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最強ヒロイン ~理不尽に召喚された少女は歴代召喚者達から受け継いだ能力(チート)で無双する~  作者: 橘可憐


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お嬢様のお屋敷は実際のお城を知らなければ小市民な私ではお城と見まごうだろう広さだった。


「どう、驚いたかしら。私のお父様は商才にも長けていて財力もありましてよ。その辺の名前ばかりの貴族とは格が違いますの」


私はその辺のことは明るくないけれど、これって明らかに王に喧嘩売ってるのではないのかと思ってしまう。下手したら反逆とか謀反とか騒がれたりしないのだろうか。もしかしたら何か裏取引や王の弱みでも握っているのか、ちょっとだけ興味はあるが知る必要もないだろう。


まぁ、許されているからこうしているのだろうし、財力があるとそれを誇示したくなるのはどこの世界も一緒なのだろう。


お嬢様に案内されるままに黙ってお屋敷の中を付いて行くと、屋敷内も豪奢でそこかしこに飾られたオブジェや置物もいちいち豪華そうでまるで美術館のようだった。


お城の中でもこれほどではなかったというか、お城はもっと広い作りになっているから装飾品もあまり目立たなかったのだと思うが、このお屋敷はやたらと目に付くから不思議だ。


だがなんにしてもこの統一性のない財力の誇り方はお洒落じゃないというか私の好みじゃないのは確かだった。


そうして美術鑑賞とはほど遠い呆れる気持ちのまま連れて行かれたのはどうやらお父様の執務室だったようだ。


当然お嬢様は相手の予定など構うことなくドアをノックしたあとに返事も待たずに用件を伝えながら部屋へと入る。


「お父様、異世界人をお連れしましたわ。入りますわよ」


(入りますわよって言いながら入るのってどうなの? 本当にお構いなしなんだな…。こんな人が王妃になるだなんて世も末じゃないのか)


自分も礼儀作法がきっちりしている方ではないので人の事は言えないが、一般市民ではない貴族のお嬢様それも王妃を目指している者がしてはいけない行為だというのは分かる。


「なんと驚いたな。こちらから何度出向いても会えずじまいだったというのにどうやって連れて来た」


「たいしたことありませんわ。街で偶然見かけましたので拾って来ただけです」


お父様が何度も私に面会を申し込んでいたのは初耳だった。そしてそのすべてをセイランか使用人かが断り続けていたのだろう。一応仕事はきちんとしていたと見える。


それにしても街で拾ってきたって、迷子か捨て犬のような言われ方を考えると、本当にこのお嬢様は私のことを侮っているのだというのがはっきりと分かった。まぁいいんだけどね。


「アンジェラよくやった。ここから先はこの異世界人と話がしたい、おまえは少し下がっていなさい」


「私が聞いてはいけない話なのですか? この異世界人をここへ連れてきたのは私なのですから聞く権利はあると思うのですがダメですか」


お父様はお嬢様に強く詰め寄られ一瞬悩むような素振りを見せたがそれも数秒で、すぐに決断したように返事をする。


「召喚に関しておまえも知っているのなら構わないか。ただし余計な口出しは慎むように」


「はい、かしこまりました」


「それでさっそくだが君はどういった能力を持っているのかな。今までの召喚者は漏れなくダンジョンに駆り出されていたようだったが君はそうではないということは戦闘向けの能力ではなかったのだろう。あの王子を改心させたその方法が君の能力だとすると随分と変わった能力に思えるが、詳しく教えてはくれないだろうか」


お嬢様もかなりのお喋りだったが、お父様も負けず劣らす話が長い。それに遠慮がないというか詮索好きというか、なんにしても肝心のところは何一つ教えられていないようだ。


多分王子の男性機能が切り落とされたとは知らず、女遊びが無くなったことをただ単に改心したと信じ込んでいるのだろう。もっとも王子はきっとそうとしか説明できなかったのかも知れない。


それに私が王や王子を隷属させ血の契約を結ばせたことを知っているのなら、絶対にこんな見下した態度も取れないだろうし強引に会おうなんて考えなかっただろう。


「一つお伺いしても?」


「私の問いに答える前に質問をするとは随分失礼な態度だが今回は大目に見てやろう。それで何が聞きたい?」


「歴代の召喚者達の待遇やその末路をご存じでしたか?」


これは絶対に確認しなければならないことだった。それによって私の怒りと罪の大きさが変わり、復讐内容も変わってくるからね。


「そう言えば君は前任者達とは違い随分と破格の待遇を受けているようだが、それほどに重要で変わった能力を持っているというところかな。それで生け贄にされることなく次の召喚が行なわれたのか。しかしそれが失敗に終わりもう二度と召喚に手を出せなくなったのは大問題だ。この責任を追及し王を追い落とすつもりだが、その前に君の能力を私に預けて貰おう。王に付いていても今の待遇はこの先望めなくなる。君も考えずともどちらが得かは判断できるのだろう」


話せば話すほどに態度も言葉遣いもぞんざいになって行く様子には呆れるしかなく、もはや語るに落ちたお父様は重罪確定だ。


それにこの国を出るのだから損も得もない。大人しく言うことを聞くと信じているようだがそうは行かないと思い知らせてやろう。


「そんなに私の能力が知りたいのならその身をもって知るがいいわ」


私はお父様にゆっくりと近づくと、警戒することなく佇んだままのお父様の胸に手を当て隷属魔法を素早く掛け、そして何をされたかも分からずにいるお父様に説明を始める。


「あなたに今施した隷属魔法はあなた達の知るものと少し違い、さらに制約と処罰を詳しくできるようになっています。私は血の契約と呼んでいますがその内容も説明します。まず人を欺くようなことをしたら指を一本切り落とします。次に私利私欲に走ったらやはり指を一本切り落とします。最後に他者を見下し嘲ったらやはり指を一本切り落とします。切り落とす指がなくなったら手首や足首に肘や膝と言う関節を切り落とすことになるので、最後に首を切られることの無いように慎んでください。あぁそれと、この隷属魔法は召喚の間にいた王やその他諸々の方全員にかけてありますから、あなたも無事仲間入りができて良かったですね」


私は嫌味の意味をたっぷり込めて微笑んでみせる。


「なっ、隷属魔法だと! そのような事が許されると思うのか!!」


おもいっきり私を見下したのか血の契約にそう判断されたのか、お父様の指の切り落としがすぐに始まった。


「ぐがっ! な、なんだこれは!!」


跪き指を押さえ痛みに藻掻くお父様を見下ろしながら私は続ける。


「血の契約が早くも発動したようね。そうそうそれとこれはその血の契約とは別の命令です。召喚に関して少しでも関わった者または関わろうとした者すべてに罰か粛清を。勿論あなたも含めた全員ですよ」


この国を出てしまうのでその後のことは私には何ともできないが、せいぜいこのお父様に復讐代行を頑張って貰おう。それに誰にどんな罰を与え粛清を行なうのかこのお父様次第ってのも考えたら面白そうだ。


もしかしたら本当に王とこのお父様の相打ちなんてことが起こりうるかも知れないね。


それにその上で血の契約が絡んだらどんなことになるのか想像するだけでちょっとは復讐を果たせたような気になってくる。


あれだけお喋りだったお嬢様は、目の前で起こっていることが信じられないのかそれとも上手く処理しきれないのか固まったままでいた。


私はそのお嬢様にやはり余裕を持ってゆっくりと近づき、同じく隷属魔法を発動させる。


「説明は聞いていたわよね。お父様のようになりたくなければあなたも気をつけることね」


いったい何をされたかもまったく分かっていない様子のお嬢様に私は構わず続ける。


「散々纏わり付かれた上に無理矢理連れて来られてホント迷惑よ。もう私の用は済んだわ。お城まで送りなさい」


お嬢様は屈辱的な表情を浮かべたがそれを声には出さなかった。まさかこの血の契約の弱点を既に悟ったというのだろうか。だとしたらこのお嬢様は性格はアレだけれど侮れない相手だったということだ。


そうしてあんなにお喋りだったお嬢様はそこから先はふてくされるようにして黙ったまま、来た時に乗せられた豪奢な馬車で素直に送ってくれたのだった。



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