102
朝の10時に海雪の家の前に集合。とりあえずはそれしか言われなかったので、その5分前にそこに着いた時には既に幸生とあかりが待っていた。俺はひかりと一緒に来たのでこれで残すは水無月さんのみ。最初は水無月さんは絶対来ない感じだったんだけどなぁ。
「年頃の男女があんな肌を曝け出してお互いの性欲刺激し合って不純だとは思わないのですか?」
辛辣すぎるだろ。
「ひかりも来るけど。」
「な!?ずるい!!そうやって1人でひかりちゃんを堪能する気でしょ!?」
すごい剣幕で胸倉掴まれた。前のお淑やかさは一体どこにいったんだよ。それにこの頃思ったけど、この子ちょっとひかりに対して変じゃない?まぁ何にしても真面目な子が壊れていくのは何だかおもしろい。...ちょっと今の発言まずいかな?
「因みにひかりの水着を今度2人で買いに行くつもりだ。どんなのがひかりに似合うんだろうな。」
「へぇー......残念だよ、神倉君とは仲良くなれそうだったのに。でもしょうがないよねワタシガヒカリチャンヲマモラナイト」
胸倉を掴んでいた腕は瞬時に首元に移動し万力の力が込められる。やばい、死ぬ。
「いいのか、後ろに、ひかりが......」
「え!?ち、違うんだよひかりちゃん!これは神倉君の首に蚊が止まってたから......っていないけど。」
勿論逃げるさ。
「へぇー、鬼ごっこかなぁ。」
それから水無月さんからは只管に逃げ回った。休み時間毎に体育館裏呼ぶなんて正気の沙汰じゃない。だがしかし今の俺には奴を倒す武器がある。もう何も怖くない。
「あ、姫姜ちゃん来た。」
ひかりの手を振る方を見ると笑顔で手を振り返す水無月さんの姿があった。それにしてももう11月というのに今日は何だか暑いな。汗が急に噴き出し止まらない。
やがて水無月さんがみんなとの談笑も終わり俺の方へと歩を進める。
「今日はこんなにも空が綺麗だからきっと天国にもすぐ行けるでしょうね。」
「ほんとに清々しいな。だけどこれを見ても同じような態度でいられるかな?」
俺はポケットから出した携帯の写真を見せる。そこにはこの前ひかりと買い物に来た日時で水無月さんが盗撮した画像が写っていた。これがバレれば「え!?姫姜ちゃん盗撮なんてしてたの!?変態!?変態なの!?」みたいになるはず。ぐへへ。
「これでもまだ同じようなセリフを......な、何がおかしい。」
「フッフッフッ」と不気味に笑う水無月さんについたじろぐ。その目に最早光はない。これじゃあまるで俺が追い込まれているような。そして水無月さんがそっと俺に耳打つ。
「ほんと、必死に抵抗するお姿大変感銘を受けます。」
「でもだからこそ私は悲しいんです。だって......」
最期に勝つのはいつだって愛なんですよ?
「」
「それに……」
「どうしたのさ夜一?そんな信じてたものに裏切られたような顔して。」
「適切な指摘ありがとう。俺は今、愛について考えている。」
俺が絶句してからすぐ海雪が家から出てきて言われるがままについて行き、今はプールの前の更衣室。持ってきた水着に着替え中。しかし野郎3人が着替えてる描写なんて誰もいらないと思うから割愛させてもらう。
え?それはあまりに雑すぎ?台本?なになに......『欲を持て余した活きのいい3人の青年が「行為し...更衣室」というひとつの部屋の中で一糸纏わぬ姿で様々なことを語り合った。間違いなんてなかった。そう、間違いなんて、なかったんだ。』なにこれ?
更衣室から出ると凡そ個人の持つものとは思えないプールがあった。普通に25mあるし。女子の皆様方はまだ来てないらしい。やはり着替えはどうしても女子の方が時間が掛かってしまうのだろう。だから少しは落ち着いてほしいものだな幸生よ。
「ところで海雪さんはどうしてこんな事をしてくれるんですか?明らかに裏があるようにしか思えないんですけど?」
ジト目で準備運動をしてる海雪に尋ねると「いつもお前らに迷惑かけてるからな。その礼だと考えてくれ。」とのこと。ほざけ。今度は一体何を考えている。
溜息を吐きながら俺も海雪の準備運動に便乗していると、やがて女子の更衣室の方から声が聞こえてきた。
エントリーNo1、水無月姫姜さん。正当なタンクトップのビキニですね。体のラインに誤魔化しが利き、自由度が高めなのが特徴。「体には自信がないけどそれでも頑張ったんだよ!!」というのがよく伝わってきますね。
エントリーNo2、桜花あかりさん。黒白2色のビキニに空色のパレオを巻き付けて登場。そのパレオから時々見える太ももが何ともエロイ。それも然る事乍ら高校生らしからぬその胸部には驚きを隠せません。
エントリーNo3、昼ノ夜ひかりさん。月白色という薄く青い色で統一されており非常にふつくしい......。大きな帽子には群青のリボンが付いておりビキニの上には半透明な上着を着て、これがまた僅かに透けているところにこう、唆られますね。
ん!?おっとここで新たに1人加わったぞ!エントリーNo4、訪花さんだー!これは、圧倒的正妻力!それに最早水着が職務放棄しそうな勢いのそれ!和服の下にはとんだリーサル・ウェポンを備えていました。これには雄達興奮を抑えきれたせん。
分かってはいると思うけど解説、実況は幸生だからな。俺と海雪は静観してた。思ったことはあったが黙っていた。




