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プロローグ
十年前。俺はごく普通の子供だった。
学校ではそこそこ中心的な立ち位置でクラスの皆が友達だった。
五年前。俺は少しひねくれ始めていた。
思春期の子供にありがちな斜に構えた態度で、陰口やいじめが水面下で横行している世界を下らないと思っていた。
三年前。俺は完全にドロップアウトしていた。
目つきやら態度やらが悪いと似たような輩に絡まれるもので、喧嘩を吹っ掛けられてはのしたりのされたりを繰り返し、何時しか俺もそんな輩達と同じ場所に立っていた。
一年前。俺は何をしていたっけ?
何もしてなかったのか。
別に好き合ってるという訳でもなくただお互い都合が良いだけの女と過ごす時間が大半だった。
汗と泥にまみれた泥臭い仕事を済まし顔でやりすごし、金の使い道といえば飯、酒、煙草。何をやっても楽しくなくて趣味なんて何もなかった。
生きている意味や意義なんて、なかったのだと思う。
そして今。
俺は、別の世界と思しき場所で、ならず者になっていた。