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さよなら、うそつき  作者: わたぬき たぬき
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絶望に満ちたまま授業は進み、やがて昼休みへと入っていった。半分が笑顔溢れる見てて微笑ましい雰囲気。もう半分は嫉妬や憎悪はやがて確かな殺意へと変わっていた、そんな教室だった。クラスの結束が固くなって私は嬉しいよ。今はまだ奴らにあるわずかな理性と法律が守ってくれているからいいが、いつまでも持つはずもない。今日からは隣のクラスで俺の第二の友人、海雪みゆき)のところでお世話になるか。あいつはほぼ必ず教室で寝てるからちょっと邪魔するか。さて、弁当を持って...

あれ、弁当を忘れたか。確か母さんが今朝なんかひかりに言ってたな。で、なんかひかりOKしてたな。そのあと大きい弁当持ってきてたな。二人分くらい入りそうな。


「あ、あのさ。今日さ、お弁当まとめて作っちゃったからさ、その、一緒に食べてもいいかな?」

なんでそんな恥じらいながら言うかな?それで出たよ、首を少し傾げての上目遣い。手にも緊張からか力が入っていて、きっと勇気を出したのだろうなとつい思ってしまう。これはもはや才能というやつか。当然これを俺は否定できずに了承。パァ、という効果音が聞こえそうなほどの笑顔で手をつかまれ、彼女の席まで案内された。たった今手錠をされ、処刑場に連れえていかれる死刑囚の気持ちがよくわかった。最後の晩餐が今、始まった。

お弁当はシンプルだがとてもおいしく、お稲荷さんやミートボールもなかなか美味だったが、特に卵焼きが美味しかった。ひかりが「卵焼きは甘党派。」と言ってたのでほのかに甘い香り漂うもののなっていた。周りの人もおいしいと好評だった。クラスの女子とも普通に話せているのでもう心配もないだろう。さてと、ちょっと出かけてくるか。ひかりの視線から消えたら奴らは来る。教室の扉を曲がってからが勝負。席を立つ。

「お、神倉もトイレか?俺たちも行くよ。」

なんでクラスの男子ほぼ全員でトイレ行くんだよ。お前らほんっと仲いいな。20人近くで行ったら絶対渋滞するぞ。ゾロゾロ。そして廊下に出る寸前、素早く教室を出て扉を閉める。モップをつっかえ棒として扉を固定。からの全力ダッシュ。ばかめ、出てから逃げても捕まるに決まってんだろ。当然モップは4限が始まる前こんなこともあろうかと俺が置いておいた。そして俺はお稲荷さんや卵焼きを素手で食べたことにより左手は油まみれ。それを教室を出る際、内側の扉の手をかける部位に塗りたくった。汚い?知ったことか。これにより扉を開けようにも力が入るまい。そして体扉を閉め、さらにモップをとり扉を固定し完成。後ろの扉は俺が逃げないようにするためか、机をバリケードにしてたからこちらもいい時間稼ぎになる。あんま俺をなめんなよ。

「野郎ぶっ殺してやる!」

「神よ、彼の罪人に静かなる死を与えたまえ。」

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」

最後のだけには絶対に捕まったらだめだな。

「ドコォ」

扉が蹴破られた。

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺krkrkrkrkrkkrkrkrkrkrkrkkrkrkrkrkkrkrkkrrkrkrrkrkrk---------------」

あれは俺とひかりの関係を質問していた人、なのか?

「フシュー、フシュー、ク、カカ、コ?コカァァ、オ、オク、シシャァ」

アカン。もはや言葉を忘れ、唯一残った殺意のみで動いている。嫌なものを見せてくれる、あれ以上いったらもう戻らないかもしれないのに。というか周りまですごい引いてるし。どんだけひかりに思い入れしてたんだよ。よくさっきまで正気を保ってたな。

さて、海雪のクラスまで5mほど。同じく奴と俺との距離もそのくらい。見合って見合って。クラスの人が扉を閉めた音で、互いが同時に走り始めた。海雪は喧嘩が特に強かった。恐らくこの怪物もなんとかしてくれる。わずかに早く教室に着いた俺は叫んだ。

「海雪!助けてくれ!」

「よ、鎧塚さんなら先ほど出かけられましたが…」

あれ?海雪さん、どういうこと?

その後のことはちょっと覚えてない。



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