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さよなら、うそつき  作者: わたぬき たぬき
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時は経ち、8月の24日。俺は蓮香さんの墓参りに来ている。山の頂上付近にたくさんの墓が並び、その1つに「鶴久家ノ墓」とあった。今蓮香さんはここに眠っている。もうみんなはすでにお線香をあげ、車に戻っている。俺は少しだけ遅れていくといい、1人墓の前に立っている。

「とりあえず一段落着いた。俺は元気とは言えないですが心配はいらないので。とは言っても今体はボロボロで案外父さんより早くそっちにいったりしてね。とりあえずこれからたまには顔出すようにしますんでのんびり見守っててくださいな。」

簡単に祈祷を済ますと俺も車に戻った。みんなをあんまり待たせるのも良くない。

「じゃあね。お母さん。」


翌日。

「あ゛あ゛~。」

俺たちの学校は今年から夏休みが短くなり、今日から学校が始まる。しかも文化祭も9月の終わりには控えているので、その準備も行わなければいけない。それにまだ夏の勢いは衰えを知らず、つい通学路でこんなだらしない声が出てしまう。

「なんか、夜一も老けたね。」

隣を歩くひかりも額に汗をうっすら掻いていた。女子はスカートだからいいかもしれないけど、男子は長ズボンだからめっちゃ暑いんだよ。しかも汗でくっつくからもうほんと最悪だよ。冬の事言われたら何も言えないけど。

「もう嫌、はやく帰りたい。授業終わったら速攻で帰る。」

「今日の放課後はみんなで文化祭に向けた会議です。」

ふざけんな、俺は帰る。誰にも邪魔はさせねぇよ。


年次の始まりにやることの1つに、係・委員会決めというのがあなたの学校にもあったと思われる。前期、後期もしくは1年ずっとその仕事をしなくてはいけない。文化祭実行委員会。これもその中の1つだ。つまりはそういう事である。

「嫌じゃあー!」

「しょうがないじゃん。その時寝てた夜一が悪い。」

「あのなぁ、この流れはもう体育祭で使ったからいいんだよ。わかる?」

「いや、わかんないけど。でもさ、夜一が上手く動けばその分楽になるんだよ?ね?」

確かにそうなんだけど。それも考えたけど問題がもう1つ。普通委員会は複数人でやる。そして男女混合の場合が多い。この場合俺ともう1人、謎の女の子と一緒に行動しなくてはいけない。クラスメイトなんて幸生とひかり以外ジャガイモ程度にしか見たことのないからわかんないよ。俺にわかるのは男爵とメイクイーンくらいだよ。

「で、夜一と同じ委員の人があそこに座ってる水無月みなづき姫姜ききょうちゃん。綺麗だよね。なんというか、大人の魅力ってやつ?」

なるほど、確かにきれいなジャガイモだな。どちらかでいったらメイクイーンだな。その中でもいい出来だろう。しかし俺は男爵のほうが柔らかくて好きなんだよな。メイクイーンは若干男爵より値段高いし。

「まあとりあえず話してきなよ。まだ授業まで時間あるんだから。委員会うえの人が動かないと私たちは動けないんだから。」

背中を押され水無月さんのすぐ近くまで歩かされた。本人は本に夢中で全く気付いていない。軽く声を掛けるが無視、というか単純に気づいてないだけか。仕方ないので本との間に手を翳す。

「わっ!びっくりした...…。え、えと、あの、何か?」

「一応同じ委員会なんだけどな。今日俺帰るから放課後は任せた。」

一方的に用件だけ言って去ろうとする。別にこの人にどう思われようが知ったことではない。体を180度回転させその場を去る。だけど首はその場を動かなかった。

「い゛っだい゛!!」

「姫姜ちゃんおはよ!」

「ひ、ひかりちゃん!おはよ!」

「お前バカなんじゃないのか!?」

「この人夜一っていうんだけどさ、姫姜ちゃんと同じ委員会なんだけど面倒見てあげてくれないかな?」

「あ、そうなんだ。とりあえず出来得る限りはやってみるよ。」

ダメだ全く聞いてない。とりあえず俺は体を戻すが、ひかりが首を固定しているためその場を動けなかった。始業チャイムが鳴るまで俺はガールズトークを聞かされる羽目になった。たまに水無月さんが俺を見てくるが助けは最後まで来なかった。

ついでに彼女が読んでいた本はカメラの雑誌だった。


「神倉さん、進行役お願いしてもいいですか?」

「ざっけんな。他力本願とはあんたも随分と偉くなったもんだな。俺がここにいるだけでも感謝しろよ。」なんて事は勿論言えない。帰りのホームルームが終わり文化祭の話が始まる。昼休みに配った投票で、最も多い票をこのクラスの出し物になることにした。効率的でいい案だ。ついでにこれは水無月さんが提案実行したため、俺がここでNoとは口にできない。俺はというと『休憩所』と書いたが後でひかりにしばられそうなので、消して白紙で出した。消す際ちょっと破れたが問題ないだろう。俺以外にも白紙はいるだろうし。

「わかった。回収した投票貸してもらっていいか?」

俺は水無月さんから紙袋をもらい、やりたい出し物とその投票数を黒板に書いていった。

迷路 7票。

喫茶店の10票。

お化け屋敷 12票。

カジノ 2票。

縁日 6票。

白紙 2枚。

「というわけで、うちのお化け屋敷という事で。異論はないですか?」

勉強をしてる人や興味のなさそうな人などいたが、異論は特になかった。もしかしたら喫茶店に提案した人たちが何か言うのではないかと思ったが、そういうのもなかった。

「では本日はこれで解散とします。準備などの指示はこちらから随時出しますので。それではお疲れ様でした。」

その挨拶を機にバラバラとクラスから人が減っていく。俺も帰るとしますか。

「見事な進行役でした。ありがとうございます。それでは私も失礼します。お疲れ様でした。」

「あ、お疲れ様。」

いまいちあの人とは話しずらいな。今日初めて知ったからしょうがないといえばそうなんだけど。なんだろう、距離が掴みにくいというか。


俺はその後ひかりに先に帰ってもらい、1人職員室に寄った。担任をうまく言い包m...説得し、生徒の個人情h...とある紙を見せてもらった。うちのクラスは確かに40人だった。





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