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「5」と言い2枚出す。みょんは「ん?」みたいな顔をしてすぐ枕をこちらにぶん投げてきた。俺は顔面にそれを受けるがあまりの滑稽さに笑ってしまう。何せ向こうはこちらの手札のほとんどを知ってるのだから。
そして今度はみょんがカードを出す。
「...ろ「ダウト」え......やっぱり引く。」
「ご自由にどうぞ~。」
明らかに怪訝そうな顔をさせながら「6」と言い場に出したカードを流し、続く「7」を出す。確かに100%ではないけれど俺の勝ちは22分の21、95.5%くらいの確率だ。みょんだって自分がピンチなのぐらいは分かってるはず。
それからお互い8、9、10、と出していき、続く俺のターン。
「それじゃあ11。Heyお待ち!」
そして3枚の11をその場に出す。これには流石にみょんも動揺が隠せない。
「そうだよ!その顔が見たかった!自分が優位だと過信して実際手の平で遊ばされてたことに気付いたその顔がな!!なぁ今どんな気分よ?バレバレなイカサマしてそれが仇となって負けるってのはよぉ?!お?悔しいか?悔しいのか?悔しいというより恥ずかしいですよねーwwwごめんねー。期待させちゃったよねー。俺も進んでこんな事したい訳じゃないんだけどね。んでもこれも勝負だからねー」
俺があの時山札から取ったカードは上から3枚目と4枚目のカード。上からカードを取るとみょんが提示したのであれば上2枚は俺のカードに、その下2枚はみょんのカードになるはず。そしてみょんが満を持して勝つには先程のカードを持つはず。そして取るはずだった6と11は俺が取った。つまりあの時みょんの手札には6と11がない。無けなしに取った2枚も勝つには5%と10%の2回のチャンスで11を取らなければならない。んなことそうそう起きるわけもない。
「12」
「へぇ......降参ではなくあくまで負けを選ぶか。いいよ、じゃあ最後まで遊んであげるよ。」
そしてその後もカードが出されていき、13までいったので今度はみょんが1を出し着々とカードが出されていく。そして......。
「あい。10。......で俺の手札はなくなったわけでみょんの持ち札が4枚。一応俺が先行して始めたからみょんのターン終了で勝負終了ってことでいいかな?」
コクンと頷きみょんはもう負けを覚悟したのか俯きながらカードを1枚のカード出す。
「で、ダウトっと。」
出したカードを作業的に表に返す。
「11」
「......やっぱスルーして俺の勝ちってこt「今ダウトって言ったから!!ちゃんと録音もしたから!!僕のターンが終わるまで勝負終わらないって言ったよね!?」
バカなッ!?まさか5%と10%の確率で11引いたというのか!?ありえん!!
「いやー、危なかったー。危うく負けるところだったよ。やっぱ備えあれば憂いなしって感じだね。案外夜一君が慢心ばっかしてズボラで助かったよ!」
BAKANA!?一体何処でヤラカシ...た。なんでこんな事にも気づかなかったのか。自分で自分が情けない。
「因みに、上の2枚のカードは1と11でした!1は流石に1回でゲーム終わったらつまんないかなって思って、11は今回みたいな事が起きたらって考えてね。いやー......さっき夜一君なんて言ったっけ?自分が優位だと過信して実際俺の手の平で遊ばされてた?へぇ?誰が?いつ?ねぇ?今どんな気分?してやったぜみたいな顔してゲーム進めててさ、こっちは笑い堪えるので必死だったんだよ?絶対最後慢心してヘマするだろうなーとは思ったけど、ここまで、見事に、フフッ、引っ掛かるっフフッなんてwwwクスクス」
完全にしてやられた。言われた通り最後にあんな提案なんかせず素直にカードがなくなった段階で勝ち宣言していれば......いや、多分それでもみょんが俺に何かしら言って俺はそれに乗って、結果は変わらなかったかな。こんなガキの遊びに本気になって見事に惨敗して情けないったらありゃしない。大人しく罰ゲームみたいな質問を受けるとしますか。一体どんな質問が来るんだか。
「えっとねー、どうしよっかな。あ、勿論秘密とか拒否権とかないから。嘘は別に吐いても構わないけど精々ばれないようにしなよ?じゃなきゃ君の可愛い妹さんをまた汚してあげるよ。」
「お、おう......」
端から嘘なんて言う気はなかったがセリフが完全に悪役ですしかない。仕草も限りなくそういったものに近しいものを感じる。舌で唇なめるところなんか特に。
「じゃあ最初は乙女な質問。僕の事正直どう思ってる?」
「きったない人間だなって。」
「やり直し。」
「ちょっと待ってそういうのあんの?」
ちゃんと素直に答えたじゃん。それに実際間違いなく綺麗ではないだろ。俺の周りの中で多分水無月さんと同じくらい汚いよ。イメージとしては水無月さんは何か色んなものが混じりすぎててドロドロしてて、みょんのは純粋に汚いものしか入ってなさそう。
「OKわかった。俺の言葉が悪かったな。......個性的な人だね。」
「よし、その喧嘩買った。」




