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ここはどこ?
目が覚めたらそこはもう知らない世界だった。
視界を埋め尽くす緑色。木漏れ日が地面にコントラストを生み、香り立つような草の絨毯が見渡す限りどこまでも続いていた。
完全に知らない世界だった。
おぼろげな記憶を手繰り寄せ、意識が覚める前、意識を失う前へと指を伸ばす。
確か仕事帰りで、雨が降ってて、これから桐子の部屋に行く予定で、橋を渡っている最中に川の水面に人影が見えて、深く考えもせず柄にもなく飛び込んで、そしたら木の棒に引っ掛かった雨合羽で……。
なんて、下らない顛末なんだ。
死んだのか。俺はそんなギャグみたいなオチをつけて人生の幕を下ろしてしまったのか。