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悪魔となって復讐を誓う聖女  作者: 天野霧生
第一章:復讐の聖女
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閑話06:冒険者ニア・メアード

北門で足止めパーティーの内の一人、ニア視点です。

次話から本編に戻ります。

 私はある日、北にあるバークリュール公国方面へ向かう街道を進んでいた。

 一週間前に受けたバークリュールとの国境近くにある集落でアーマードレイクが現らわれて困っているらしくその討伐に向ったその帰り道だ。

 アーマードレイクは簡単に言ってしまえばでっかい鱗が硬い蜥蜴だ。

 私一人でも勝てなくはないがちょっとしんどい魔物だ。

 でも私は基本パーティーで活動している。


 私のパーティーは昔から街で一緒に育った仲間達だけの構成だ。

 リーダーは十九歳で最年長のウォルト。

 常に私達に気を遣ってくれていて槍の腕前も良く、将来を期待されている頼れるリーダー。

 腕よりも口が立つバート。

 口調は丁寧だが凄い腹黒な魔法使いだ。

 悔しいが土魔法の制御が抜群に上手いので皆を上手くサポートでしてくれる。

 そして狼の獣人で私より年下のトムだ。

 私を先輩と呼んで慕ってくれる可愛い後輩だ。

 彼は前衛でまだCランクながらも必死に腕を上げようと頑張っている。


 そんな四人組のパーティーで私は斥候を担当している。

 本当は前衛とか魔法使いが良かっただんだけど素質が無く諦めて斥候になった。

 正直、斥候は地味で目立たないから本当はなりたくなかった。

 それでも皆と一緒に冒険者をやる為と思って割り切って考えた。

 そんな私でも何とかBランクに昇格出来た。

 ただAランクに上がろうと思うと戦闘技術が明らかに足りなかった。

 周りは焦る必要は無い、と言ってくれているが皆に置いてかれるのが怖かった。


 そんな事を悩みながらいたが仕事が終わると肩の荷が下りて一息吐ける。

 帰りも魔物が出てきたとしても大してのは出ないと思っていた。

 この付近の街道だったらDランクの魔物ぐらいしか出ない。

 そう思っていたのが甘かったと後に思う事となった。


 それは夕刻に差し掛かり北門が見えてくると後方で突如悲鳴が聞こえた。

 一瞬、何が起こったのかと思って振り返るとそこには色んな魔物の首を三つ持った魔物がいた。

 最初は一体と思ったが、なんと六体もいたのだ。

 私はウォルトの指示で襲われている冒険者や商人等の戦闘出来ない人の避難誘導をする事になった。

 ウォルトの作戦はこの場にいる冒険者ではあの魔物に勝てる見込みは無いと考え、私達が全力で魔物を足止めし、応援を待つ。

 何故、その作戦になったかと言うとウォルトの槍が魔物に通用しないからだ。

 全く効かない訳では無いが、浅い傷を付ける程度で致命傷には程遠い。


 幸い私達のパーティーは持久戦は苦手ではなかった。

 私は怪我をしている冒険者を避難させ、軽く手当てをし、ギルドへ行って応援を呼ぶ様にお願いした。

 私もすぐウォルト達の元へ行き、魔物の足止めに掛かった。

 ヒットアンドアウェイでひたすら気を引いて攻撃を食らわない様にするのだ。

 時々、煙幕や催涙弾を使ったりする。

 バートも土魔法で上手く魔物の足元を変えてバランスを崩して門へ近づけない様にしている。


そんな攻防を続けていると一体が突進してきた私達の間を突破されてしまった。

私はウォルトの指示で門へ向った奴の対処をする事になったが一人であれの相手をするのはキツイ。

 衛兵の人達も応戦してくれているがかなり危なげだ。

 早く応援が来ないと死人が出てしまう。

 そう思いながら必死に足止めをしていると、街の方から三人の冒険者が走ってくるのが見えた。

 応援にしては数が少ないと思いながらも、あれが強い人なら希望はあった。


 ハルバートを持った女の人が魔物を取り囲んでいる人達に下がる様に指示を出し、その人と先輩冒険者のシモンさんが魔物と対峙した。

 取り敢えず、門を閉めれる様にするみたいで目の前の一体を外に押し出すらしい。

 それにしてもあれだけ大きい魔物をどうやって下がらせるのだろうかと思って魔物と距離を空け様子を伺っていると、ハルバートを持った女の人の一撃で魔物はかなり下がったのだ。

 私は正直目を丸くした。

 追撃で乱打で一気に門の外に追いやり、彼女の指示で門が閉められた。


 私は呆然としていたがハッと我に返りウォルト達の足止めの加勢をする。

 戦闘の合間にその女性の様子を見ると、あのハルバートが振るわれる度に魔物の首が飛んでいく。

 もう次元の違う世界の人だと思った。

 そんな光景の中、冷静に怪我をしている衛兵を下げている人を見つけた。

 先程の女の人と一緒に応援に来た獣人の人だ。

 その人は魔物の間をすり抜けながら気取られない様に避難をさせている。

 動きも無駄が無い。


 彼女は避難が終わると苦戦しているシモンさんの応援に入った。

 同じ斥候なのにあの魔物と普通に渡り合えている。

 手に持ったダガーで魔物の首の一つを吹き飛ばした。

 何か魔法でも付与されているのだろうか?

 こっちも気付けばハルバートの女の人が一人で残りの四体を倒していた。


 二人とも街で見た事が無い冒険者だった。

 この二人とシモンさんのお陰で私達は助かった。

 私達では勝てる見込みが全く無い相手だったから。

 シモンさんがみんなで食事はどうかと誘ってくれた。

 ハルバートの人はリアーナさん、獣人の方はハンナさんと言い、Sランクの冒険者だったのだ。

 あのとんでもない強さに納得してしまった。

 ただ届かない頂きだとも思った。


 リアーナさんに思い切ってどうやったら強くなれるかを聞いてみた。

 そうすると強さを勘違いしていると言われたのだ。

 そう言われた時、私はさっぱり分からなかった。

 リアーナさんは私に戦うだけが強さじゃないと言う事を優しく諭してくれた。

 あの短い戦いの中で私がパーティーでの役割を見抜き、決して足手まといになってないと言ってくれた。


 私は戦闘が弱い事をずっと悩んでいた。

 でもパーティーで戦う中では仲間が戦いやすい環境を作る大切さと、私がしっかりそれが出来ている事を評価してくれたのが物凄く嬉しかった。

 ウォルト達も私を見てくれていた事に初めて気付いた。

 嬉しくてつい泣いてしまった。


 泣いてしまった私は少し落ち着いてからハンナさんに斥候について聞こうと思ったら斥候?かよく分からずメイドと言われてしまった。

 いや確かにハンナさんのメイド姿は凄く似合いそうだけど冒険者では無い様な……。


 今度は私の純粋に足りない所を聞いてみた。

 少しでも何かのヒントになればと思った。

 やはり指摘されたのは戦闘力でした。

 自分では分かっていても第三者から言われると辛い。

 でもハンナさんは無属性の魔法と言う提案をしてくれました。

 確かに無属性の魔法は魔力さえあれば適性に関係なく使えます。

 野営でお世話になる洗浄(クリーン)はその代表で適正が無い私でも使える。

 魔力を塊で撃つ発想が無かったけど、これは使えそうだと思った。

 実際に魔法使いのバートの反応も良かったので練習しようと思った。


 リアーナさん達に出会えた事は私達にとってとても大きなターニングポイントとなった。

 十年後私達はSランクへの昇格を果たした。




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