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謝罪と誠意
前回の続き。たぶん次で終わります。ネタバレするとダイチが謝ります。
「大隅くんさー、早くナギサと仲直りしなよ」
「……それができたら苦労してねーんだけど」
昼休み。教室の自分の机で突っ伏していた大隅ダイチは、淡井ミソラに声をかけられた。
「大丈夫だって。何だかんだ言ってあの子、大隅くんにはちょろいじゃん。今は意地張っちゃって取りつく島もないかもしれないけど、ちゃんと謝れば許してくれるって」
「いや何回も謝ったって」
「本当にー?」
「ホントホント」
「じゃあ謝った後に余計なこと言ってない?」
「……」
ミソラの言葉に、ダイチは目をそらした。
「ほらー! それだって! それがダメなんだって! ちゃんと謝りなよ。そしたらナギサも許してくれるから!」
「……」
「君たちがケンカしてると何かクラスの雰囲気も変になるからさー。早く謝ってね。それじゃ、私はナギサ待たせてるから」
言いたいだけ言うと、ミソラはナギサが待っているのであろう食堂へと向かってさっさと行ってしまった。
「……余計なこと、か」
そうつぶやくと、ダイチは再び机に突っ伏すのだった。