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さよなら、うそつき  作者: わたぬき たぬき
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空が青い理由というのは波長の違いで生じるらしいです。青い光は波長が短く赤い光は波長が長いそうです。波長の短い青い光は粒子に当たりやすく、散乱の強さも強く波長の4乗に反比例するらしいです。

「ちょっと夜一さん!?今の発言どういう意味ですか!?」

では何故夕焼けは赤いのか。これは日が沈む、つまり太陽が遠くなることが肝です。太陽が遠くなると青い光は地上に届くまでに散乱してしまい、波長の長い赤い光が地上に多く届くために空が赤く見えるのです。

「き・い・て・ま・す!?」

けれどそう見えるのは人間やそれに近しい動物。色を認識する錐体細胞などが違えば見える色も異なります。つまり結局、何が言いたいかというと見えてるものは同じかも知れないけれど、必ずしも同じものが見えてるとは言えないということです。見解の相違というやつです。

何時(いつ)から気付いてたんですか?もしかしてあの時の会話を聞いてたんですか?」

何時からも何も気付く人はすぐに何となく勘づくだろ。その時の状況を整理すれば綺麗にピースが嵌る。あかりが学校に出掛けてる間に母親が殺されてひかりが逃げだす。父親は逃げたひかりと学校にいるあかりを探す。逃げたひかりは俺が保護。それを知らずあかりはひかりを探し続けた。そんな感じだろう。あの父親があかりと会った時、その話題に触れていればもっと早く分かったんだろうけど。

「あの時ってあれか?文化祭の後俺がぶっ倒れて海雪の家で目覚めて、俺が海雪達のところ行ってる間にあかりとひかりが姉妹って確認し合ってた時のことか?」

「とても分かりやすく解説していただき感謝です。全く、必死に隠してたのが馬鹿みたいじゃないですか。......何となくそうなんじゃないかなとは思っていたんですけどね。皮肉なものですが背中のを見せてもらった時に確信が持てました。」

そう物憂げに言うあかりに俺は何も言わなかった。それ以上の事は2人の問題だから俺が関与するのは違う。だからこの話はここで終わりだ。


「何かさ、僕って今絶対邪魔者感あるよね。」

あかりが身体の検査かなんかで出払っている間にこそこそとベットに忍び込んでくる。布団をもぞもぞしよって、(くすぐ)ったい。無論すぐにお引き取り願ったが。これは多分みょんが俺らの関係を勘違いしていると思われる。それはここで1度はっきりしておかなければ。

「別に俺とあかりは付き合ってるとかそういう訳じゃない。ちょっとひょんなことから関わりを持っただけだ。確かに最近?ちょっとだけあかりの事が頭によぎることはあるけど?」

夜一は嘘を吐いた。最近などではないし、ましてやちょっとでもない。ふとした事があると想起させられるし、それは出会った頃からである。

「それ、もう好きじゃん。......で!いつ告るのさ?今日?あの子が帰ってきたら?寧ろ今あの子のとこ駆け込んで行こう!!大丈夫!!もし振られたら......あー、......食後のスイーツ少し分けてあげるよ!!」

「やめろ。......やめろ。振られるとは限らない。というか別にほんと好きとかそんなんじゃないし。」

つらのかわあつし。

「......でも、伝えたい言葉が、伝えたい人がいるのなら、絶対にそれは伝えるべきだ。振られたらそれはやっぱり悲しいけど、後悔だってするかも知れないけど、それは決して間違いなんかじゃないよ。......しょうがない、もし振られたら好きなだけ僕の胸で泣くがいい。そのくらいはしてあげるよ。」

みょんの心中はわかる。俺とあかりが嘗てのみょんと彼のようにはなって欲しくないのだろう。いつまでもなんてない。終わる時は呆気なく終わるものだ。

「大丈夫。絶対に伝える。......ところで最後の質問とやらは決まったのか?」

別に話題を逸らした訳でも、遠ざけようとも思ってない。そこんとこよろしく。俺も早くあの件については終わらせたい。この質問とやらにとっとと答えて俺の要件も終わらせるとしよう。

「ん?ああ。実はこの質問は最初から決めてたんだ。別に大した事じゃない、結局夜一君は僕になんて訊きたかったのかなって?」

最後の権利をそんなのに使っていいのかとも思ったが、所詮これは遊びの延長に過ぎなかった事を思い出す。というか多分あんな遊びにみょんはここまで求めてないと思う。あれは多分みょんの気まぐれで、3つ目と4つ目の質問は俺からその話を振らなければそこで終わっていただろう。そういうとこ俺は根が真面目なのかな。

「そうだな。今更みょんに隠す必要なんてどこにもないし、俺の昔の事を話すよ。」

それから俺は中学校の話を包み隠さず話した。施設の事、oseの事、そして琥珀の事を。何となくは分かっていたのか、終始沈んだ表情で聞いていた。気はあまり進まないがみょんには知る必要があると感じたから打ち切る事なんて事はしなかった。


あかりが帰って来たのは夕飯を食べ終えた頃であまり元気は感じられなかった。その理由を突っ込むなんて野暮な真似はしなかった。俺に何か話しかけようとしていたが、布団に潜ってるみょんに気付いてこちらに近づいて小声で話してきた。

「澪音さんはもう眠られたのですか?」

そういえばあかりとみょんはまだまともに話してないな。自己紹介くらいは済ませてたけど、もしかしたら帰ってから色々話そうとしてたのか。それは申し訳ない事をした。

「うん。ちょっと色々あってね。」


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