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さよなら、うそつき  作者: わたぬき たぬき
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「あら、因みにどの辺がダメか教えて貰えるかしら。」

「自覚の無さとすぐ教えを乞う事から論外だな。」

縮地を利用して一気にババァとの間合いを詰める。鍔を中指と人差し指で引っ掛け近距離で投げ、かしらを鳩尾に当てる。そして刀が抜けた鞘を相手の(こめかみ)に当て意識を削ぐ。その隙で今度は右手で再度刀を握り腹部を斬る。けれど血は出たもののやはりこんな傷んだ刃ではもう簡単には殺せないらしい。

「.......で急にこいつ出てきたけど誰だよ。」

ババァとの間合いを詰めた瞬間、上から突如として出てきたから思わず斬ってしまったが恐らく味方ではないだろう。用心棒といったところか。ババァはその間に後ろの方へ逃げてる。

近衛師團このえしだんみたいなものかしらね。鳳輦供奉ほうれんくぶとか禁闕守護きんけつしゅごに近い事してるし。言っておくけど強いから精々頑張りなさい。」 

すると上から新たに3人が降りてきた。どこにいたのやら。けれど今斬ったのよりも間違いなく強い。

「もう降参した方がいいんじゃないかしら。あなたがそれなりに強いとしてももうボロボロじゃない。勝ち目のない勝負なんて馬鹿のすることかだわ。だから「うるせぇよ。」」

「こそこそ隠れてたゴキブリみたいな連中何かに負けるか。それともう1つてめぇに言いたい。」

「何かしら。」

「てめぇが来いよ。」

俺の刀と身近にいた男の大鎌が激しくぶつかる。それと同時に後ろにいた残り2人も一気に襲いかかってきた。1人はまるで忍者みたいな格好をして武器は見えない。もう1人はボウガンを構えて今にでも撃ってきそうだがあいつは春夏秋冬に任せるとしよう。振り向き目線を送ろうとする、その目の前を春夏秋冬の銃弾が通る。まぁそのおかげでボウガンは弾かれたから良いけれど。

『喧嘩は終わったな。ここからはただの戦争だ。』

頼り甲斐がありすぎて。


そんなわけで大鎌の男と忍者女、くノ一を俺が相手をし、ボウガンの男か女かよくわからないのを春夏秋冬が相手することになった。正直ここからの連戦は体調面からいってかなり厳しいが死んでも負ける気は無い。

お互い相手の出方を見るため膠着状態にある。もし先に仕掛けてくるなら恐らくくノ一の方だろう。スピードで言えばまず大鎌より速い。そしてその予想通りくノ一が素早い動きで手裏剣を飛ばしてきた。幸い目では十分に追える速さだったので少し重たかったが刀で左右に弾く。けれど刀で弾いた時、それぞれの手裏剣が糸で繋がっているのが辛うじて見えた。そしてその糸は俺の首元目掛けて飛んできた。

「っぶね!!」

体を仰け反らせ何とか躱す。僅かに触れた髪の毛はいとも簡単に切れた。ダイアモンド粉でも塗ってるのか。そして視界の端で大鎌が振りかぶってきてたのでそのままバク転でそれも躱す。けれど体勢が戻る前に大鎌の2撃目が来て体が浮いた状態で刀を急ぎ鞘に収め受ける。足に力が入れられないのも確かにそうだが腕力だけでは到底抑えきれず吹っ飛ばされてしまう。飛ばされた所にいつの間にか仕掛けられていた撒菱を避けつつ体制を立て直す。

正直こいつらは普通に強いな。春夏秋冬の方を見ると苦戦はしてなさそうだが優勢でもないといった感じ。もし先に倒してくれたならこちらも手伝ってもらいたいところだ。

「しかし大鎌や忍術なんてまた戦いにくいのをよく使うな。」

「使う者がいなければ対処も困難だろう。それだけでこちらに利がある。」

それもそうだな。こっちの戦い方はある程度予想できて、俺からは向こうのスタイルはイマイチわからない。それだけでも大きな差になる。

くノ一からノーモーションに近い動きで飛ばされて来た2本の苦無(くない)を寸前で躱し、手元を取る。別に苦無は戦いにくいと言うだけで戦えないと言うわけではない。戦いで武器になれるものは全て使う。あるものは全て使う、利用する、(あやか)る。ただ勝つ為に。

両手に苦無を握り全身から一気に力を抜く。だらんと、獣のように。

「行くぞ。」

重心を一気に最大限落とし、その力全てを1本の脚に込め地面を蹴る。数メートル空いた距離を瞬間で詰め男の首元にまで苦無が迫る。そして男の首を斬った。が斬った感触は殆ど無く、多少の血が出た程度。そうなればもう1回と首に迫るが、男が鎌を自身に向け引いたのを見て方法を変える。男の腹と顔を蹴りバク宙しつつ鎌を躱し、刃とは反対の方を蹴りそのまま男に鎌を刺そうとした。

別に油断をした訳ではなく、相手が予想よりもずっと手慣れていただけ。

男は向かってくる鎌の持ち手を肘で弾き、腰に()くようにして遠心力をつけ、強く握りしめられた鎌の先端が俺の腕に深々と刺さり貫通する。勿論気絶しそうなまでに痛いがそんな余裕があるなら反撃に移る。苦無を男の鎌を持つ手に1本、もう一本を目に投げる。男は油断していたらしく苦無は刺さり、叫びながら鎌を落とし刺さった苦無を抜く。勿論その間に相手の鎌を奪い、鎌の踵の部分を勢いよく相手の頭にぶつけ意識を奪う。これでとりあえず1人は潰した。

「...てっきり味方のピンチに援護するのかと思った。」

「味方、じゃない。所詮、雇われた同士。鎌、振り回されると、邪魔。」

何となくこういうのは場数踏んできたからわかる。直感というか、第六感は磁覚?だから第七感になるのかな。

「お前、あの施設の事知ってるか?」

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