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死立屋さんは、死を望む  作者: 暁雪
《白寂の山茶花》
13/18

〚花蕾−Ⅱ〛

[種要シュヨウ

頸動脈付近(鎖骨の間あたり)にある、卵型の臓器。大きさは1cmくらい。Sシード細胞を生み出し、栄養を与えている。

何らかの原因でS細胞が増え、「身体に供給される栄養」と、「S細胞に与えられる栄養」のバランスが崩れると『開花』して死亡する。


木のかおり漂う隊室に、柔らかな日が差し込む。

「ーーー本日より、不本意ながら『IPP−1』の指導官となりました。『裁暁サイジョウ 朝日アサヒ』です。至らぬ点もありますが、宜しくお願いします。」

「不本意って貴女····」

東棟の1室···『IPP−1』の隊室に、自分の無機質な声だけが

静かに響く。

隊室の内装は石の床に、木製のデスク。

其れ以外は観葉植物少々と、物が少ない。

出来たての隊故、当然だろうが。

····まぁ、其の方が動きやすくていい。

「·····あ、あの!『來世クゼ ミドリです!!」

隊室には、自分と紫暮を除いて男女5名。

今話し掛けてきた深藍色シンランショクの少年を含め、

初級者ビギナーの『菊帥キスイ ハジメ』」 

と、

「·····」

「ほら、冬間君も何か言ってよ!」

「········」

の3人だ。

そして女は

「え~?じゃあワタシ言っちゃうよぉ··『白庵シロイ リト』17歳!宜しくお願いします!!」

と、失語症を持つ


(『紅条クジョウ 結妃ユイ』です。)


の2人だ。

紅条はメモを通しての会話となる為、ある程度気を配らねば。

「····あぁ、宜しく頼む。」

冬間を除く自己紹介を終え、改めて挨拶をする。

まぁ、順風満帆とはいかないが、穏便に顔合わせが出来て良かった。

5人の階級は、まだ全員隊に入ってから長くない為に低い。『冬間 御寿』は中級者インターメディアだが。

······苦労しそうだな、コレは。

いくら品種改良によりS値が高くなっていても、其れをつかえなければ意味が無い。

其れに、花にばかり頼らず戦う事も教えなければ。

紫暮の様に。

其の為にはまず、此の5人の現状を実際の目で見る事だ。

····まぁ、1週間も見てれば分かるか。

どうするかは、其処から考えよう。



和気あいあいとした雰囲気の中、冬間の視線だけが冷たく、自分を刺していた。













[花]

S細胞が何らかの原因で成長し、開花したモノ。「摩擦による可燃性がある」など、何らかの性質を持ち、庭師は此れを扱う。

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