18
篝との買い物を週末と約束し、今は学校でいつもの4人でお昼を過ごしてる。俺はお弁当だけでは足りず、海雪とコンビニで蕎麦を買ってきた。あかりにこの前の事を心配されたが、もう大丈夫と伝えた。そういえばあかりは今、安いアパートで暮らしているそうだ。バイトで何とかしているらしい、すごいね。
俺が美味しく蕎麦を味わっていると、あかりから声をかけられた。
「そういえば週末妹さんと出かけるんですか?」
コクコク。
「仲がよろしいんですね。」
首傾げ。
「もしよろしければ私もついていって構いませんか?」
ズルズル。ゴックン。
「多分構わないと思うが一応篝に聞いてみるよ。」
「ありがとうございます!!」
そんなに嬉しいもんかね、たかだか買い物が。ついでにひかりはバイト、海雪はめんどくさいとのことで来ないらしい。他に来る人もいないので3人で行くことになった。
「いーなー。私も行きたいよ。バイト休んじゃおっかな。」
帰り道、2人と別れた後にひかりと歩きながら話していた。ついでにひかりは近所のスーパーで働いている。
「ねぇ、お土産買って来てよ。お菓子とか洋服とか。」
まあやっすいお菓子くらいなら買ってきてやるか。それくらいならいいだろ。
「でも篝ちゃんには買い物全部奢ってあげるんだよね。やっぱり私にもそれなりのものを要求する権利あるよね?」
「待て。それ篝から聞いたのか?」
「うん。そうだよ。今朝なんだか嬉しそうな顔してたから、なんかあったの?って聞いたら。」
「かがりぃぃぃぃ!!!」
「ついでに昼ご飯の時、私があかりちゃんにも伝えた。」
「ひかりぃぃぃぃ!!!」
「男に二言はないよね?」
「いやああああぁぁぁぁぁぁ...!!!」
この断末魔の叫びが翌日、職員室に呼ばれる原因になったことは内緒で。
そして週末に。俺にとっては終末。なんちゃって、テヘペロ。つまりこのくらいやばい。俺の財布は母から土下座をして手に入れた諭吉たちでパンパンになったが、帰りには何人残っていることやら…。そういや篝とあかりが会うのは初めてだが大丈夫なのだろうか。まあ男からみると女子は会ってから友達までが驚異的に早いから大丈夫かな。あかりとは駅で合流し、そこから2駅。多分電車代も俺。歩いて行こうよと言ったが「何言ってるの夜一兄さん。」と笑顔で言っていたが、その先はきっと「冗談は休み休み言えよ、な?」
そんな感じだろう。兄は弱い生き物である。
駅に着いたのは集合10分前。10分前行動は大人の常識である。だがあかりはもう駅に着いており、なぜかナンパをされていた。白昼堂々よくやるわ。
モブA「よお姉ちゃん。1人で寂しそうだけど俺らと遊ばない?」
モブB「姉ちゃんがやりたいことなんでもやらせてあげるからさ、遊ぼうぜ?」
クズどもが。お前らは動物園のゴリラで十分だ。遺伝子の違い1%と最早誤差だ、気にすんな。
一応最初は笑顔で接する。
「あの、やめてもらえますか。嫌がってるでしょ。」
A「あ?誰だてめぇ。」
B「ガキはすっこんでろ。怪我したかねぇだろ?」
ったくこれだから嫌なんだよ。
「俺はこいつのと「彼氏です!」…もだち。友だ「行こ、いっくん!」…ち。」
誰だよいっくん。もしかして俺の事いってるの?夜一の一から?やめてよ、俺、後ろに妹とはいえ女の子連れてんだけど。側から見たら俺の方がクズじゃん。朝っぱらから女2人連れまわすとか。いやほんとクズ以外なんでもないじゃん。
そしてそのままあかりに連れられ電車に乗った。
「ちょっと夜一兄さん!彼女がいるなんて聞いてないんだけど!」
ほんとそれな。俺もさっき初めて知ったよ。俺に彼女がいるなんて。
「あれはその場凌ぎだよ。ああいった連中にはあれが一番いいの、だろ?あかり。」
「そんな、ひどい。私を命をかけて守ってくれたのに。私が不安に震える夜、一緒に過ごしてくれたのに。」
「お前は次の駅で降りろ。いや今降りろ。ココデ、イマ、ハヤク、ホラ。」
「ちょっと夜一兄さん!?私が考えるよりだいぶ関係進んでるんですけど!?」
「一旦篝は落ち着け。」
きちんと事情を説明したかったが、それではあかりの父親との争いの事を話すことになるので誤魔化すしかなかった。ニヤニヤしてるけどあかり、バレて困るのはお前なんだからな。ちゃんとわかってるのか?
「あかりはその、あれなんだ。漫画の見過ぎでちょっと理想と現実が混同しちゃってるんだ。現実乖離性障害(嘘です)と言ってな。暖かい目で見守ってやってくれ。」
あかりへのせめてもの嫌がらせ。篝に悪印象植えつけてやるぜ。
「ほへー。私は妹の篝です。私も漫画とかよく読むので、その手の話題は得意分野です!」
「おお!同志ですね!私は桜花あかりといいます。今後ともよろしくお願いします!」
俺は2人が仲良く話しているのをみて微笑んでいた。
もういっそ2人で行ってこいよ。