休日の装いは?
「あれ? ナギサじゃん」
「ダイチ」
休日。街を散歩していた私はダイチと出くわした。
「何してんの?」
「ただの散歩よ。そういうダイチは?」
「俺はユータたちとの遊びの帰り」
「また遊んでばかり……宿題はやったんでしょうね?」
「母ちゃんみたいなこと言うなよ……」
ダイチはうんざりという顔をした。やらなかったら私に写させてくれって言ってくるに決まってるんだから、そう言うのも当然でしょ。
「そうだ! 今から宿題をーー」
「そ、そういやさ、休みの日にナギサと会うのなんて久しぶりだけど、そういう服着てんだな!」
「……服?」
……話をそらしたな。それがわかっていながら、私はダイチの言葉をおうむ返しにつぶやいていた。
私は今、トレーナーにホットパンツといったラフな格好をしていた。この格好は動きやすくてよく着る組み合わせだ。それがどうかしたのだろうか?
「いや、何か意外だなー、って。ナギサって可愛いじゃん? だから普通に女の子っぽい服のイメージあった。あ、ちょうどこの服みたいな?」
そう言ってダイチは近くのショーケースに飾られたワンピースを指差す。
「ふーん……………………ま、それはともかくとして。ダイチ、宿題やるわよ」
「え゛」
「つべこべ言わないでやる!」
「……へーい。でも絶対ナギサ似合うって」
その後、私たちは無事に宿題を終わらせた。
終わらせたのはいいんだけど、ダイチの言葉がずっと頭に残っていた。
次の休みの日。
「あれ? ナギサ?」
「……ぎくっ」
またもや私はダイチと出くわした。
しかし、この間とは違い……
「あれ? あれあれあれ? その服ってこの間俺が似合うって言ったやつじゃない? いやー、やっぱ似合うわー。でもどうして? あ、もしかして俺にーー」
「べ! 別にあんたに言われたからじゃないんだからー!」
お母さんに買ってもらったばかりのワンピースを着ていた私は、一目散にダイチから逃げ去ったのだった。