第一話:戦士な俺
この手のものは意外と初めて。妹嫌いな俺が書く妹が好きな兄のお話。まあ、恋愛的感情は今の
とこ無いと思いますが。
俺の妹は身体が弱い。
これは生まれたときからのものでどうしようもないのだが、兄としては妹の事を不憫に思っている。
もちろん、兄として色々と出来る事はしている。父母も妹の身体にはとても気を使ってる。
そのために、田舎の農村にわざわざ越して来たぐらいだ。
しかし、俺の家族は代々モンスターを狩って売る事で金にして来たので妹はどうしても負担になってしまうようだ。
たまに、父が愚痴をこぼしているのを聞く。最近の事で言うと、八つ当たりで攻撃魔法を問答無用で唱えられた程だ。
そんななか、俺が先日倒したモンスター達が面白い事を言っていた。
願いなら中途半端に何でも叶う祠というのがあるらしいのだ。
ただし、場所は分かってないのだが。
中途半端にという所がまた怖いのだが、その祠に妹の身体を治してもらう様に頼んでもらおうと思っている。
少しでも病状が良くなって欲しいのだ。
そのために早く祠を見つけなければならない。
村の者に聞いた所誰一人として知らなかったので野生のモンスターに無理矢理聞くしか無いだろう。
これも妹のためだと思えば全く苦に感じないのはなんでだろうな。と考えてみるもそんなのは答えは一つだ。
愛しているから。
異性としてではなく、家族として。
俺は父の様に妹の存在を煙たがったりはしない。
妹も家族だ。大切な。
★☆★
俺は、村の外にでて調査を開始しようと荷物を用意する。
主に武器・防具と食料・薬だ。それと青い流線型の機械。
この青い機械は倒したモンスターをギルド本部に送るための機械だ。モンスターをギルドに送る事により金がもらえる。モンスターにより値段が違っており、ギルド指定のモンスターだと特に高い。
ちなみに、俺の家族はギルドにモンスターを送る事で家計を支えている。
最近は俺が親父の稼ぎよりも多くなったので、ものすごく家族から期待されている。
だから、今みたいに外に出ようとすると母か父からの激励の言葉がある。
「あ、レイいってらっしゃい!!レイに限って死ぬ事は無いと思うけど気をつけてね」
ほら来た。
「あ、ああ行ってくるよ」
と、いつもの様に返事をして家を出る。
家から出て村の出口を経由し、前に倒したモンスター達がいた近くの森に行く。
確か前あのモンスターが話していたのはこの辺だよな。
と考えていると、いきなり三匹のモンスターを見つけた。
人の大きさ程はあるであろうカマキリみたいなタイプだった。
なにやら話をしているのでその辺の茂みに身を隠して様子を見る。
「おい、ボスは本当にあの祠に効果があると思ってんのかよ?」
ん?ボス?それより、祠の効果って嘘なのか?
「いや、あの祠の効果は本当だろう」
あ、本当なのか。安心した。
「ああ、ボスにあいつが嘘つくわけねえだろ」
?あいつ?
「まあ、それもそうか…」
ふむ、あいつとは誰なのか聞き出せば良さそうだな。
俺は隠れていた茂みからゆっくりと動き奴らの背後をとる。
ーー落ち着け。慌てるな。
情報を早く聞き出したいが故に体が慌てている。くそ、落ち着け俺。
出来るだけゆっくりに音を立てずに奴らに近づき硬直魔法を唱え、奴らの動きを封じる。
この呪文は相手に触る事でしか効果を得ないので、マルトーマを唱えて対象に触りを三セットを素早く行なわなければならなかったのだがどうやら成功したようだ。
あとは、一部マルトーマを解いて奴らから話を聞くだけだ。
「おいお前ら、祠の話をしていたな?」
「うるせぇ〜!!てめえは何だよ!!」
めんどくさかったので両手を炎の魔法でまとって脅す。
「少し情報提供してくれるだけで今死ぬ事だけは免れるのだが…どうする?」
なるたけ低い声で冷たく言った。
「わ、わかったよ。わかったからその炎を消してくれ!!頼む!」
ふ、モンスターってちょろいな。まあ、奴らは完璧に弱肉強食だから仕方ないだろう。
「で、さっきの祠についてだが全て教えてもらおうか……貴様らのボスとやらとさっき話していたあいつと呼ばれる奴の事も。話さなかったら……わかるな?」
と、俺はモンスターどもから情報を聞き出す事に成功した。モンスターは簡単で良い。
お読み頂き有り難うございます^^