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さよなら、うそつき  作者: わたぬき たぬき
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5

少し溶けたアイスと、道で会ったひかりを家に連れて帰ってきた。ひかりは家でとても人気で、来ると必ずパーティーみたいになる。まずはアイスをみんなで食べながらの雑談。最初に話題に上がったのは、いつひかりが我が家に来るのかについてだったが、どうやらひかりは今日からこの家に住むらしい。それを聞いた途端、兄貴と妹が壊れた。いつかは壊れるとは思っていたが。耳が壊れんばかりの発狂。そして俺も巻き込まれ謎のかごめかごめ。やめさせようとも思ったがひかりが本当に楽しそうに笑うので、今日くらいは俺も許すことにした。それからはみんなでゲームで遊び、親が帰ってきて、夕飯に焼肉を食べ、今度はトランプで遊んだ。散々に遊び12時ごろになると「明日どこか出かけようね」という会話を機に各々が部屋に帰っていった。俺も今日はもう寝ようと思い布団に入った。

「まだ起きてる?」

「もう寝るよ。」

どうせ明日からも家にいるんだ。会話などいくらでもできるだろう。

「そか。じゃあおやすみ。」

「...どうかしたのかよ。」

ほんとにこいつは俺の扱いに慣れてるな。

「ちょっと声を聞きたいなって思って。」

おい、俺は彼氏ではないぞ。漫画の読みすぎでは?

「あ、来週から私も同じクラスになるから。よろしく。」

ははは。やっぱりだ。こいつ、漫画の読みすぎだ。

「でも嬉しかったな。あそこまで喜んでくれて。(かがり)ちゃんがあそこまではしゃぐとは思いもよらなかったよ。」

「それだけ嬉しかったんだろ。」

「そだね。君も嬉しかった?」

「まあ、な」

それから少し家のことや学校のことを教えた。ひかりは容量がよく、1回いえばある程度は理解した。これなら勉強にもついていけるだろう。そしてふと、頭に昔の思い出がよぎった。

「1つ質問していいか。」

いつかは訊こうとしてた苗字についてだ。どこから由来したのか、いつの日か質問するつもりだった。

「大した意味はないよ。日向の中の日陰みたいな、明るいところの暗いところみたいな、ひかりの中の闇みたいな、昼の中の夜みたいな。ほんとにその程度の意味だと思う。よく父様がそんなことを言ってた気がする。意味はよくわかんないけど。」

自分を散々痛めつけ、そして捨てた人でもやはりひかりにとっては親なのか。

「ごめん。辛いことを思い出させた。」

彼女はただ静かに微笑み部屋を出て行った。

その笑顔が頭にこびりつき、眠りに落ちるのに少し時間がかかった。


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