宿題はちゃんとやりましょう
初投稿です。お手柔らかにお願いします。
「ナギサー、宿題写させてー」
そう言ってやってきたのは幼なじみのダイチだった。
ダイチはよく宿題を忘れてきては私に写させてくれと頼んでくる。
「あんたね……たまにはちゃんとやってきなさいよ」
「わーかってるって!」
「わかってないからやってきてないんでしょ!」
「クレープおごるからさー」
「そういつもいつもクレープに釣られるほど私はちょろくない!」
「えー」とダイチは困ったように声を上げる。でもそれが本当に困っているわけではないことを、長いつきあいから私は知っていた。
単にちょっかいをかけてきているだけなのだ。
だから、私はちょっとした意趣返しとして、ある思いつきを口にしてみた。
「なんで毎回忘れるんだか……それとも何? もしかして私と話したいから忘れてるんじゃないでしょうね? なーんちゃっ……」
「そうだよ」
…………………………………………………………………………えっ。
予想外の返答に、私は固まってしまう。しかし、
「なーんちゃって。驚いた?」
次にダイチの口から出てきた言葉はそんなもので。
一瞬でも真に受けた私がバカだった。恥ずかしさとかいろいろなもので顔が真っ赤になる。
「まったくナギサはちょろいなー」
「もー! 知らない!」
「あ、ナギサ、宿題は?」
「知らないって言ってるでしょ! バカ! 勝手に写してろ!」
そんな二人のやり取りを眺めながら、クラスメイトたちは「今日も風紀委員はちょろいなぁ」と思うのだった。