第17話 『到着』
コックピット。
滑走路は正面。
安定した進入。
「500」
「継続」
雷華の声は変わらない。
「100」
「チェック」
地面が近づく。
「50」
わずかに機首を上げる。
「30……20……10」
接地。
軽い衝撃。
「スポイラー展開」
「確認」
「リバース」
エンジン音が一段低くなる。
減速。
機体は真っ直ぐ進む。
「80ノット」
「チェック」
「60」
「リバース、アイドル」
「了解」
ブレーキ。
減速は安定している。
問題ない。
「滑走路離脱」
「了解」
機体がゆっくりと誘導路へ入る。
---
客室。
接地の衝撃。
だが、穏やかだ。
星華が小さく息を吐く。
「……着きましたね」
「ああ」
仁十が答える。
機体は減速していく。
揺れはほとんどない。
「静かですね」
「そうだな」
広い客室。
他に誰もいない。
エンジン音だけが残る。
---
コックピット。
「フラップ、アップ」
「フラップアップ」
「トランスポンダー、グラウンド」
「セット」
管制の指示が続く。
「縄島国際航空6278便、スポットへ」
「了解」
タキシング開始。
雷華は前を見たまま操縦する。
迷いはない。
---
客室。
窓の外に建物が見える。
異国の空港。
見慣れない文字。
「韓国か」
仁十が呟く。
「ですね」
星華も小さく返す。
機体はゆっくりと進む。
---
コックピット。
「スポットイン」
「了解」
機体が停止する。
エンジン出力が落ちる。
静寂が戻る。
「エンジン、シャットダウン」
「シャットダウン」
すべて終了。
問題は何もない。
---
客室。
完全に止まる。
ベルトサインが消える。
静かな空間。
「降りますか」
星華が言う。
「ああ」
仁十が立ち上がる。
特別なことは何もない。
ただの到着。
ただのフライト。
――それで終わるはずだった。




