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「1、2問目の答えが分かったとしても最後の問題については全く手も足も出ません。何せ白紙なんですから。」
「確かに白紙といえば白紙だが、今回は『空白』で捉えたほうが分かりやすいかな。」
3人揃って首を傾げる。言いたいことはわかる。「だから?」「さっきから何言ってんだ。」「何の違いが……」みたいな感じだろ。一応ヒントも出したとは思うんだが。まあいいや、どんどんいこう。
『我々の世界を構成してるもの』
『 』
「この文章から繋げられるとしたら『この空白は何文字分あるでしょうか』ぐらいだろうな。他にもあるかも知らないけど今回はこれで。んで実際上の文章と比べると4文字になる。『空白』で『4』といえば多分空白の4世紀だわな。中国の歴史文献だと266年から413年までの147年。今度はこの147の変換をする。他にも思いつく限りのものを考えたが1、2問目との類似性が見つからなかったのでそこは割愛。で、147を算木数字の南栄の横式ってのに置き換える。大丈夫、普通こんなの知らないから。まぁとりあえずそうすると147は棒一本とバツ印と垂直マークの下に棒一本になる。これにあるものを加えると共通したものになるんだが……えー、難しそうなので答えを言うとそれぞれにマルを加える。すると方向はずれるがそれぞれ地図マークの果樹園、警察署、郵便局になりましたとさ。てなわけで答えにはマルが足りなかったと。この答えは俺も強引だと思うけどこれで合ってるらしいのでご容赦を。」
「正直解説は全然わからなかったけど、結局答えは『--- ・・・ ・』でいいの?……兄さんこれもまた何かめんどくさい解読が必要なの?」
「めんどくさいとか言わないであげて。ここまでくればあと一作業だから。最後にこれをモールス信号に直すと『ose』っていうのになるんだよ。これは俺の中学校の教師みたいな人でこの手紙の差し出し人なんだよ。」
「めんどくさい人……。そもそも自分の名前だけ送ってくるって何なの?私が『ひかり』って送ったって夜一『お、おう。……で何?』としか思わないでしょ。意味わかんない。もしかして構って欲しいとか?私だったら無視一択だね。」
なかなかの罵倒っぷりである。あれでも昔は学校の理事長やってたってのに学生にはこの人気なさ。ここは一応3年間だけでも世話になった身として少しだけフォローを入れておいてやるか。
「ま、まあこの人にも何か考えがあるのかもしれないし。一応これでも俺はこの人の授業受けたくてわざわざ遠い中学まで行ったんだぞ。名前もそれなりに通ってたんだから。」
篝が中学校という言葉に反応したのはすぐにわかった。俺の中学校は全寮制のため家に帰ることはなかった。学校の規則で極力外との接触も禁じられていた。特に俺達0組はオセが許可を出さない限り絶対遵守となっていた。それでも一度だけ外に出る機会があった。誰にも会うつもりはなかったが篝だけには会ってしまった。その時の俺はだいぶ変わっていたから篝は酷く心配していたが、俺はそんな篝に何も言わず去っていった。今思うと本当に申し訳ないことをした。……あ、もしかして。
「シンガポールでしてた内緒の話ってのは俺の中学の事についてなのか?内緒ってのも海雪から何か酷いことされて口封じされてたのか。……野郎ぶっころ「いやいや!そんな口封じ何かじゃなくて。お願いみたいなのされただけだから……。」」
あいつあの時から既にそんなこと考えてたのか。俺への信頼なさすぎだろ。でもあいつが人を信じる何か無理な話か。せめて弟妹達くらいとは仲良くやってほしいが。そういや全く2人のこと聞かないな。
「私もほとんど何にも知らないから話すこともなかったけど、ごめんなさい。1つだけ……。」
篝がギュッと胸に手を当てて、言おうか躊躇ってるのを俺は制して止めさせた。
「篝がその時言ってなかったらあの時に俺はまずかった。どこにも謝るところなんてないよ。」
そう言って俺は篝からその先を言わせなかった。いまいち要領を得なかったのか、困惑の表情を浮かべる。他の2人はおんなじ顔でさっぱりわからないといった顔。だけどその話はここでしてほしくない。まだバレてないんだ、バレたらきっと同情されて気を遣わせてしまう。そしたらきっと全ての行動が気を遣った行動に見えてしまう。それは嫌だ。
話は戻って。
「じゃあそろそろ話しますか。他のお二方も退屈されてきたみたいだし。あと前もって言っとくけど、そんな面白くないからな。今はこんなんだし。」
3人の頷きを見て俺は話し始めた。