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俺の台詞に「あぁ」と短く返すと2発の弾を撃ってきた。それをまた斬る。あの銃はM1911だから装弾数7+1だからあと2発かな。リロード速度も早いから今のうちに一気に距離を詰めてしまおう。左足に力を込め一気に駆け出す。けれどあまりに直線的に近づくといい的になってしまうので所々で掴みにくい動きを織り交ぜていく。1発を上手く躱し、続く2発目を両断、そのまま抜刀したまま駆け残り数mの距離を一気に跳ぶ。
......なんかうまく行き過ぎてる気がするな。何故左手がら空いてるのに何もしない。今やっとこの距離でポケットに手突っ込んだけが、こっから出して構えるのには遅すぎるだろ。......あぁ、なるほど。
パァンパァンパァンパァンと連続4発もの銃弾が海雪のポケットから撃たれた。前に俺の親父がやったのと同じ方法で攻めてきた。あの時は防ぐことは出来なかったが、今回は寸前で気付いたから撃たれずに済んだ。けれどあれは照準が出来ないから近距離じゃないと使えないし、使い回しだって最悪、更に不意打ちでこそ真価を発揮するがそれも失敗したのでもう使ってはこないだろう。そしてここまで近づいたのならこちらの土俵。一応殺さない為にも利き手を使えなくすれば十分だろう。素早く右の腕を斬りにかかる。
「それは悪手だぞ。」
刀が腕に届く直前、何やら硬いものが遮った。確かに言われてみれば腕が少し膨らんでる箇所があるようにも見える。俺は刀を持つ力を抜く。そして勢いよく海雪は腕を振るとそのまま刀が遠くへ飛んでいった。
「ソードブレイカー、だっけ。」
「残念ながらブレイクは出来なかったけどな。よく寸前で力を抜けたな。」
あのまま握る力を弱めていなかったら折れてはいなくてもヒビは入ったかもしれない。隙があれば取りに行かないと、ソードブレイカーは攻防どちらにも使えるからな。勿論海雪の手に渡るのもダメだが。
海雪は袖から短剣のソードブレイカーを出す。よくそんな珍しい武器使ってんな。文献とかそのレベルだぞ。
そして今度は海雪は刀に向かい走り出す。俺に取られるくらいならいっそ折ってしまおうという感じだろう。それは俺にとってだいぶ痛手な為俺も刀を取りに走る。海雪が撃ってくる可能性もなくはなかったが、照準が合わないし、それに集中すれば速度が落ち、俺に追いつかれるだろう。その為ふたりとも全力で刀を取りに行った。けれど僅かに出遅れた俺は結局追いつけず海雪がそれを手に取る。振り向き際刀をこちらに振り翳してきたので、後ろに飛び避ける。すると逆の手から先程隠していた銃を取り出す。KAHR PM9。コンパクトであり軽量でとても取り扱い代物だな。そして今度はきっちり照準を決めたあと撃ってきた。だけどそう何発も撃たれれば流石に慣れる。
「ッッソ!!」
急激に身体に無茶したせいか、心臓が激しく痛む。そしてそれが動きを鈍らせ左腕を撃たれた。けれど怯んでいる暇はない。地面を勢いよく蹴り、転がりながら何とか次の銃弾を避ける。
「惜しかったな。さっきので弾は全て使い切ったんだ。どうせリロードなんて出来ないだろうと思ってたからな。でも1発でも当たれば上々。」
そう言うと持っていた2丁の銃をそこらに捨てた。そして俺から奪った刀をまだ体勢戻らぬ俺に勢いよく振り下ろす。しょうがないので俺は左手に隠していた分銅鎖を出し刀を受ける。
「当たった時に金属みたいな音がしたと思ったらやっぱりか。でも当たった衝撃は伝わる。折れてはいないだろうがそれなりのダメージは入った。」
「まさかその程度で勝ったとか思ってんじゃねぇよな。」
分銅鎖を持つ左右の手を一気に一瞬寄せて、弛ませてからそしてまた一気に張る。それにより海雪のバランスを崩れさせ俺は殴る姿勢に入る。けれど海雪の後ろに傾いた重心そのまま利用し後ろへ跳ぼうとする。
「歯ぁ食いしばれよ。」
分銅鎖で海雪の胴体を一瞬巻き付けるとこちらに引き寄せて思い切り顔面をぶん殴った。分銅鎖は解け海雪は吹き飛ぶ。転がり軈て止まる。
「いつまでも寝てんじゃねぇよ。」
もちろんのんびり立ちあがってくるのを待ってる義理もない。近づいて刀で反撃に遭うのも嫌なのでやや遠くから分銅鎖を振り下ろす。海雪も流石にそれは躱し、靴でそれを動かないよう踏みつける。お互いが動けない状況になる。海雪は口から流れる血を吐き捨てると「これが最後の武器だ。」とまたもポケットから何かを取り出す。見た感じだと警棒のようだが今この場面ではあまり使えなさそうだが。
「死んでくれるなよ。」
海幸はその警棒を鎖にちょんと触れさせる。
「っっああああああああああ!!」
その瞬間凄まじい痛みが腕に走る。鎖を持っていることなんてできずに落としてしまう。それどころか指の一本さえも動かせない。腕が灼け血が滴る。。そして遅かれながらあの武器がスタンガン警棒と知る。にしてもこんな力があるわけないし改造でもしてあんのか。
「もう負けを認めたらどうだ?両手が使い物にならず、武器だって俺の方が多い。心臓の事だって加味してお前が勝てる可能性は無いに等しいだろ。」
全く、舐めたことを言ってくれる。両腕が使えなくなったから何だ?まだ足や頭、口だってある。武器だって何なら奪えばいいだけの事。戦場で五体満足でいる奴なんていない。向こうではこれが普通なんだよ。




