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Life. and University.

※この作品のストーリーはフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。ですが一部の地域や建物など、実在するものも含んでいます。

【残り363日】


ー AM 6:10〔外国人留学生寮、321号室〕ー



ウォレス「........mmm」



朝、窓からの光でウォレスが目を開ける。

横から音がすることに気づき、顔を横に向けると窓際にエリックが居た。

どうやら服を畳んでいるようだ。

持っているのは昨日洗濯機に入れた2人の服だった。

それに気づいたウォレスは口を開く。



ウォレス「….Eric?」


エリック「Morning, Wallace.(おはよ、ウォレス。)」


ウォレス「What are you….(何を...)」


エリック「Oh, right. It looks like you had a good time yesterday, so I folded all your clothes for you. You’re probably still tired, right? You can sleep a bit longer if you want. (あぁ、そうそう。どうやら昨日楽しんできていたようだし、俺が全部畳んでおいたよ。だからもうちょっと寝てても大丈夫)」



ウォレスは申し訳なく思い身体を急いで起こしてベッドから出ようとした。

少し身体に力が入っているようだ。

昨日の事で実はエリックが怒っていないかが怖かったのだ。



ウォレス「I-I’m sorry about yesterday… I just——(き、昨日はごめん...ただ——)」


エリック「It’s okay. You made it back before lights-out, right? I would’ve been worried if you hadn’t.(大丈夫だよ。消灯時間までには帰ってきてくれたろ?帰ってこなかったら心配だったけどさ)」



「気にしないでいい」と笑いながら言ってくれた為、ウォレスは比較的安心して力を抜いた。



エリック「Honestly, I’d like you to rely on me. You can lean on me more. (なんなら、頼ってほしいくらいだよ。もっと頼ってくれ。)」



エリックは手を止めてから振り返って真剣そうな顔でそう言ってきた。

ウォレスはそう言われてまた身体が硬直する。

真剣な表情からウォレスは圧を感じ、顔が見れなくなって俯く。

その後ぎこちなく数回頷いた。

その様子を見たエリックは浮かない顔をしながらまた服を畳むことことに戻った。



エリック「Well… Where did you go yesterday? I saw you had a white cat keychain when you came back. You bought it?(それで.... 昨日何処行ってたんだ?帰ってきた時に猫のキーホルダーを持ってたみたいだけど。買ったのかい?)」



そう聞かれてウォレスは首を振ってから口をまた開く。



ウォレス「No, I got it from ユスケ at a department store in Umeda.(ううん。梅田の百貨店でユスケから貰ったんだ。)」


エリック「ユスケ?Who is it? University friend?(ユスケ?誰だいその人?大学の友達?)」


ウォレス「No, he’s my brother’s friend’s younger brother. (いや、ボクの兄の友達の弟だよ)」


エリック「Ah, I see.(あぁ、なるほどな)」



そう言うとエリックは納得した様子で頷いた。

すると何か気づいたのかもう一度ウォレスの方に向き返った。



エリック「By the way, your older brother graduated at the top of our university, right? I was honestly pretty surprised when I heard that! (ってか君のお兄さんって俺らの大学の成績優等卒業生なんだろ?それ聞いた時はほんと驚いたんだよなぁ!)」



エリックは心の底から楽しそうに話をし始めた。

ウォレスは自分のお兄さんの話を聞けて嬉しそうに、でも少しぎこちなく笑った。

エリックは畳み終えた服をエリック用、ウォレス用に分け終えて自分のを運んで行った。



ウォレス「Thank you, Eric…(ありがとうエリック...)」


エリック「Yeah…. Your welcome, Wallace.(うん.... どういたしましてウォレス)」



ウォレスは申し訳ないのか表情を曇らせたがエリックは服を直した後、そんなウォレスに対してしっかりと振り返って笑顔で返した。



エリック「Well, I’ll make breakfast, so just take it easy. (まぁ俺は朝ごはん作るよ。だからゆっくりしてて)」


ウォレス「Ah, n-no. I’ll help you. P-Please let me help you…!(あ、ま、待って。手伝うから。手伝わせて...!)」



そう言って飛び起きるウォレスだった。

エリックは突然だった為驚いた表情を見せて振り返った後笑って首を横に振る。



エリック「…Thanks. But, I’m okay. Just relax.(ありがとう。でも大丈夫だから。ゆっくりしてて)」



優しい口調でそう言い離して、エリックは行ってしまった。

ウォレスは特に何も出来ずそこに少し立ち尽くす事しかできなかった。



ウォレス「......」



酷く焦った様子で先程エリックがいた場所に行き綺麗に畳まれ、重ねられた自分の服を見る。

規則的な呼吸が出来なくなってくる。



ウォレス「...Hah… hah…!」



突然その服を一枚ずつ勢いよく持ち上げて崩していった。

一枚、また一枚と持ち上げて全てのポケット内を調べていく。

服のポケット、ズボン、靴下の中など。

まるで何かに追い込まれている様に。



ウォレス「.....…!」



最後の一枚である服を持ち上げようと手を伸ばしたが、我に帰ったのか手が止まる。

その後ペタンと床に座ってまた荒く呼吸をした。

伸ばした手はウォレスの胸元に持っていかれ、もう片方の手で落ち着かせるかのように摩っていた。



ウォレス「No… no no no….」



自分に言い聞かせるかのように何度もnoと呟いた。

周りを見渡すと確認し終えた服が周りにぐしゃりと散乱している。

ウォレスはそれを急いでかき集めて自分なりに畳み始めた。




エリック「Wallace? Are you okay?(ウォレス?大丈夫か)」


ウォレス「Yes, I’m okay.(うん、大丈夫)」



数分後、エリックは料理を持ってまたリビングルームに戻ってきた。

椅子に座って待っていたウォレスはそう少しぎこちない返事をするがエリックはいつも通り笑って返してくれる。

どうやら今日は卵焼きと焼いた食パンにバターを塗ったものを作ったようだ。



ウォレス「...Is it omelette?(それってオムレツ?)」


エリック「I learned a really nice way to make this from friends at the university! Apparently it's called “タマゴヤキ” in Japanese!(ここの大学の友達からこれの綺麗な作り方聞いたんだ!日本語で卵焼きって名前らしい!)」



そうやってエリックが楽しく話を始めてくれた。

日本で出来た大学の友達から聞いた事について食べながら雄弁に話した。

一方ウォレスは用意されたフォークを握ったものの目玉焼きに一切手をつけずその話をずっと聞いていた。



エリック「That’s why, タマゴヤキ is tasty!」



ウォレスは聴き終えてから小さく拍手をした。

エリックは熱弁と同時に食事を終えた後にウォレスが一切卵焼きにも食パンにも手を付けていない事に気づいた。



エリック「Did it taste bad, or were you just not hungry when I made it? (不味かったか?それともお腹空いてなかったのに作っちゃったか?)」


ウォレス「Sorry, I think I might’ve eaten a bit too much at dinner last night…(ごめん、多分昨日食べすぎちゃったんだと思う...)」



そう言って申し訳そうに頭を少し下げる。

エリックはそれに対しても気にせず笑顔を見せた後ウォレスの目玉焼きを指差す。



エリック「That’s fine. Can I eat yours?(大丈夫だよ。君のも食べてもいいかい?)」


ウォレス「Of course.(もちろん)」



そう答えて皿を渡すとエリックは喜んで皿を取ってバクバクと食べた。

正直もっと食べたかったのだろう。



ウォレス「… I‘ll get ready for university. (...大学の準備するよ)」


エリック「Right now?(今から?)」



そう頬張りながら聞くとウォレスは頷いて席を立った。自分のクローゼットの前に行き、服を取り出した。

昨日着た同じ白いタートルネック服もう一着と黒茶色のズボンだ。



エリック「You really like that outfit, huh? I mean, I like it too! (君ってその服好きだよねぇ... まあ俺もそれ好きだよ!)」



そう言いながらパンを齧る。

ウォレスは取り出した服を持ってここでは着替えずにトイレに行き、鍵を閉めてから着替えたようだ。



エリック「(He could just change here, though…(ここで着替えても良いのになぁ....))」



エリックはそう思いながら残り一口のパンを口に放り込んで、もぐもぐしながら席を立ち上がった。

自分ももう着替えようと自分のクローゼットからいつもの仮制服を取り出す。

エリックはたたっと着替えてパジャマ用に着ていたシャツとズボンを畳んで自分のベッドの上に置いた。

少し目を離すとウォレスの荷物があることに気づいた。

少し中を覗くと昨日の荷物のまま変わっていない。

そう思ってエリックはウォレス用の棚から大学用にいつも使っているであろう用品を取り出して中を入れ替えてあげた。



エリック「(Am I being a bit overbearing…?(少しお節介かな...))」



終わった後にそう思い、確認の為にウォレスの居るトイレに向かった。



エリック「Wa-」



トイレから小さいけど話し声が聞こえてエリックは呼びかけた口を閉じる。

通話だろうか?少し喋っては止まってまた喋るを繰り返している。

流石に会話中に邪魔をするのは好きじゃない、とエリックは諦めて出てくるまで別の場所で待つ事にした。

聞き耳を立てるのもプライバシーの侵害だと思いやめておいたようだ。


ウォレスが出てくるまでのその間はずっと今日の予定などを見たり、髪の毛を少しセットしたりで大学の準備がそろそろ終わりそうだった。

するとウォレスがしっかりと着替えてトイレから出てきた。



エリック「Finished?」



そう聞くとウォレスは頷いて、先程まで来ていたパジャマをベッドに置いてすぐに鏡のある場所に向かった。

髪型を説得しながら服を少し丁寧整えていた。

エリックはその様子を見て質問した。



エリック「.... There’s no mirror in the bathroom, so why don’t you just change here?(トイレには鏡が無いんだしそのままここで着替えたらいいんじゃないのか?)」


ウォレス「......」



そう聞くとウォレスは少し反応を見せた後特に何も言わずに服を整え続けた。



エリック「How about putting a mirror in the bathroom? It might be convenient——(鏡をトイレに置こうか?使いやすいと思うし——)」


ウォレス「I’m fine. ....Sorry to make you feel uncomfortable…(大丈夫だから。......気を遣わせてごめん)」



そう言ってから鏡の前を離れてリュックの中を入れ替えようとリュック前まで行った。

背を曲げて掴む前に気づいたのか動きが止まる。



ウォレス「...Eric…?」


エリック「Yes?」


ウォレス「Did you switch the stuff in my bag…?(ボクのバッグの中身入れ替えた....?)」


エリック「Oh! Right, right! You were changing in the bathroom for a while, and you were on the phone too… so I figured it might be easier if I switched the stuff in your bag from yesterday’s things to your university stuff ahead of time. …Maybe that was a bit too nosy?(あぁ!そうそう!トイレで長い間着替えてる様子だったし、電話もしてたから... 先に入れ替えておいた方が楽だと思って.... ちょっとお節介すぎたかな?)」



そう言われてウォレスはびっくりしたのだろうか。身体が硬直した。

エリックはその様子を受けて少し焦った。



エリック「....I-I’m sorry——」


ウォレス「No, it’s okay. Don’t worry about it. Thanks for looking out for me.(ううん。気にしないで。気遣ってくれてありがとう。)」



そう言って笑顔で振り返った。

エリックもその笑顔を見て少し安心したのだろうか少し息を吐いた。



エリック「If I ever get too nosy, let me know. I tend to do that out of habit. Sorry about that… (もしも俺がお節介焼き過ぎたら教えてくれ。いつもの癖でやっちゃうんだ。許してくれ....)」


ウォレス「Got it.(分かった)」



エリックは申し訳なさそうに言うがウォレスはそれに対して笑顔で返した。


それとは対照的にウォレスの手は背中の影の中、震えていた。




お互い準備を終えてから少し時間を個人個人自由に過ごしている時、エリックがスマホを確認した。時刻が視界に入る。



エリック「Wow, I didn’t realize it was this late… We should head out.(こんな時間... もう行こうか)」



エリックがそう言って肩掛けバッグをもう持つ。

ウォレスもその言葉に頷いてリュックを背負わずに持ち、エリックの隣まで行く。

寮の鍵を開けようとしていたエリックがそれに気づいて首を傾げた。



エリック「Aren’t you going to put it on your back?(背負わないのか?)」



それに対し、ウォレスは大丈夫と答えた。

エリックは少し違和感を感じながらも本人が言うのだから大丈夫だろうと思い鍵を開けて先に出る。

ウォレスも続いて部屋から出た。



エリック「Do you have everything?(忘れ物はない?)」


ウォレス「Yes, I think so.(うん、多分)」


エリック「Did you check your pockets? Your phone? Your wallet?」



そう真剣に聞いていると途中で気づいたのかエリックは口を塞いだ。

またお節介をかきすぎだと恥ずかしくなったのだろう。

ウォレスはその様子に気づいて思わず笑みが溢れた。

またその様子を見たエリックも安心して少し笑みをこぼし、部屋の鍵を閉めた。



エリック「…Alright. Let’s go.」



そう言って鍵をポケットに入れてから歩いていく。

ウォレスも歩幅を合わせるようにエリックの隣で歩いて行った。



エリック「If we leave now, we shouldn’t be late. We might even be a little early. So let’s just take our time getting to campus.(まぁこれから行くなら大体遅れる事はないよ。なんならちょっと早いくらいだと思う。まぁゆっくり大学まで行こう)」



そう言って駄弁りながらエリックは部屋のすぐ隣にある階段を下がっていくと足音が1人分しかしないのに途中から気づいた。



エリック「....Wallace?」



ウォレスが居なかった。一度足を止めて少し見渡しても居ない為少し焦ったがふと思って下を見た。



エリック「Ah, damn it… not again… (あークッソ... またやった....)」



そう言って降りた数段を駆け上がった。



エリック「Wallace?」



そう名前を呼ぶんで左右を確認するとすぐに見つかった。

どうやら階段を上がってから曲がってすぐ側の壁で待っていた。

どこか怯えた様子で壁にもたれかかっている。



エリック「Wallace… sorry, I forgot. Let’s take the elevator.(ウォレス... ごめん、忘れてたよ。エレベーター行こう)」



ウォレスは頷いてぎこちなく歩みを始めた。



エリック「.....」



エレベーターに向かうためには階段の前を通るしかなくもちろんエリックはそのまま前を歩こうと言った。



ウォレス「E-Eric」


エリック「I know, I know…(分かってる、分かってるよ)」



エリックは階段側に立ってウォレスの歩みに合わせた。

ウォレスは階段の前を通る間階段のある方向を見ないようにと手でっyyyh多いながら前を向いて歩いた。

エリックはそんなウォレスを心配しながら歩いていく。



エリック「…It’s okay now. We’re past it—the stairs aren’t in sight anymore. You’re fine. (....終わったよ、もう階段は見えない。大丈夫だよ。)」



それに対して何度も小さく頷いて恐る恐る手を下ろして深く息を吐いたウォレスだった。

それに対してエリックはまた笑顔で対応した。



エリック「Alright… just a little farther and we’ll be at the elevator. Let’s go.(よし...っ、もう少し歩いたらエレベーターだ。行こう。)」



そう言ってエレベーターの方向を指差して先に歩いた。

ウォレスもその後に続いて遅れをとらないよう歩いて行った。


その後エレベーターに到着してから2階、1階と下がっていって寮の出入り口まで来た。

扉を開けようとすると誰かの足音が近づいていることに気づいて振り返る。



エマ「Eric!」



同じ大学仲間にばったりと出会った。

エマとソフィアだ。

ウォレスはびっくりして身構えた。



エリック「Emma! Sophia! Oh, are you two heading out too? (エマ!ソフィア!丁度君たちも出発かい?)」


エマ「Yeah, it might be a little early, but we’re all ready.(そう!ちょっと早いかもだけど準備できちゃったし)」



エリックは2人と楽しそうに会話をしていた。

するとエマはウォレスが1人でじっとしている事に気づいて声をかけた。



エマ「Wallace! You made it back safely! Eric was really worried and looking everywhere for you yesterday!(ウォレス!無事に帰ってきたんだ!昨日エリックが君がいなくなったって酷く探してたの!)」


ウォレス「Oh… yeah. Yeah... Sorry.」



そう言ってぎこちなく謝った。

そこから会話が広がる様子はなく、それに気づいたエリックが慌てた様子で間に入ってくれた。



エリック「Oh right, we actually have to get going. I’ve got an early thing with students from that university. Right, Wallace? (そうだ、俺らもう行かないとなんだ。ちょっと俺があの大学の学生さんと早めの約束事があってさ!な?ウォレス)」


ウォレスはそう言われてよく分からずのまま頷いた。

するとソフィアは何か理解したのか分かったと言ってまだ話したげなエマを引き下げた後自分も引き下がった。

エリックはその事に気づいてソフィアに小さく感謝し、すぐに扉を開けてウォレスに声をかける。



エリック「Let’s go, Wallace.」



その言葉でウォレスはハッとして扉から出た。

そこから少し競歩で2人は急いだ。

エリックは少し走り気味なのに対して、ウォレスはエリックの速度に合うよう速度を調節しながら歩いた。

少し経った後、エリックが周りを見回して確認した後速度を落とした。

その様子にウォレスは謎に思って聞いた。



ウォレス「... Eric… you really do have something planned…?」


エリック「Huh? Oh, yeah, I do have plans, but it’s just about grabbing lunch together later. Nothing to do with the morning. You looked like you were having trouble being talked to, so I just stepped in.(え?あぁ、確かに約束事はあるけどどうせ昼飯一緒に行こうって話だよ。朝は関係ない。君が話しかけられて困ってそうだったし止めただけだよ。)」



そう伝えられたウォレスは少し安堵したような顔を見せた。

それを見れてエリックも安心して表情が緩んだ様子だった。


そのまま軽く喋りながら2人は大学まで歩いた。

大学が見えてきてエリックは何か思い出したものがあったのかウォレスの服をちょんちょんと引っ張った。



エリック「Last week, you couldn’t use the stairs at university and couldn’t get up to the upper floors, right? So I talked to the university about it and asked if you could use the elevator. I think they’ll probably let you. (先週、大学で階段が使えなくって上の階に行けなかっただろ?だからエレベーターあるし使わせてもらえるように大学の方にお願いしといたんだ。多分、使わせてもらえると思う。)」



それを聞いたウォレスはびっくりして歩みを止めて勢いよく謝った。



ウォレス「S-sorry…! I’m sorry for making things complicated for you… I’m really sorry…(ご、ごめん...!僕のせいで面倒な事させて...っ ごめん...)」


エリック「It’s really fine! It wasn’t a big deal, and they agreed pretty quickly anyway—(別にいいよ!別に大変なことじゃなかったし、結構すぐに受けてくれたし——)」


ウォレス「Won’t you be…mad…?(怒ら、ないの....?)」



弱々しい声でそう呟いた。

エリックはさっきまでの様子が変わり、そう言われた事に驚いて誤解を解こうと言葉に詰まったりあたふたとした。



エリック「No, no!! I’m not mad at all! Honestly, I was a little worried I might be overstepping… I just wanted to help you out. So it’s totally fine.(しないしない!!怒らないよ!なんなら変なお節介かいてないか怖いくらいだし... 君の力になれたらなと思ってだよ。だから大丈夫。)」



そう言い終えるとウォレスは少し肩を緩める。

先程掻き始めた右手の甲を撫でた後また歩みを始めた。



エリック「....」



エリックも心配に思いながらも大学に向かって歩く。



「エリックさーん!!」


「エリック〜!!」


エリック「お、おはよう!!」



入り口まで行くと大学の生徒達から大量に話しかけられるエリックだった。

エリックは楽しそうにみんなに手を振ったりしていた。



「エリック〜!今日昼飯行くぞ〜!!」


エリック「うん!わかったよ〜!」



次々とエリックに話しかけてくる学生達に対してエリックは笑顔で明るく返した。

ウォレスはその様子をずっと側から見てるだけだった。



エリック「うん、ありがとね〜 ....Let’s walk a bit faster, I’m starting to get tired too.(ちょっと早めに歩こうか、俺も疲れてきちゃうや)」



そうクスクスと笑いながらウォレスに提案した。ウォレスはそれに対して頷くとエリックは喜んで早歩きになった。

ウォレスもそれに置いていかれないように少しだけ早めに歩いて後ろにつく。


少し歩いていくと人が少ない所まで出れたことでエリックは安心して楽しそうにウォレスの方を向いて話し始めた。



エリック「I’m really enjoying being in Japan. Everyone’s so nice. You feel the same way——(日本に来て本当に楽しい。みんないい人ばかりだ。ウォレスもそう——)」


???「わっ.....!」



前方不注意だったエリックが誰かにぶつかってしまったようでウォレスもエリックに集中していた為気づかず、そのまま勢いでウォレスもエリックに軽くぶつかってしまった。

ぶつかられた学生はそのまま尻餅をついて抱えていたものをぶちまけていた。



???「....っ、いたた....あ、眼鏡飛んだ...」


エリック「ごめんなさい。大丈夫ですか?」



眼鏡を手探りで探す学生さんに対してそう謝ってエリックは眼鏡を取って渡した。

ウォレスもその様子を見てぶち撒かれた教科書類をゆっくり掴んでまとめた。



???「あ、ありがとうございます... 貴方も... 僕は大丈夫です.... 逆に貴方の方が大丈夫で.... あっ!」


エリック「....?」



学生はどうやら眼鏡をかけた後、ぶつかった相手が日本人では無い事に気づいてびっくりしたようだ。



???「え、っあ!!?あの留学生の... そっ、ソーリー!えっと... アイ キャント スピーク イングリッシュ...」


エリック「はははっ、大丈夫です。私、日本語しゃべれますよ。」



焦って片言の英語を喋る学生に対して一時はびっくりしたがその後すぐに優しい口調で優しく笑ってエリックは話しかけた。

するとその学生さんも安堵したのか肩をの力を抜いて下ろした。



エリック「怪我とか、いたくないですか?」


???「はい、大丈夫です。これでも転かされたりするのは慣れてるんで...」



そう言って冗談のように笑いながら学生さんは立ち上がり、お尻についた砂埃をはらったあとウォレスから教科書類を貰った。



エリック「ほんとうに怪我、ありませんか?」


???「あぁ、もう本当に。元気ですので!......背の高い貴方もありがとうございます」



そう言って学生は2人に対して会釈した後また走って行った。



ウォレス「.....Eric, you alright?(エリック、大丈夫....?)」


エリック「Ah, yeah. I’m okay. Actually, I’m the one who suddenly stopped, so I ended up bumping into you… Sorry about that... (あぁ、うん。俺は大丈夫だよ。逆に俺が突然止まったから君にもぶつかっちゃって... ごめんよ。)」



そう言って頭を掻きながら謝った。

ウォレスはそれに対して首を振った。



エリック「Anyway, we’re almost there. Let’s walk from here. Keep our eyes forward, okay? (とにかく、すぐそこだ。ここからは歩いて行こう。ちゃんと前を向いてね!)」


ウォレス「Yes.」



そう少し皮肉を加えながらエリックが言った後また歩くのを再開する。

ここからは特に何もなく無事に目的地に着いた。


そこからは特に何もなく講義も受けた。

エリックはウォレスの側で分からない事などを教えていた。



エリック「This is what it means.」


ウォレス「…Okay」



時々ノートを取ったりなどで何気にウォレスは楽しく過ごしていた。



「エリックさーん!」


エリック「待ってて〜!」


ウォレス「....」



休み時間に差し掛かるとエリックは酷いほど話しかけられる。

日本語が喋れないウォレスは移動中もずっとエリックが他の学生に話しかけられている様子を楽しく見ていた。



「ウォレスさん!アーユーハビングファンインジャパン?」



たまにエリックに話しかけていた学生から英語で軽いことを聞かれるがウォレスは軽くコクコクと頷く、そんな事しかしなかった。

その為エリックのように沢山の人から話しかけられることもなく、ほぼいないかのように過ごしていた。

エリックはずっとウォレスのそんな様子を浮かない顔で見ていた。



昼食の時間もエリックや他の学生達数人と一緒にご飯を食べる。

エリックはとにかく学生に囲まれていっぱい質問されていた。ウォレスは隣で黙々とご飯を食べながらそんな様子を見る。それだけだった。



「エリックさん、大学慣れましたか?」


エリック「うん。慣れてきたよ〜。」


「エリック、そっちの大学ってどんなの?」


エリック「色々な人が居ます。私は私の行ってる大学、楽しくて好きですよ〜!」


「日本料理とか食べた?!今度行かない!?」


エリック「えっと、最近、スシとうどん食べましたよ。他の日本の料理、もっと食べたいです。行きましょう!」


「え〜今日空いてたら行こ〜!」


エリック「え〜」



エリックはとにかく楽しそうに話をする。

ウォレスは一番先に食べ終わってもその場を動かず、みんなの会話を聞いていた。

よく分からない様子だが時々相槌を打ったりなど楽しんでいるのには変わりなかった。

それとは逆にエリックは箸が進まない様子だったが本当に一段と楽しそうだった。

すると輪の中に居た学生の1人がエリックのその事に気づき、周りに注意した。

その様子を受けてエリックは別に大丈夫だと言ったのだ。



「でもエリックさんにもウォレスさんにも申し訳ないので...」


エリック「えー、大丈夫だよ〜」


ウォレス「....What did he say?(なんて言ってたの?)」


エリック「He was worried about me not eating and about you sitting there the whole time.(俺がご飯食べれてないことと君がずっと座ったままの事を気にしてくれたんだ。)」



みんな気遣いが良いよな、とエリックは耳打ちをしてウォレスはそれに頷いた。

そんな様子のウォレスを見た後、視界を下に写したエリックは口を開いた。



エリック「If you’ve finished eating, don’t worry about me. You can walk freely now.(食べ終えたなら俺のことは気にせずもう自由に歩いてて大丈夫だよ。)」



もう食べ終わっている事に気づいたのだ。

そう言うとウォレスは少しあたふたとした。

その様子を見て日本の学生の内の1人が何か思いついたのか口を開いた。



「そうだ!桜!今大学の庭近くに桜咲いてるんです!結構人渡りの悪い場所にあるのでほぼ誰も知らないんですが是非見に行ってみてください!」



そう言われてエリックがすぐに英訳し、ウォレスに伝えた。するとそれを聞いて興味深そうな表情で立ち上がった。



ウォレス「Uhh、サクラ、なに...あリル?」


「えっと...場所かな....?ここ曲がったとこ!狭い場所通ってその奥!」


エリック「Apparently, there’s a narrow path just past here and around the corner. It’s further down that way.(ここから出て曲ったところに狭い道があるらしい。その奥だって。)」


ウォレス「あ、アリガト!」



そんな様子を見た学生達は嬉しそうに食器をたったと返却口に戻して食堂から去るウォレスに手を振った。

ウォレスもそれに対して嬉しそうにした。



エリック「I’ll head over there once I’ve finished eating, so wait for me!」



そう大声で伝えるとウォレスは遠くで頷いた後また振り返ってすぐ行ってしまった。



エリック「....ありがとうございます。私も後でみにいこうと思うよ!」



そうウォレスの分も感謝を伝えてからご飯を食べようと箸で摘み上げたものを口に運ぼうとした瞬間、また1人の学生が思いついたかのように質問した。



「エリック、ウォレスさんってどんな人なんですか?」



突然の事でエリックはそのご飯が口の中に運ばれる前に箸を下ろした。

その学生は他の子達から注意を受けていたがエリックはその質問に真剣に返す。



エリック「ウォレスくんについてですか?」


「はい」



聞いた学生が真剣に返事をする。

それを受け、エリックは少し眉間に皺を寄せ頭を抱えた。

色々と考えた後苦笑いをしながら答える。



エリック「まったく分からない、と思います」



そう言葉に少し詰まりながら伝える。

それを受けて他の学生もずっと気になっていたのかエリックは一気に質問攻めを受けた。



「何か言われてる事とかは?」


「ルームメイトなんですよね?」


「好き嫌いとか分かりますか?」


エリック「えーっと、先生...から、ウォレスくんは少し違うと聞かされてます。あと階段が嫌い、とウォレスくんが言ってます。それ以外はまったくないです」



そう恥ずかしそうに苦笑いしながら答える。

みんなからの目線に少し困った様子で頭を掻いていた。



エマ「Hey Eric. What’s everyone talking about?(やあエリック。みんなで何話してるの?)」



後ろから声をかけられてエリックは振り向いた。

エマとソフィアが食べ終わった後丁度横を通った為、声が聞こえて寄ってきたらしい。

2人は学生にも挨拶してそれに対して学生達も嬉しそうに返した。



ソフィア「Wow, you guys are already that close?(わお、もうこんなに友達なの?)」


エマ「Classic Eric! You’re always so good at making friends!(さっすがエリック!いつも友達作り上手いなぁ〜!)」



そう言って肩を叩かれて少し照れ臭そうに笑うエリックだった。

ふと思って2人にも聞かれた事を聞いた。



エリック「By the way… do you two know anything about Wallace? (そういえば....、2人、ウォレスについて何か知ってる?)」


エマ「No, I don’t know where he is…(いや、何処にいるか知らないけど...)」


エリック「Haha, no, no! I mean about Wallace himself. I don’t know anything at all. (ハハっ、違う違う!ウォレス自体についてだよ。俺、全く知らないんだ。)」



そう言うとエマは貴方も!?という表情で指を刺された為エリックは頷いた。

そう言われてエマはうーんと少し考えた。

それに対して隣にいたソフィアは口を開く。



ソフィア「Oh, about Wallace…? You might not want to ask too much.(あー、ウォレスについてか... あんまり聞かない方がいいかもよ)」


エリック&エマ「What!? You know something?!(え!?何か知ってるの!?)」



2人ともハモってソフィアの方向を見て迫る。

その圧にソフィアはびっくりして少し後ろに下がった。



ソフィア「W-well… just a little bit… (ま、まぁ...少しだけなら...)」


エリック「What is it?!(何?!)」



ソフィアは少し困った様子を見せた後口を開いた。

それを見たエリックとエマは好奇心旺盛に期待を寄せた顔をしてもっと近づいた。



ソフィア「What do you want to know about him? (あの子の何を知りたいの?)」


エリック「Anything! Everything, even! I really want to help him—I became his buddy at the dorm and at university, but I just can’t communicate with Wallace! He doesn’t say anything, and it’s always so awkward…(なんでも!なんなら全部!!何か力になりたいって寮でも大学でもバディになったのに俺本当にウォレスとコミュニケーション取れないんだ!本人が何も言わないし、ずっとぎこちないし...)」



そう言うとソフィアは少し考えた後また口を開く。



ソフィア「I think you know he has an older brother, William, who graduated from the same university… Oh, and I’ve never seen him use the stairs. I don’t know why, and I have no idea… Oh, and he really loves Japan. That’s something he actually said himself.And….(同じ大学の卒業生であるお兄さんのウィリアムさんが居るのは知ってると思う... ああ、そうだ、あの子が階段は使ってる姿を見た事ないよ。理由は分からないし知らないけど... あと日本が大好き。これは本人が言ってた。あと...)」


エリック「More than that… like, things that nobody knows…(それよりも、誰も知らないような情報とか...)」



そう聞くとソフィアは真剣な表情をしたあと日本の学生達に向かって喋った。



ソフィア「耳、手、こう、おねがいします」



そう言って自分も耳を塞ぐジェスチャーをした。

すると学生達は少し不思議に思った後素直に耳を塞いでくれた。

エリックとエマは何をしているのだろうと頭を傾げる。

それを確認したソフィアは2人の肩を掴んで少し寄せた。

そうなると2人は分かったのか楽しみと興奮の絶頂で、ワクワクしているようで目をキラキラとさせていた。

ソフィアはそれとは反対に暗い顔をしてため息を吐く。



ソフィア「I’m just telling you this to help you understand him a little better… Since he doesn’t want to talk about it himself, can you promise not to say it to anyone?(これはエリックがあの子を少しでも理解できるよう助けになりたくて言うだけ... 本人が言いたがらない事だから何処にも公言しないって約束、できる?)」


エリック&エマ「Of course!!!(もちろん)」



そう大きく返事をしてからソフィアは2人の口を塞いでから真剣な表情で言った。



ソフィア「...I heard he was really badly “bullied” when he was little. あの子、小さい頃に酷く“いじめられていた”らしいわ。」



その言葉に2人の期待の笑顔は一瞬で消えた。

2人はそこから呆然としていてそこで叫ぶ様子がない事を確認してソフィアは2人の口元から手を離した。



エリック「.....what?(....え?)」


エマ「W-wait, Eric… you didn’t know either…?(え、エ、エリック... 貴方も知らなかったの....?)」


エリック「Y-yeah… I hadn’t heard about it…(う、うん... 聞いたことなかった...)」



エリックは驚いた表情でもっと知りたそうにソフィアを見ると首を横に振った。



ソフィア「This is all I know because I was able to ask him myself. I really feel like my curiosity caused him a lot of trouble. I don’t even want to remember that day I asked, for Wallace’s sake. So please, for his sake, don’t dig any deeper than this. (私が本人に聞けて知ってるのはこれだけ。本当に私の興味心が酷い事をしたと思う。私も、ウォレスの為にも聞いたあの日を思い出したくないの。だから貴方達もあの子の為にこれ以上は掘り返さないであげて。)」






一方、そのウォレスは学生に言われた桜の木まで来て1人楽しんでいた。

周りを確認したが誰も居なくのびのびと楽しんでいた。

昨日、零助達を待った集合場所の公園にあった桜の木を思い出していた。

そして日本の童謡、さくらさくらも頭の中で流れてくる。

昔から聞いていた曲だった。

気づけば口も流れているフレーズに合わせて動いていき、音となって口から出てきた。



ウォレス「...クラ、サクラ.... ノヤマモ、サトモ....」



昨日もずっとその様子で1人歌っていた。

ウォレスの趣味は歌で、隙があれば歌う程だ。

そしてこの童謡がウォレスが唯一歌える日本語の曲だった。

その為一段と桜への思い入れは強かったのだろう。

途中で自分が歌っている事に気づいて周りを確認して恥ずかしそうにした。

その後少し勇気を出してさっきよりは少し大きめの声で歌ってみる。



ウォレス「サクラ、サクラ、ノヤマモ、サトモ、ミワタ——」


エリック「Wallace… you can actually sing...?(ウォレス... 君歌えるのか?)」



ウォレスは背後から聴こえたエリックの声にびっくりして振り返った瞬間足を引っ掛けて桜の木に思いっきり背中をぶつけた。

すると桜の花びらが一段と散る。



エリック「Wait, you… that was a Japanese song, right?! And a Japanese old song too…!(えっ、君... さっき日本語の曲だったよね?!しかも日本の童謡の...!)」



そう興味津々に聞くエリックに対してウォレスは口をつぐみながらこくこくと小さく小刻みに頷いた。

エリックはそれを聞いて一段と嬉しそうだった。



エリック「That’s amazing! You’re really good at singing, and your Japanese pronunciation was great too!(凄いじゃないか!歌も上手いし日本語の発音も良かった!)」



自分は日本語の発音まだまだだから〜と自虐を詰めてそう言うエリックだった。

それに対してウォレスはぎこちなく笑う。

エリックはそんなウォレスの近くまで来て桜を見上げた。



エリック「The cherry blossoms are beautiful… Do you like them? (桜、綺麗だな... 好きなのかい?)」



そう聞かれるとウォレスは少し桜の木から背中を離して頷く。

エリックもその様子を見て安心して頬が緩み、鼻から息が抜けた。



エリック「…Do you want to stay a bit longer and look around, or head to the lecture hall now?(....もう少し見ていくかい?それとももう先に講義室に行くかい?)」



ウォレスはそう聞かれて講義室に行こうと答えた。

エリックもそう言われてお互い講義室に向かった。



エリック「......」



今までと変わらず普通の対応をしながらもエリックはずっと心の中にモヤがかかった状態だった。

覚悟してウォレスのバディになったがどうするべきか分からなくなってしまった。

どう関わればよいのだと聞くこともできない...

でも助けになりたいと強く思ったエリックはとにかく口を開く。



エリック「Ah, Wallace…? If there’s anything you want me to do, just tell me. Or if there’s anything you don’t want me to do… that too, so…(あーウォレス....?何かやってほしいことがあったら言ってくれ。逆にやって欲しくないこととか... だから...)」



ウォレスはそれに対してニコッと頷いた。

エリックは笑顔で頷いてくれたことに少し安心した。

突然エリックは何か思い出した様子で歩みを一度止める。



エリック「Oh, right! I ended up going to grab a meal with a student from here today! So the dorm key—(あぁ、そうだ!今日結局ここの学生とご飯食べに行く事になったんだ!だから寮の鍵——)」


ウォレス「No, I’ll be out again until a bit later tonight. So you can hold onto it.(ううん。ボクもまたちょっと夜近くまで出かけるよ。だから持ってて)」



ポケットから鍵を取り出そうとしたがウォレスがそう答えた為、エリックは頷いてポケットに入れようとした手をまた出して、歩みを再開させた。


そこからはまた同じく変わらず講義を静かに受けて帰る時間となった。



エリック「Alright, I’ll head out first. Have fun while you’re out! (それじゃあ俺、先に行くよ。お出かけ楽しんでね)」



そうウォレスに伝えて、頷いてくれたのを確認して手を振りながらすぐに講義室から出て行った。

ウォレスはその間に直ぐに自分のリュックの中身を漁った。

中から全てを取り出して、リュックの中身、自分の荷物の一個一個丁寧に確認をした。

何も変化がない事を確認した後、今日初めて背負う事ができた。



ウォレス「Phew…」



安心してため息を吐いた。

講義室を見渡すともう誰も居なくて最後に出ることになったようだ。

ウォレスはゆっくりと歩いて大学内を堪能した。

少し歩いてエレベーター前につくと喜んで利用した。



ウォレス「(I really need to properly thank Eric…(エリックにしっかりと感謝しないと...))」



そう思いながらエレベーターで下がっていく。

そこからはずっと周りを見ながら風景を楽しみ、ゆっくりと出口へ向かう。

誰も居なくて風景が一段と綺麗だった。

だがそれと同時に寂しさを感じた。

1人の方が楽なのは確かなウォレスだが本音は誰かと居るのも好きだった。

そんな事を考えていると今日、着替えている途中に兄のウィリアムから電話があったのを思い出して携帯をポケットから取り出す。

兄に電話をしようとスマホのロックを解除し、連絡アプリを開けて通話ボタンを押そうとした、だが途中で自国との時差について気づいて携帯を結局ポケットに戻す事になった。

結果、出口近くまでしょぼしょぼと歩いて行く。



ウォレス「.....」


エリック「.....Wallace? Wallace!!」



突然エリックの声がしたと思って顔を上げるとエリックがこっちに向かって走ってきている。

思わずびっくりしてその場で身構えた。



ウォレス「E-Eric…? Didn’t you already leave…?(エリック...?もう行ったんじゃなかったの?)」


エリック「Ah, that’s what I was going to do, but someone came by and said he needed to see you, so I just waited until you showed up…(あぁ、そのつもりだったんだけどね、ちょっと来客が居てその人、君に用があるって言ってたから君が来るまでずっと待ってたんだ...)」



息が上がった様子でそう言っていた。

ウォレスは突然の事でよく分からず何も言えずにいると痺れを切らしたエリックが来いと袖を引っ張ってきて、連れていかれる

何が何だか分からず怖くて足が少しすくんだが出口に近づくと見覚えのある小さな人影が一つだけあった。



ウォレス「??」



なんだと思って目を凝らす。

誰かと分かった瞬間ウォレスはびっくりして思わず名前を叫んだ。



ウォレス「.....ユスケ...?!」



そこにはソワソワとした様子の優助がスマホを持って1人立っていた。



続く。

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