遠き昔の物語
イーツと琴菜がもし前世で会っていたらという設定で書いてあります、
あんまり本編とは関係ないかもしれません
遠き昔の物語
桜の舞う空、桜色に染まる湖
「ここはいつまでも変わらない場所」
私は明日、ここイヴァノビッチ王国の皇太子に嫁ぐ
「ここにおいででしたか、皆様心配されておりましたよ、ティシア様」
「……イーツクリフ」
私はこの国に生まれ、小さい頃から皇太子に嫁ぐ事が決まっていた
でも私はいつの間にかに皇太子ではなく小さい頃から私の護衛をしている騎士のイーツクリフに恋をしていた
誰にも話す事の出来ない秘め事
「明日など来なければいいのに…」
「ティシア様」
「ごめんなさい、今のは聞かなかった事に……」
「私もそう思い…」
桜が風に舞い、辺りを桜色に染める
「イーツクリフ、今…何て?」
「私はティシア様の事を…」
私はその言葉を聞く前にイーツクリフの口を指で触った、
言葉の続きを聞いてしまえば決心が鈍ってしまうから
「それ以上は…ダメ、聞いてしまえば私は…私は」
「ティシア様」
イーツクリフは何も言わず方膝を付くと私の手を取り口付けると騎士の礼をとった
「これより先、いかなる事があろうとも私はティシア様を命に代えてもお守りする事を誓います」
「イーツクリフ、私も誓います。秘めたる思いを隠しこの国の為に尽くす事を貴方に」
私は微笑みながら答えた
「願わくは次の世で貴方に出会い、貴方と恋に……」
「ティシア様、次の世で…」
立ち上がったイーツクリフのその言葉を聞く前に私は彼の唇をふさいだ
桜が舞う空が少しの間、姿を隠してくれた、この秘め事は誰にも知られる事はない
2人の秘密
そして、時は過ぎまた巡り会う
「ここはいつ来ても綺麗だね、でも桜の咲く今の季節が一番綺麗」
「そうだね、僕としては琴菜の方が綺麗だと思うけど」
「ばっかじゃないの」
「でも、琴菜。頬をピンク色に染めて言われても説得力ないよ」
と思いながらも口には出さない
桜の舞うこの場所で僕はある物語を琴菜に話した、
小さい頃から語り継がれる物語、少女と騎士の秘密の物語
湖のほとりで2人並んで座り、琴菜は僕の肩に頭を預ける
「ねぇイーツ」
「どうした、琴菜」
「このお話って本当の事なの?」
「さぁ、でも母は僕の名前をその話に出てくる騎士のイーツクリフから
名付けたっていってたけどね」
「そうなんだ」
「ああ、それにこの話はこの国に生まれた子供は皆知ってるよ」
「そっか、でも素敵なお話」
語り継がれる物語、少女と騎士の秘密の物語
「そろそろ、いかないと」そういいながら立ち上がり王宮に戻るために歩き出す琴菜、
そんな琴菜を見ながらぽつりと呟く
「琴菜、君は覚えてないかも知れないけどそれは確かにあった本当の物語」
僕達は出会うべくして出会った
運命って言葉、信じるかい琴菜
ティシア、今度こそ君と…
「イーツ、何してるの?もういかないと怒られちゃうよ?」
「今、いくよ」
先に歩いていた琴菜に追い付いた僕は、方膝を付くとあの時と同じように騎士の礼をとり琴菜に誓う
「これから先、何があろうとも君を守り愛していくことを君に誓う」
「…イーツ」
立ち上がったイーツに琴菜も誓う
「私もイーツの事を思い、イーツとともにこの国を支えていくことを誓います」
新たに続く2人の物語