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「そうだねー、普通のトランプやってもいいんだけど、どうせならオリジナルルールとかでやって見よっか?」
「いや、それはお前ほんとやめとけ。どうせ大した事ないんだし、考えるだけ時間の無駄だし、オリジナルなんて言っときながら殆どは元からあるのを取ったんだし。ちょっとルール付け足しただけで「おりじなるーww」とかほんと嫌い。軽蔑するわ。最低。外道。」
「凄まじいディスりよう。」
結局紆余曲折あってゲームはダウトとなった。けれど2人でやるダウトほど不毛な事もないので幾つか特別ルールを設けた。
「使うカードは半分の26枚
残り半分は別の場所へ置いとく
ルールは基本同じ
ダウトを宣言していいのは1回 当たれば相手の持つカードの分だけ質問できる 外れれば相手の持つカードの数だけ質問される
1度だけ残った半分のカードから2枚取ることができる」
「......以上のルールでいいのか?」
「うん。」
結局さっき言った通りじゃないか、と思ったがどうせここまで考えてくれたのならばやらないのは些か悪い。俺は多分お願いされたら弱い人間なのだろう。修学旅行だって何だかんだ言って行ったしな。ノーと言える日本人になりたい......。とはいえこんなゲームに本気になるほど子どもじゃない。てきとうにやっててきとうに終わらせよう。どうせ明日になったらサクッと質問に答えてくれるだろう。
「ところで夜一君は勝ったら一体何を質問するつもりなの?」
「ん?あぁ、それは......それを言ったら面白くなくない?」
「......それな!」
こいつ時々頭悪いんだよな。
手際の良いシャッフルの音につい微睡んでいるとツンツンと肩を叩かれた。「ごめん」と一言謝り、俺は目の前に配られたカードを開き自分の持ち札を確認する。おっとこれは......
『2、4、4、5、5、5、7、8、9、10、11、11、13。』
な、なるほど。カードは悪くないが何分1がない。つまり最初に俺の番なら最初からダウトを出すのか。最初からダウトを言ってくるとは思えないし、カードを山札から取ったら『1がない』と言ってるようなものだし。
「順番はジャンケンでいいよね。いくよー。」
俺の動体視力をなめるなよ。
「じゃんけんもってすっちゃんほい。」
「なんて?」
......なんて?確かにジャンケンとかって地方によっては掛け声とか違うらしいけど、てっきり『ジャンケンポン』とかが普通だと思ってた。後半の呪文は何だ?......アッハイ、俺の負けなのね。
「ま、こんなお遊びそんな本気でやるもんじゃないしとりあえず1を「ダウト」」
「あ!廊下に超絶美少女が!!」
「なんやて!?って誰もいないじゃないか。あ〜はん?さては窓に映る僕を見たんだな。理解理解。で、確かに夜一君手札出したよn「ちょっと何言ってるか分からない。」」
......。
「いやいや、さすがにそれは「うるさい。」」
危ない。初手で殺されるところだった。でもあれだけ強気で殺しに来てるって事はまず間違いなくこれが1じゃないって分かってるよな。顔には出してないと思うと多分イカサマしてるよな。カードの模様、とかは特におかしな所はないか。となるとカードシャッフル時かな。フォールスシャッフルとか8回リフルシャッフルとかしてたんだろうな。となると山札の方も勿論弄られてるわけで、みょんは全てのカード順番を覚えてる可能性もあるわけか。
「こんなゲームに本気になりはしないが、負けるのはなんか気に食わん。」
俺は山札に手を伸ばしどれにしようかカードを弄る。勿論みょんはすかさずそれに対し注意を促そうとしてくる。
「こういう場合基本カードは山札の上から取るものだけど、別にそれを縛るルールもないしな。もし仮にそれに似通った事言ってたとしても、俺はさっきちゃんとルールの確認をして、みょんもそれで『うん。』と了承したはずだが?何か文句あれば遠慮なくどうぞ澪音さん。」
どやぁ。
とはいえ依然俺の不利は揺るぎない。向こうがどこまでカードを覚えているのかさえ分からないのにこちらが勝てるわけがない。とりあえず別々の場所から抜き取ったカードは6と11。どちらも持ってないカードだったので良かった。
「1」と宣言し出した4のカードはすんなり通った。勿論枚数は1枚。引いたカード両方1なんて確率すごい低いだろうし、今みょんが1を持ってる可能性だって全然ある。もしかしたら1を4枚持ってるかもなんて考えもしたがそれはなかった。みょんからすれば俺の持つカードは2、4、4、5、5、5、7、8、9、10、11、11、13、それとわからない2枚。このうち今出した1枚はないという感じか。こうなると勿論みょんが分からない6と11の使うタイミングが重要だな。
「2」とみょんは1枚のカードを出す。俺はそれを通す。カードの枚数はお互い13枚、丁度2周したらカードが無くなる。そして2枚ずつカードが引けるから実質2周と2回分のカード枚数。
「3」と言い5を1枚出す。流れる。みょんが完全に勝つように仕組むのならば1~13のカード、そのうち2と4は2枚ずつを持つことになる。
「4」と1枚を置く。流す。恐らく山札は上4枚は決まっていてもそれ以降はバラバラだろう。先ほどの慌てふためきようは嘘には見えなかった。さてそうなると案外あっさりこのゲームは勝てるのかな。
「余裕ですわ!」
「どしたの?」




