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壁ドン
残業が多くて落ち着いてネタを考えられない……
ある日の休み時間。学校の廊下で私はダイチに壁ドンされていた。
「………………いちおう聞くけど、いったい何のつもり?」
「いやー、ドキドキするかなって」
ブチッ。
その言葉を聞いた瞬間、私はダイチのみぞおち右拳を突き立てていた!
「そんなわけないでしょ! トイレ行くんだから邪魔するな!」
「いいボディブローだったぜ……がくっ」
なんてほざいてるダイチを尻目に、私はスタスタと宣言通りにトイレに向かっていく。
そして角を曲がってダイチから見えなくなったところでーー。
「はぁー……」
私はへたり込んだのだった。
心臓は未だにドキドキと高鳴っていた。
本当はすぐにあの場でへたり込んでしまいそうになったくらい。
でも、そんな姿は見せたくなくて強がってみたけど、ダイチから見えなくなったらもうダメだった。
「ダイチのバカ……」
誰に聞かせるでもない私のつぶやきは、周りの喧騒に掻き消された。