは、変なトコロで心配性な奴なのだ。

いつからそうなったのだろうか。

分からないな。


ピーーーー……


彼が飛び降りてから数秒後、問題が無い事を知らせるブザーが鳴った。

「······突入」

·····随分と手際がいいな。

どうやら、自分が不在の20年でかなり成長したらしい。 

喜ばしい事だ。

「·······」

「お先〜」

「え!?待ってよ~」

「突入」の指示を出すと、冬間と菊帥が真っ先に飛び出し、其れに來世が続く。

そんなに焦る必要もないと思うのだが。

「·······えいっ」

そして暫くすると、覚悟を決めた白庵が樹怪へと飛び降りて行った。

あんまり足を曲げて飛び降りると、着地する時が大変だと思うのだが。

まぁ、後々指導していこう。

あと残っているのは·····

紅条だな。

確か、紅条は書類に高い所が駄目と書いてあった。

大丈夫だろうか····いや、駄目そうだな。

後ろを振り返ると、紅条が己の武器である斧槍フソウを握り締め、其の場にヘタりこんでいた。

完全に萎縮している。

「····大丈夫か?」

(·····大丈夫じゃないかもしれません)

矢張やはり。

もしかしてと思っていてみたが、もしかしなかった。

だからといって、紅条だけ置いていくワケにもいかない。

しかし、長時間励ます程時間に余裕は無い。

·····どうしたものか。










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