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昔の人は技術は見て盗めと言っていた。
それは今のようにマニュアルが無く、完全に手作業技術が主体だったからってのもあるだろうし、多分自分もそうして学んだから教え方が分からなかったというのもあるのだと思う。
まぁ人にもよるだろうが、前世での家事育児農作業と言った私にとっては初めての事に関するすべてがそうだった。
うまくできないと怒鳴られ叱られ時には殴られ、どうしたらうまくできるかなど誰も教えてくれないから自分で工夫するしかなくて本当に大変だった。
その経験の記憶があるからか、書庫で分類作業をする合間記録本作りをちょくちょく注意して見ていたらなんとびっくり、肝心なのは手書き作業での魔方陣作りだけのようだ。
記録本の本体となるipadみたいなのは別の場所で作られていて、素材も何かの金属っぽいってことしか分からないからそこは盗みようもないのだけれど、魔方陣さえ理解できれば自分でも作れそうな気がしてくる作業だった。
できあがった記録本にはカメラ機能でもあるのか、元になる本を一ページづつ版画のようにして合せ記憶させて行く作業には本当に驚きで、技術が進んでいるのか遅れているのかとても判断に困る。
そこからしても肝心なのはあの魔方陣だけなのだと思うと、なんとなく自分でも何か魔導具が作れるんじゃないかと漠然とそんなことを考えて、是非とも魔方陣を学んでみたいと思い始めていた。
召喚の紋章を書き換えるための知識は歴代召喚者の一人の少女から受け継いではいるが、少女の知識は偏りすぎていてイマイチ応用が利かない。新しい魔導具の開発をするとなったら、ここはもっと知識を深く広くするべきだろう。多分基礎は十分にできているはず。
ならばこの書庫に通える間は情報収集の一環に魔方陣の知識を深めるも付け足しても良いだろう。
私はそう考えひたすら一日の殆どを書庫で過ごすようになっていた。貴賓室でゴロゴロダラダラな生活はすっかりなりを潜め、毎日毎日司書も顔負けな出勤率を誇り知識を広げて行った。
そうして時間が過ぎ気付けば異世界に来て既に三ヶ月が経っていた。
書庫の中の世界しか知らなかったが、この国はその間ダンジョン探索最盛期時代が到来していたらしい。
そして懲りもせずに新たな召喚を試みたために召喚の間が大爆発した。
私はそれを聞き恐怖の悪魔が召喚されるでもなく大爆発を起こしたことで、やはりあの少女の知識はたいしたものだとだけ考えていた。
しかし大爆発を起こしたせいでまたあのお歴々達が大怪我を負い、ただ単にざまぁみろと思っていたのだが久しぶりに治癒魔法のために駆り出されることになった。
三ヶ月の間まったく声が掛かることが無かったので少しは反省したのだと思っていたがそうではなくて、最高級ポーションを手に入れるために城の兵士だけでなく冒険者達も強制的に総動員させていたらしい。余程私に治癒魔法を頼むのが嫌だったのだろう。
そのせいで兵士や冒険者達が命を落とす者も少なくはなかったそうだが、代わりにかなりレベルが上がった者も多くなり、一般庶民にも魔法を広めようかという話も持ち上がり始めたそうで、なんにしてもこの国は少しずつ変わり始めていると思わせる流れになっていた。
その流れに乗って私がお歴々の治療を拒めば政権も一新されるのかとふと頭に過ったが、そうなると城を追い出される心配もあるのだと思うととても悩む判断を迫られている気分だった。
既にこの世界に関しての知識もそれなりに得ていたので旅立とうと思えばできないこともなかったが、しかしこの世界での成人となる十五歳にはまだ少し幼い自分では一人旅は難しいのが難点だ。
ましてや女の一人旅は危険が多いらしく、その手の悪党に攫われて娼館に売られるか奴隷にされるか、とにかく襲われる危険が多いとか。
もっともそんなヤツらは余裕で撃退できるし、なんなら逆に隷属させることもできるが、わざわざ荒事を起こして回るのも面倒そうなので避けたいところだ。
(なんにしてもここでもう少し恩を売っておくか…)
結果がどうなり時代がどう流れていくのかなど私が考えても始まらない。ならば今は自分にできることをするだけだ。
それに懐が温かくなるのなら何も拒む必要はない。この際たっぷりと稼がして貰って、成人するまではこの城に滞在できるようにしようと超打算的思考に引っ張られていた。
すみません、体調が思わしくなく上手く書きたいことが書けずかなり読みづらくなっていることをお詫びします。それに予約投稿できる余裕もまったく無いし…
もう少し上手くサクサクッと話を進められるようになりたいです。




