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さよなら、うそつき  作者: わたぬき たぬき
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布団にもぐりながら考えた。彼女は少しあの子に似ていた。だから恐怖心が湧いてきたのだと思う。でもあくまで少し似ているだけ。昨日の手紙で思い出したから恐らくそのせいでもあるのだろう。そして昨日届いたあの手紙も彼女が入れたのだろう。だが、なぜ俺なんかに?助けが必要ならば友達に親に教師でもいるだろう。

「助けて」だけ送られても俺にはどうすることもできないし、そもそもあの子がどこの誰かもわからない。でも向こうは俺のこと知っていたわけで...。

結局妹が晩ご飯を呼びに来るまで考え続けていたがよくわからなかった。兄は旅行でいなかったので今日もおいしくご飯が頂けた。テレビでは幽霊を扱った番組がやっていてなかなかおもしろかった。特に走って追いかけるタイプや逆に、待ち受けているタイプの幽霊は怖かった。父もよく言うがこのような映像のその後を知りたいものだ。やはり捕まったら死んでしまうのだろうか。

その日は久々に夢を見た。女の子が校舎屋上から飛び降りるところだった。泣いていたその子に俺の言葉は響かず、伸ばした手もその子に触れることはなかった。もしもほかの選択肢をとっていたら、君を救えることはできたのかな。何度も後悔する。ふと目を覚ますとまだ12半ほどだった。妹がさっきのテレビが怖かったらしく布団に潜り込んできた。俺も少し寂しかったのだろうか。特に気にすることなくまた眠り落ちていた。

朝起きるとすぐ目の前に顔があった。兄貴の顔だ、そう、妹ではなく。なぜ朝からこんな刺激の強いものを見なくてはならないのだろう。とりあえず俺は妹を起こし兄貴もまた起こした。

「異性と同じ布団で寝るとか。ついに兄妹を超えちゃったんですか。そうですか。」

とか寝ぼけていたのでとりあえずスタイナースクリュードライバーをかけておいた。

今日は土曜なのでゆっくりできる。少し遅めの朝食を食べ、パソコンをいじっていた。日々の学校の疲れを忘れひたすらゴロゴロするか、なんて思っていたらクラスの人からメールが来た。しまった、フラグを立ててしまったか。

「昨日学校の女の子から君の連絡先を知りたいから教えて、と言われたから教えておいたよ。」

こういうことをされるのはあまり好きではない。本人はよかれと思っていることも、その人にとってはそうでないこともあるんだよ。とは言っても教えてしまった以上に何をいっても無駄なのでとりあえず

「了解。ありがとう。」

と送っておいた。

「いいよ、気にしないで。大したことじゃないよ。」

と後で送られてきたときにはつい兄貴を殴ってしまった。完全なる八つ当たりだ。兄貴に事情を話し謝ったら笑われて

「お前、全く逆になってるじゃん。」

と言われた。あまり昔の話を掘り返さないでほしい。

とりあえずうざったいクラスメイト君との会話はもうないだろうと思い会話履歴を削除。兄貴とやっていたゲームを再開した。


レジに着き一番高いのと安物のアイスを買って店を出た。俺がここにいるのはゲームで賭けをして負けたからだ。ゾンビをどちらが多く倒せるか、という内容で戦った。結果俺は0体、兄貴は未だに殺しているのではないだろうか。なぜか。

ゾンビが強すぎた?のんのん。

俺が弱すぎた?のんのん?

兄貴がチートを使った?のんのん。

始まったばかりで兄貴に殺された?のんのん。

正解は壊れたコントローラーを渡されたでした。そのおかげで俺はゾンビの前で反復横跳びしたり、舞を舞っていたりで死んだ。ゾンビに囲まれながらの舞は30秒持たずして終わった。コントローラーを持ってきたのは俺だし設定を兄貴に一任したのも俺なので、納得は全くできないがしぶしぶ買いに来ているわけだ。こういう風に普通にズルができるようになれれば俺も勝てたのだろうか。

ふと携帯を見ると妹からもアイスの要望が来ていた。頭を掻きながら

「安いのしか買えないからな。」

と送るとすぐハートマークが送られてきた。安いな、おれ。

もう一度店に戻るか、少しくらいなら溶けても平気だろう、と思い来た道180度変えた。

誰かにぶつかってしまった。これは100%俺が悪い。とりあえず頭を下げてごめんなさいしなければ。

「ごめんなさい。大丈夫ですか?」

「いえ。こちらも不注意だったので。」

「ほんとそれな。ちゃんと前向いて歩けよ。」

「あんま図に乗んな。ぶっ潰すぞ。」

彼女こそ俺の少ない友達2人のうちの1人。ひるひかりさん。

一応命の恩人な。俺がな。ここ大事。



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