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最強ヒロイン ~理不尽に召喚された少女は歴代召喚者達から受け継いだ能力(チート)で無双する~  作者: 橘可憐


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部屋に完全遮断結界を張ったらなんと熟睡してしまったらしい。目が覚めて結界を解除し部屋を出ると、私専属になったと思われる使用人が不満顔でドアの外に立っていた。


何しろ外からの光と音と熱と視界までも遮断するので、ドアをノックする音にまったく気付かなかった。まぁ、お陰で疲れは取れてスッキリしたのだけれど。


「着替えと食事をとのことでしたのでこちらに用意いたしました」


ダイニングテーブルにはすっかり覚めたフルコースばりの料理が並び、応接セットらしいソファーには見るからに豪華そうなドレスが何着か広げるようにして置かれていた。


料理はともかく、着替えにドレスが用意されるなんて考えてもいなかったのでかなり戸惑った。


この世界にルームウエアなんて物はなく、ましてやここはお城の貴賓室だ。考えてみれば当然と言えば当然だった。


「折角用意して貰って悪いんだけど。ドレスじゃなくてもっと動きやすい服が良いな」


「動きやすい服ですか」


使用人は明らかに不服そうな口ぶりで怪訝そうな表情を浮かべた。


「初めからちゃんと言えば良かったよね。ごめんなさい。パンツとかスラックスって言って伝わるかな、男の人が履くズボンみたいなのが良いのよ。上も楽な感じのシャツが欲しいんだけど、お願いできるかな」


ご機嫌を取るつもりはないが、敢えて丁寧に頼んでみる。歴代召喚者達に酷いことをしたこの国のことは許せないが、かと言ってこの国の人達全員に傍若無人な振る舞いをする気はない。最低限の礼節はわきまえて行こうと思ってる。


そうじゃないと相手と同じレベルにまで自分が落ちてしまいそうで嫌だ。それに礼節が人を作ると言うしね。


「仰せのままに。それと、昨夜から面会の申し入れが何件かありますがどうなさいますか」


(昨夜?)


バルコニー越しの風景を確認すると、夕方だと思っていた景色が早朝に見えてくるから不思議だ。どうやら一晩ぐっすりと眠ってしまったらしい。使用人の不満そうな顔に漸く納得がいった。


「取り敢えず今日はパス。誰とも面会する気はないから全部断って」


多分隷属魔法を掛けたヤツらの欠損治癒の依頼だろう。やはり思っていた通りさっそく色々とやらかしたのだろうけれど、もう少し切羽詰まってからたっぷりと恩に着せてやるつもりだ。


それに昨日の今日でまたまた不愉快な人達と顔を合せるのかと思うと気分がとっても重い。


「朝食のご準備もできておりますがどうなさいますか」


「あぁ、テーブルの料理を食べるから朝食はいいわ。気を遣ってくれてありがとう」


冷めているとは言え折角用意してくれた料理、食べられなくなった訳じゃないならちゃんといただこう。前世での食べたい物も食べられなかった記憶があるからか尚更にそう思う。


「ぁぁ、いえ…」


お礼を言われたのが余程意外だったのか、ポカンとする使用人の表情をちょっと面白く感じていた。

そして喉の渇きを潤す前に顔を洗おうと簡易キッチンみたいな場所へ向かうと、使用人に慌てて止められる。


「どちらへ」


「どちらへって、顔を洗って水でも飲もうかと思って」


「ご用意いたします」


「ご用意されなくても自分でできますから」


体を使って制止しようとしている使用人を無視して簡易キッチンに入ると、そこにも使用人が待機していてびっくりだった。


「もしかして部屋ごとに担当が居たりするの?」


もしかしたらそのための五人という人数だったのかと思い当たり、確認せずにはいられなかった。

自由にしていいとは言ったけれど、まさか待機が仕事って辛すぎるだろう。いや、でも、この世界の人はそれが普通なのだろうか。やはり風習や考え方の違いって理解するのは大変そうだ。


「部屋ごとと言いますか…」


「とにかく頼んだことだけやってくれれば良いわ。もう一度言いますけど、私は自分の事は自分でします」


そう言ってキッチンシンクのような場所に立つが、なんとも勝手が分からない。お風呂場の給湯器リモコンパネルのような物が壁にあるが何やらボタンが多く、それに肝心の蛇口が見当たらない。


「えっとぉ、ここで顔を洗いたいんだけど、これの使い方を教えてくれる?」


「ここで顔を洗われるんですか?」


洗面台が無いんだからキッチンで洗うしかないよね? 朝からシャワー浴びるってのも手だけれど、そこまでするのはちょっと面倒だ。


「そのつもりだけど、なにかダメだった?」


「えっと…、ではこのパネルの使用方法をご説明します」


キッチン担当の使用人の説明によると、まず水だけを出すボタンとお湯だけを出すボタンとあり、両方を押すとぬるま湯が出る仕様で、ボタンを押すと排水口だと思っていた所からせり上がるようにしてシンクに水が溜まるので、その水を使って洗い物などの作業をするのだが、なんと水を流しっぱなしでは作業しないようだ。


そして使用後は浄化のボタンを押すと、シンクにある水はシンクごと綺麗に浄化されてタンクへと流されて行き再度使われんだって、なんか凄くない?


そもそもこのシンクで使われている水は浄化の作用があるので、水に浸すだけで汚れ物が綺麗になり、さらにこの水を含ませた布で掃除をすれば洗剤無しで汚れを落とせるそうだ。


なのでどうしても顔だけを洗いたいのなら、タオルを溜めたお湯に浸し固く絞って顔を拭くのがいいだろうと教えてくれた。


じゃぁ歯磨きなどはどうするのかと思ったら、この浄化作用のある水を口に含んでクチュクチュするだけで良いらしい。


そんなことよりもここでの普通は、浄化ボックスに入ってボタン一つで頭のてっぺんからつま先まで全身スッキリさせるのだそうだ。

話を聞いて本当に魔導具の進歩の凄さを見た。ホント素晴らしい。どうりでここで顔を洗うのかと不思議そうにされる訳だ。


もっとも浄化ボックスを購入できない一般家庭はいまだに濡れタオルで体を拭き、歯磨きは専用の布があって、それを使って指で磨いているそうだ。


それでも富裕層の富の象徴としてお風呂があり、これは体を綺麗にすると言うよりもエステや治癒効果を持つマッサージに近い感覚の習慣らしい。


そして飲み水や料理に使う水は別にあって、ウォーターサーバーみたいになった場所にポットや鍋を置いて水やお湯を汲み入れて使うんだとか。


魔導具が進歩して便利になっている分科学の発達はないのだろうが、それでも人間の便利を追求する姿勢は変わらないと言ったところなのだろう。


現代日本とは違うスッキリ仕様といったシステムにイマイチ感覚が追いついていないが、これはもう慣れるしかないだろうと思うのだった。



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