神業代行〜カミワザダイコウ〜 別部 200年後のカウントダウン 『始めようか』
※珍しく後書きがあります。
茹だる夏。
地球温暖化の他にも特別暑いなんとか現象がいくつも混ざっているからとても暑いんです。なんて流れる音声はここ毎年聴いている。つまるところそれを含めた温暖化なのである。
夏にわざわざ外に稼ぎに出歩く人はいなくなった。夏場はリモートワークが主流だ。たまの気温が少し低めの日にはこぞって人間が鬱憤を晴らすために出かけている。70年前までは、大昔の感染症時の対策を含めて稼ぎ口として新たなビジネスとなった食事の配達もこの暑さでは運んでいる間に腐るし配達員が熱中症になる。気温の上昇とともになんとかそれを稼ぎ口にしていた人にとっては酷だがそのビジネスは廃れた。
梅雨明け後から9月末までの平均気温は39度であるこの日本。平均だ。場所によっては毎日40度を超える。そもそも梅雨明け前でさえ湿度が高すぎて窓など開けてられない状態だ。
梅雨明けを境に夏季休業のサービス業が急増した。テーマパークは国が営業停止を強制した。室内テーマパークだけがかろうじて当日の最高気温予想が40度を下回る時だけ営業を行う。
企業はリモートワークで対応。建築会社や修繕を請け負う工務店は夏場は休業。災害により緊急の場合以外はこちらも国から営業の停止を言い渡されている。
夏場のスーパーは朝早い時間、または夕方以降の食材の配達が主立っている。直接買いに来るのは禁止ではないが、来るのはよほど近い場所に住んでいる人だけだ。
端末から気軽にできるネットショッピングは制限をされた。ネットショッピングが出来る媒体の管理にも国が口を出したからである。媒体はたった一つ。スーパーの食品とは別である。そして、一週間に一回の制限が掛かった。運送業の負担を減らすためだ。そうやって負担とともにCO2の削減も一緒に行っている。しかしそれは夏場だけの話しである。
ただ、アホみたいに暑い夏場をこれで割と快適に凌げると大体の国民は喜んでいる。しかし、国としてはその期間収入の保証を企業にしたり、保険料や水の無料配布などを行い酷く赤字である。
そして何より、そうやって夏場を凌げる人間もいれば、凌げない人間もいるのだ。
その代表が農家だ。
作物の手入れを任せられる範囲では機械がやっているが、やはり人間の目で見て、人の手で触って、人が管理しなければならないものがある。そして、その手間暇を掛けてもうまく育たないことだってある。
水不足だ。
梅雨の時期は降るが、ここ数十年は梅雨明けが早い。そして、雨がなかなか降らない。不作状態の時もあれば、作物の出来がひと昔前に比べると悪い。品質が落ちている。
どれもこれも、温暖化が原因だ。
しかし、日本だけで何か対策をしたところで変わるわけではない。しかし、何かしないわけにもいかない。でもやっても正に字の如く焼け石に水である。数百年前から行っている『レジ袋の無料廃止』なんて馬鹿げているのだ。有料になっただけで製造量は減ってないのではないか?など意見は様々。
コンビニで見かけるレジ袋に可愛い絵柄が印刷されて100円ショップで売られているのを見たという数百年前の人のブログ。金を取るようになっただけだなぁと現代人は苦笑していた。
昔は寒いとされていた国の名物の流氷が姿を消した。
生態系が随分と変わり、新しい種の誕生と共に古い種は絶命が止まらない。
自然環境の変化に伴い生活環境も変わる、そして人の心から余裕がなくなっていく。
「本来ならさ、もっと早くに今みたいに雑貨を扱ってる企業を廃業にしちゃえば良かったんだよ。あれこそ買うかどうかもわからんのに奇抜なデザインで売れ残って仕方ない!まぁ当時はそこまで切羽詰まってないと思ってたんだろうし?他に楽しみが・・・楽しみはいっぱいあったろうよ!ご飯はデリバリー!服もおもちゃも何でもかんでも郵送で届くんだから!!あとあれね!推し活ね、マジでヤバいの!知ってる?2020年代って、アイドルとか漫画とかアニメのキャラクターのアクリルスタンドがめっちゃくちゃ流行って製造されてたんだって!!マジで資源の無駄だよね!!」
「一回、本当に怖い目を見ないとダメだと思うんだ・・・そろそろ始めるか」
2020年代の生活に文句を言っていた女性。コーンローが特徴だ。
鉄筋コンクリートの家。とても涼しい。コンクリート打ちっぱなしは少し冷たい印象もあるが、内装には丸太などもあり冬場は少し温かみを感じることができる。そんな家のリビングで話しをしていた女性に向かって男性が会話の返答にもならない返事をした。
「・・・できたの?」
「あぁ・・・これで少しでも変わるといい。できれば、俺は1970年代の日本に戻そうと思ってる」
「そう・・・」
「電波、殆どやっちゃうからSNS全滅だけど」
「えっ?!マジで?!それは困るんだけど!!」
「今のうちにアナログに変えておきなよ。良い案教えてあげるから」
「やっぱ携帯使えないと不便だよー、辞めない?」
「悪いけど辞めない。携帯使えないより暑い方が辛いよ。多分俺が還暦までもたないと思う。」
「・・・ちぇっ。今の気温の生活は大変だけど、楽な方に変わると思うと嬉しいはずなのに少し複雑というかちょっと怖いというか、でも暑いのは嫌だからなんとも。携帯使えないのもなー・・・」
「それは人それぞれだ。SNSはもう全壊した方が良い。どうせ技術は残ってるからすぐに代替品を誰かが作るだろう。でも、今度こそ間違った使われ方しないようにそこも監視しないと・・・」
「アンタ怖いよ・・・独学でそこまでやるとかもう最上級の粘着質テロリストだね」
「誰かに頼まれたわけでもないし、俺がその現実を欲した。ただそれだけだ」
「なんかさ、酷くダウナーな癖に変に行動力あるよね」
「欲しいものには全力なだけだ」
「あ!!知ってる?!2020年代のVtuberとかネットの活動者がファンに欲しいものを強請って送ってもらうっているリスト!!一部では”干し芋”とか呼ん」
「半年後から始める。それまでは今の地球を楽しむ事にするよ」
「今の地球を楽しめねぇからやるんだろうが・・・」
男は今まで触っていたノートPCを閉じた
「さぁ、地球の再生を始めようか」
※続きは現行の小説2本+他シリーズ小説の続編2章分描き終わったら書きます。興味がそそられましたら星頂けますと今後の作品の傾向の参考になりますので非常に助かります。また、いただく星が多ければこちらの続編が優先されるかもしれないしされないかも知れないし。